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Slow Dream

縁あって・・・本や映画と巡りあう。




「サンドラの週末」 :: 2016/01/25(Mon)

サンドラの週末

体調不良から休職をしていたが、ようやく復職できることになった矢先の金曜日に、上司から解雇を言い渡されたサンドラ。
解雇を免れる方法は、16人の同僚のうち過半数が自らのボーナスを諦めること。
ボーナスをとるか、サンドラをとるか、月曜日の投票に向け、サンドラは家族に支えられながら、週末の二日間、同僚たちを説得に回る。
                       <公式サイトより>




仕事をクビにされないためには、同僚たちにボーナスを諦めてもらうしかない!!
・・・・・なんてこんなのアリ

復職したい!
だけど、それにはしばしの休日を楽しむ同僚たちの家を訪ね、「招かれざる訪問客」となって
「どうか、ボーナスを諦めてもらえない?私が辞めさせられないように」・・・とかけあわなければならない。
なんてイヤな週末だろう。

訪ねて来られる同僚たちにとっても同じこと。
仲間としてサンドラに味方したい、だけれどもボーナスは欲しい!!義理人情か、生活のためお金を選ぶのか。
そんな選択したくない。

金曜の午後から、日曜の夜まで、同僚たちを訪ねてまわるサンドラの(週末)2日半を描く本作、予告で観た時からとても気になっていました。
驚いたのは、てっきり強くて頑張り屋さんなんだろうと予想していたサンドラが、実にか弱く、泣き虫な主人公だったこと。
休職の理由はどうやら精神的なもので、彼女がうつ病を患っていたのだろうことが想像させられるのですが、
完治した・・、もう大丈夫と言いながら
すぐに涙ぐんだり、諦めたり、1日に何度も薬を飲んだり・・・と、その様子を見ていると、とてもとても、大丈夫そうには見えなくて。
果たして復職して大丈夫なの?と心配になってしまう。

やっぱり無理・・と訪問をやめようとしたり、すぐにベッドで横になってしまったり、
あまりにイジイジな彼女に、ちょっとイライラしてしまったくらいなのですが、
まあ、でも彼女でなくたってこんな訪問はしたくはないよねぇ。迷惑な訪問者になりたい人はいないもの。

けっして強くない、すぐにめげてしまうサンドラにハラハラしたり、
逆に暖かく受け止められて安堵の表情を浮かべる彼女にホッとしたりしながら、
自分がサンドラだったら?
また、訪問を受ける同僚だったら?・・・と観ている間中ずっと考えさせられました。

サンドラの週末2

この一人一人への訪問のシーンが、なんともリアルなんだなぁ。
誰でもボーナスは欲しい、それをわかっているサンドラだからこそ、声高に説得する事はありません。
淡々と、でも必死な思いで仲間たちに訴えるサンドラ、けれど、同僚たちにもさまざまな都合や事情がある。
時には居留守を使われ、時には手厳しく追い返され。心折れそうになっては、夫に背中を押されたり、思い直して、また別の同僚の家に向かうサンドラ。
3人、4人、彼女に味方してくれる人が少しづつ増えてくる嬉しさ!!


ほとんど音楽が流れていなかったように思う本作、でも、時折流れる歌やBGMの使い方がとても秀逸だった~。
夫が暗い歌詞に思わず消してしまった歌をサンドラが「今の私にぴったり」と敢えて歌って見せるシーンや
味方してくれる人々が増えてくるにつれて勇気が出てきたサンドラと友人が車で聞くロック!!

美人サンで、華やかなオーラも持つマリオン・コティヤールが、ここではなんと!地味なのだろう。
カラフルだけど、とてもシンプルなタンクトップやTシャツにジーンズ。
ひっつめただけの髪、ほぼノーメークの頬にはうっすらシミまで見えちゃうほど!!
倒れちゃうのでは?と思うような線の細さ、
病を乗り越えたはずなのに、こんな風に追い詰められることによってまたしても精神的に落ち込んでいく痛々しさ。
そこにいたのは、まさにサンドラそのもの。マリオン、素晴らしい

そして・・・休みが明けて月曜日。投票の結果は・・・・

「わたし、頑張ったでしょう?」
たった2日間、けれど、その二日間で彼女がやり通したこと、(同僚たちから)受け取ったものは、サンドラのこれからに大きな力になるんじゃないかな!
それをしっかりと確信させてくれるかのような笑顔がなんとも嬉しい、清々しい気持ちになったラストシーンでした。


  1. 映画タイトル(さ行)
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マリオン・コティヤール

この映画見たいと思いつつ、見逃していました。
絶対自分だったらどうするだろう?と置き換えて考えてしまうお話ですね。

マリオン・コティヤールに関わらず、ヨーロッパの女優さんて、ハリウッド女優に比べて、シワとかシミとか恐れていない感じがしませんか?
年取ればシミシワあって当たり前でしょ?って姿勢が感じられます。
若さと成熟、社会の価値観の差なんでしょうか。

  1. 2016/01/26(Tue) 15:19:03 |
  2. URL |
  3. tonton #-
  4. [ 編集 ]

いい演技でした♪

>tontonさん

こんばんは。
そうなんですよね~、絶対自分だったらどうだろう?って考えてしまいますよね。
週末にこんな頼みごとしたくもないし、されたくもないです。

>年取ればシミシワあって当たり前でしょ?って姿勢が感じられます
分かります!わかります~♪
そこがまた魅力的なんですよね。大好きです、そういうの。
  1. 2016/01/27(Wed) 22:00:54 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

地味映画♪

瞳さん、こんばんは!
地味映画のお薦めと紹介文メールありがとうございました!
UPしましたのでよろしくお願いします。

未見なので感想は読めないけど;;
これダルデンヌ兄弟のだったんですね。
マリオン♪にばかり気を取られてました(^^ゞ
レンタルはきっとまだ先になると思うけど、楽しみにしています。
最近久々レンタル屋行って、目的は「いとしきエブリディ」だったんだけど
残念ながら貸し出し中で~1本しか置いてないし~。
中身のないスッカラカンのケース見るとガッカリ。(^^;
でもふと他の棚見たら、以前はなかった作品があったのでそれを借りて見ました。
瞳さんは既にご覧になってる作品ですよ~。
では、次はそちらへ・・シュタタタッツ((((((((((っ・ω・)っ
  1. 2016/02/06(Sat) 21:15:52 |
  2. URL |
  3. つるばら #OP2UcWyM
  4. [ 編集 ]

ありがとうございます。

>つるばらさん

早速UPしてくださったんですね!!早い~!
いつもありがとうございます。

はい、そうなんです、ダルデンヌ兄弟の作品でした。
・・・といっても私ほとんど観てないような!(^^)!
おお、「いとしきエブリディ」レンタル中でしたか!残念。
そうそう、お目当てのものが空のケースだった時って、脱力ですよね(>_<)
私は、何度行っても「10番街の殺人」がレンタル中なんですよぉ。
ずいぶん昔の作品で発掘良品シリーズでレンタル開始したものなんですけど、意外に人気みたいです。

あらっ、以前には無かったものが・・i-190
そちらにもコメントありがとうございます~。

  1. 2016/02/09(Tue) 10:40:04 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

こんにちは。前に「青い相姦」と「アデル、ブルーは熱い色」で遊びに来ましたBill McCrearyと申します。約1年ぶりにまた遊びに来ました。また私の好きな映画を記事にされているので、コメントさせていただきます。

で、この映画を見ていて面白かったのが、彼女がほんの数日で人間としてどんどんたくましくなっていくところですね。おっしゃるように、

>まあ、でも彼女でなくたってこんな訪問はしたくはないよねぇ。迷惑な訪問者になりたい人はいないもの。

なわけで、またこれもおっしゃるように、私もあなたも誰も、みなサンドラになりえるし、また同僚たちにもなりえます。同僚を無下に非難することは出来ないし、かといってサンドラがクビになっても困る。すべて私たち自身にふりかかります。そういう点がかなりリアルでした。実は私、大学を卒業してから、1日たりとも失業した日がないのですが、でも彼女や同僚のような立場に現段階ではなったことがないのは、ものすごくラッキーなのかもしれませんね。

それからラストをお書きになっていないので私も書きませんが、あのラストよかったですね(笑)。ある意味、完璧ではないけど、非常に前向きな気持ちになれるラストです。それは、彼女の成長の証でもあります。

いま突然気づきましたが、私がコメントさせていただいた作品はみんな欧州の映画ばかりですね。そう考えると、瞳さん、いい映画について記事を書いておられるなと思います。

それではまた。忘れたころにまた遊びに来ます。
  1. 2016/02/23(Tue) 20:36:51 |
  2. URL |
  3. Bill McCreary #-
  4. [ 編集 ]

またお待ちしています♪

>Bill McCrearyさん

こんにちは~。
そうでしたか~♪あれからもう1年、また覗いてくださってありがとうございます。

>彼女がほんの数日で人間としてどんどんたくましくなっていくところですね
そうでしたね!
マリオンってどちらかというとしっかり者のキャラクターが多かったような気がするので本作のヒロイン役に驚いたのですが、
すぐに涙ぐんじゃう心揺れるサンドラが2日半の間に逞しくなって最後あたりは薬を飲むシーンもありませんでしたね。
しかも、それがとても自然に描かれてました。

>私もあなたも誰も、みなサンドラになりえるし、また同僚たちにもなりえます
まさに、そうなんです!!
だからこそ、サンドラの一挙一動、同僚たちの答えに見入ってしまうんですよね。

>ある意味、完璧ではないけど、非常に前向きな気持ちになれるラストです。
いいラストでしたね(感想を読んだ人が気になって観てくれるといいな・・と思って敢えてはっきり書きませんでした 笑)
万々歳!なラストではない、だけど、これほど彼女の成長が見えるラストって無いんですよね。そこが素晴らしいですね。

あ、本当ですね~♪
私も欧州の映画大好きなので、次回いらしてくださった時にもお話できる映画があればいいな。
またお待ちしていますね。
  1. 2016/02/25(Thu) 15:14:12 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

瞳さん、こんにちは!
これと、「アマンダと僕」を 見たところー
この映画、ひどいねー!!
もう、びっくり仰天だったよ。

前に、瞳さんが、タルデンヌ監督の別の映画で、わざわざ訪問して・・って事で、この映画の事を引き合いに出されていて、それでうっかりタルデンヌ監督のこの映画、見逃していた事に気がついたんだー。

後日、TB送らせてね♪
  1. 2021/09/21(Tue) 15:57:03 |
  2. URL |
  3. latifa #SFo5/nok
  4. [ 編集 ]

>latifaさん

おはようございますー。
そうよね~~、こんな選択させる!?って驚きですよね。
自分がサンドラだったら説得して回れるか?自分が同僚だったらどんなふうに対応するか?
すごく考えさせられたわ。

酷な週末だったけど、ふてくされて寝ていたサンドラが勇気を出して同僚と話し、やがて少しづつ、前へと向いていけるようになった・・・、もしかしたらサンドラのこれからに向けてのとっても重大な2日と一晩だったかもしれませんね。

ラストのサンドラの表情が爽やかで、嬉しくなりました。
TBありがとう♡
  1. 2021/09/22(Wed) 09:07:19 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

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