2008
08.24

「エンジェル」

エンジェルエンジェル
(2008/07/02)
ロモーラ・ガライサム・ニール

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1900年代初頭の英国。
田舎町で小さな食料品店を営む母親と暮らす16歳のエンジェルは、現実の生活からは目を背ける毎日。
作家への夢を信じ、ただひたすら、ロマンス小説の執筆に情熱を傾けていた・・・。

やがて、やり手の発行人が彼女の小説に目を止め、エンジェルは一躍時代の寵児となる。
幼いときから憧れていたパラダイス屋敷を手に入れ、親友を秘書に、そして恋した男性を夫に迎えた彼女の人生は、願ったとおりの輝くもののはず・・・だったが。




オゾン監督作品、初のコスチュームもの、時代もの。
これまでの作品と雰囲気も違うゾ・・・と思いつつ見て終わって。
でも、やっぱり、この作品、オゾン監督作品だ!と確信したのは、何故って、鑑賞してからだいぶ経つのに・・これがじわじわ・・と忘れられないからなのです。



主人公のエンジェル。
なんて可愛くない、傲慢な少女でしょう。
母の経営する食料品店を嫌い、職を世話しようとする伯母に嫌味を言って・・。
食料品店のどこが悪い~~!!なにサマのつもりさ~!と腹立たしく思いつつ、
その思い込みのパワー、小説を書く情熱的な姿には、なんかこう、オーラが感じられるわけですよね。

読書なんてしない、他の作家の本も読まない、全ては自分の頭の中から湧き出た世界を書き綴る・・、
発行人に(常識的な)間違いを指摘されても、自分の小説は一字一句変えない!!なんて言い切る、そのあまりに世間知らずの、でもあまりにも強気の魅力。

発行人の妻(これがシャーロット・ランプリング!!「レミング」を思い出して登場しただけで怖かった~笑)
に未熟な作品と言われつつも、彼女の小説が受け入れられたのは、きっと何か「勢い」というか、その世界に読者を入り込ませる魅力があったのかなあ・・と思いました。


自分の人生も、小説の中で作り上げた世界のように華々しく輝けるものだと信じて疑わない彼女。
でも、本当に欲しかったものを得ることは出来ずに、どんどんと孤独を感じてゆく彼女の姿は、哀れさも感じるものでした。
もっとまわりが見えれば、相手の気持ちや思いを感じることができたら・・。
あまりにも自分の作り上げた世界に浸りすぎた少女(出自さえも変えてしまうくらい)を待ち受けていたもの。
したたかで強い彼女の、でも、反面、とても感情的でもろい面・・・、ラストに彼女を打ちのめす「ある人物」にはビックリ。
あぁ、これって、なんていう人生の皮肉なんでしょうか。


エンジェルというひとりの女性の生き方に共感は出来ないものの、でも、自分の才能をすべてつぎ込んでこうまで情熱的に突き進んだ(突き進みすぎた・・んだけど・・)その生き様には、なんだか魅せられるものがあったように思います。

少なくとも、彼女にはノアがいましたものね(あの舞台のセリフと同じものが病床のベッドでも使われていましたね・・)。


エンジェルの作品は後にはさっぱり評価されなくなってしまう・・という皮肉なラストも描かれていましたが、でもこの映画の中のエンジェルは忘れられることのない存在ではないでしょうか。

こんなにも好感度の低いヒロインなのに、どこか彼女に惹かれる部分も感じるのはやはりオゾン監督マジック?(笑)
監督の作品には、いつも謎めいた不思議な感覚が残るけれど、この作品の謎は、まさに「エンジェル」というキャラクターと彼女の人生。
現実の人生?それとも・・・・彼女が作り上げた・・人生?
どちらが彼女にとって本当の人生だったのか・・。

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