2016
05.02

「イマジン」

イマジン

リスボンにある、視覚障害者のための診療所。
ここでは古い修道院に無償で場所を借り、世界各国から集まった患者たちに治療やトレーニングをおこなっている。
そこにひとりの男がやって来る。彼の名はイアン、診療所にいる盲目の子どもたちを相手に“反響定位” の方法を教えるインストラクターだ。
これを身に付ければ目が不自由でも視覚障害者用の白杖を使わずに外へ出て、自分を取り巻く環境を探求することも可能なのだ。

            <公式サイト ストーリーより>




↓ストーリーネタバレ少しあります。未見の方はご注意くださいね。


動物が自分が発した音が何かにぶつかって返ってきたものを受信し、それによってぶつかってきたものの位置を知ることができるという“反響定位”、
知りませんでした。コウモリの超音波などがその例なのですね。
この“反響定位”を習得すれば、視覚に障害がある人も、杖がコンクリートをたたく音や舌を鳴らした音などの反響で、周囲の状況、例えば横にブロック塀があるといったことがわかるそうなんです。

本作の主人公イアンは、自身が身につけたその方法を診療所でこどもたちに教えようとしています。
白い杖を持たず、自由に歩けるというイアンに目の見えない子どもたちは、(本当にそんなことができるの?)という懐疑心と、けれど大きな興味を持つのですが、
彼の授業で子どもたちに事故が起きるのではないか?と懸念を抱いた診療所の責任者は、一方的にイアンを解雇してしまうのでした。

確かにハラハラしてしまう部分はありました
特に映画の後半イアンと生徒が港に泊まっているという船を探しにいく場面では、夜だし、何か起こるのではないか・・・と胃がきゅっと痛くなる思い。
時折、自分自身も傷を負うイアンの姿を見ると彼の教えに不安も感じたし、ましてや、あの病院での患者さんの姿を見せられたら、責任者の気持ちもわかります。

でも、何か方法もあったのでは?
同僚たちのやり方も気に入らない~~
興味を持って挑戦する子どもたちの姿を見ていると、彼らの未来にひとつの道だけじゃない、さまざまな可能性を広げて見せて欲しかった、閉ざすだけではなくって・・・。
複雑な思いが渦巻きます。

ハッなんだか重そうな話みたいに書いてしまいましたヨ
決してそうではないのに。

石畳に響く靴音、路面電車の音や通り過ぎる車、
風で木々がざわめき、カフェでグラスが音を立てる・・・。

リスボンの街

診療所でひとり部屋にこもっていたエヴァが、杖も持たず歩くイアンに興味を持ち、二人で街を歩くシーン。
靴音の響き、足で感じる石の感触を彼女に教えるイアン。
ハラハラしながらも(ハラハラするから余計?)なんてロマンティックで美しい冒険だったことでしょう。
「リスボンに誘われて」を見たときも思ったけれど、リスボンの街って本当に魅力的!


世界はこんなにも光に満ち、風が舞い、音が溢れている。
今まで、映画を見ながらこんなにも“音”を意識したことがあった?
「何が聞こえる?」問いかけるイアンの声に画面を観ながら思わず、目を閉じ、耳をすませてみる。
そう、この作品は私たちもただ観てるだけじゃなかったいつのまにか、同じように耳を澄まし、音を拾い、想像する。自分のまわりの世界を~。
う~ん、これは映画での初体験かも

イアンがエヴァに街で靴を選ぶシーンが楽しい~♪
「その靴は弱気すぎる」ってよい靴選びのポイントはもちろん“靴音”でしたね(笑)
スカートからのぞくエヴァの足にも見惚れましたケド。


そしてこの作品、ラストシーンにも驚かされるんですーーー
ひとり寂しく、診療所を後にするイアン、彼を追いかけるエヴァ。
二人は出会うことができるの?それとも・・・?やきもきしてしまう私の前に、突然ソレが現れます
一瞬、時間が止まったかのように。
再び動き出したとき、大げさかもしれないけれど、自分が見ているものだけが世界のすべてじゃないのかも?・・・って思ってしまいました。

全くのノーマーク作品で、こんなに驚かされるなんて監督さんはポーランドの方だとか。

もし、この映画を劇場で見ていたら、絶対帰りは自分の靴音を聞きたくなると思うなあ。
おうちで鑑賞した私は、観終わってすぐに庭に出ました。
光を浴びて、風を感じて、思わず目を閉じて・・・、鳥のさえずり、遠くから聞こえる子どもたちの声・・・。

世界に満ちているものを思い出させてくれる映画です
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