2017
10.22

「午後8時の訪問者」

午後8時の

若き女医ジェニー。
まもなく、大きな病院に好待遇で迎えられる予定だ。
今は知人の老医者の代わりに小さな診療所を診ている。今度、勤める病院から歓迎パーティーの連絡電話を受けているときに鳴ったドアベル。しかし、時間は午後8時過ぎ、診療時間はとっくに過ぎていた。
応じようとする研修医をジェニーは止める。

      <公式サイト ストーリーより>


診療時間をとっくにすぎた夜の8時。診療所のベルを押した少女が翌朝、死体で発見される・・・。

「ドアを開けていれば・・・、中に入れてあげれば彼女は死なずに済んだかもしれない。」
自責の念にかられる女医ジェニーは、診察や往診の合間を縫って時間をつくり、警察に行き情報を聞き、
少女が身元不明だと聞くとどうにかして家族に知らせてあげたい、少女の名前を知りたいと・・・写真をもって街へと出かけ、手がかりを探していく。

刑事でも探偵でもない、ジェニーのこの行動をカメラは淡々と静かに追っていく・・・。
絶対何か知っていると思う少年(患者の一人)は口を閉ざしているし、罵倒や妨害も受けてしまう。
派手なアクションなど一切なし、盛り上げるような音楽も無い。
彼女はただの医者、捜査も名前の詮索も警察に任せておけばいいのでは?、何もそこまでしなくても・・・と正直思う。
彼女自身に身の危険が及ぶのでは?と心配になってしまうのだけれど・・・、ただただ真摯なジェニーの眼差しが物語を引っ張っていく。

少女の死を知って思わず涙を流す純粋さと、自分の非をしっかりと認められる強さ。
「研修医が開けようとしたのに私が止めました、彼(研修医)に自分の方が上だと威厳を見せたかった・・・。」
これ、言えるかな絶対何か言い訳とかしたくなるもの、自分を庇いたくなるものじゃない?
自分の非をここまでちゃんと認められるのって、なかなか出来ることじゃない。

冒頭の診察シーンでも、聴診器を当てた彼女がじ~~~っと耳を傾ける、そのひたむきな表情に思わず目を奪われました。
アデル・エネルがジェニー役にぴったりで・・・素晴らしかったな~。

寝る間を惜しんで患者に向かうタフさと、真剣なまなざし、そんな彼女が煙草を吸うのは、(お医者さんだし)ちょっと意外な感じでしたが、
夜更けに煙草をふかしながら窓の外を眺める・・・・。
お疲れ様・・・大丈夫?と思わず声をかけたくなる・・・彼女のプライベートな部分を垣間見ているかのようなシーンが印象的でした。

監督の前作「サンドラの週末」のヒロインも、タンクトップにジーンズ、化粧っけなしという(同僚たちを訪ねる)必死の訪問に相応しいファッション。
本作のジェニーも、小さな診療所で、しょっちゅう患者からの電話もあったり・・・とにかく忙しい身!
ジーンズや地味なパンツに赤かブルーのセーター、その上にいつも同じチェックのコートという、時間をかけない、飾らない。
まさに彼女のキャラクターにぴったりのファッションなのですね~、こういうところに嘘がないのも嬉しい。

少女の事件と平衡して・・・ジェニーは突然医者になることをやめて故郷に帰ってしまった研修医への説得も諦めようとしません。
正直、冒頭の彼の態度はどうなん?何拗ねてるん?と思ってしまってほっとけばいいじゃん!と思ってしまったのですが、
閉ざされた心のドアをノックすることを諦めないジェニーの粘り強さときたら!!
電話はもちろん、アパートを訪ねたり、故郷にまで足を運ぶ
直接顔をあわせたり、言葉を交わしたりするよりもメールやLINE、SNSでやり取りすることが増えてきた時代に、失われてきているものを思い出せさせてくれるような気もしました。

謎めいたサスペンスと思いながら観始めた本作は、人としてどう生きるべきなのか・を考えさせられてしまうような、しっかりとした人間ドラマでした。
社会の片隅で生きている人に目を向けること、排除することなどないように・・・、そんな社会的なメッセージも監督は込めたのかもしれません。

ジェニーの行動が、一人の女性の心を動かした・・・、最後の暖かい抱擁が胸に沁みました。
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コメント
やっぱり貴ブログではこういう映画にコメントしたいですね。すみません、瞳さんにとってはどうでもいいことですが。

私もベルギーにはなぜか何回か行ったことがありまして、見渡す限り白人が一人もいない地区も歩いたりしました。ベルギーというのもフランス語の地区とオランダ語の地区があり、無謀にもフランス語で地元の女性と話をして、「オランダ語話しますか?」とかなり失礼な質問をしてしまったら、「いえ話せないわ!」と言われたことが印象に残っています。そんな私からすると、この映画はけっこう身にしみるところがあります。瞳さんはベルギーにはいかれましたか。

http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/1b95e3f1f1ff1b5f014f5ca6b4a86837

個人的には、ジェニーはちょっと真面目過ぎる(こんな人実際にはいないだろ)と思ってしまいましたが、でもやはり心に残る映画でした。
Bill McCrearydot 2017.10.29 23:11 | 編集
>Bill McCrearyさん

こんばんは。
ベルギーに行かれたことがあるんですね!!世界中いろんな国に行かれてるのでは?
私は行ったことないです。
オランダ語の地区があるとは全然知りませんでした。てっきりフランス語だと・・・。
おおーー!!フランス語喋れるんですね!!すごいです~。すごく難しそうなんですもの。

旅行記、ゆっくり読ませていただきますね♪

>ジェニーはちょっと真面目過ぎる(こんな人実際にはいないだろ)

そうでしたね~、あそこまでするかな?と思いました。
でも何事にも真剣なまなざしがとても印象的で・・・、聴診器を当ててるシーンの眼差しも・・・。
観終わってからもいろいろ考えさせられる映画でした。「サンドラの週末」もそうでしたが・・・。






dot 2017.10.31 21:25 | 編集
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