2008
07.14

「ゼロ時間の謎」

ゼロ時間の謎ゼロ時間の謎
(2008/06/04)
メルヴィル・プポー

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「私はね、よくできている探偵小説がすきなのだ。だがね、どれも出だしがいけない!みんな殺人ではじまっておるのだ。しかし、殺人というものは終局なのだよ。物語は、ずっとまえからはじまっているのだ・・・・・・。」

原作はアガサ・クリスティの「ゼロ時間へ」(ハヤカワミステリ)。
殺人で始まる従来のミステリの常識を破るクリスティの野心作を「奥様は名探偵」に続いてパスカル・トマが監督を務める。

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クリスティの作品の中にはポワロやマープル、いわゆる名探偵の登場しないものがいくつかあるのだけれど、実はこれがとても面白かったりするんですよね(もちろん、ポワロもマープルものも大好きだけれど!)。

殺人を終焉のものとし、その瞬間ゼロ時間へと人々を導いてゆく・・・、この「ゼロ時間へ」もそのひとつ。
その発想の面白さとしっかりと描かれた人間模様、クリスティ作品の中でもお気に入りの1冊とあって、今回もかなり興味深々です。
しかも!!あのメルヴィル・プボーが出るんですものーーー。

しかし、しかし。思い入れがあるだけに、クリスティ作品の映画化についてはいつも辛口な私。監督の前作同じクリスティの「奥様は名探偵」の感想にもつらつら・・と書いてますねぇ(苦笑)
さてさて、今回はどうなのでしょう・・・。


富豪の老婦人カミーラの別荘に、夏の休暇で人々が集まってくる。
甥のギョームは、新妻キャロリーヌを連れて・・。しかし、そこにはまた彼の前妻オードの姿も。
カミーラを世話するマリ、長年オードに思いを寄せているトマ、キャロリーヌの友人フレッド。
どこか不安と緊張感の感じられる空気が別荘には漂っていた・・。
そんなある夜、カミーラの友人である老トレバース弁護士が晩餐に招かれるのだが、翌朝彼は泊まっていたホテルで心臓発作を起こして死亡、そしてまた思いもかけぬ悲劇が・・。


「殺人は終焉である」というトレバース老人の言葉や、自殺を企てながらも失敗した男、
そして後に事件の捜査にあたるバトル警視の娘の事件。
原作でも冒頭に描かれていた数々の伏線が映画でもちゃんと登場、ストーリーは意外なほど原作に忠実でしたよ~。

ブルターニュ地方の海岸風景や、お屋敷のどっしりと重厚な調度品も見ごたえたっぷり。
そして人々の着こなすファッション!女性達もそうですが、やはり私の目が行くのはプボー演じるギョームの素敵なスーツとトレンチコート!!(笑)

ストーリーは意外なほど原作に忠実でしたが、そこはトマ監督(って、知らないけど 笑)
他の部分でかなりの遊び心・・というか・・。だってほら!!バタイユ警部のあのキャラにはビックリ!!

絶対に表情があらわれたためしがない、木彫りの面のような顔。
才気活発ではないけれど力強い物を持っている・・・と描かれた原作のバトル警視のキャラと真反対のキャラクターですよねぇ。

原作では、バトル警視がポワロの捜査を思い起こすシーンがありましたが、バタイユ警部は歌ってましたから(笑)「ポワロ、マープル・・・・・・コロンボ・・♪♪あとなんでしたっけ?」
う~ん、普通の警部ではダメだったのか・・・まあ憎めないキャラではありましたけど(笑)

キーパーソンの自殺未遂の男と、原作ではものすごい美男子と書かれていたフレッドの二人については・・・。
いや、何も言いますまい・・・(プボー以外にイケメンはいらない・・ってことね?きっと 苦笑)
あ、あとキャロリーヌのキャラをあそこまで下品にしなくても・・と。オードとの対称性を狙っているのでしょうけど。

ギョーム演じるプボーは、「ぼくを葬る」ほどのインパクトは無かったですけど、やっぱり素敵でした。
スマートで素敵にスーツを着こなして、爽やかなんだけど・・・どこかにちょっと影が・・ってところも。
そしてやっぱり目元はエリック・バナに似てる~♪
オードを演じたキアラ・マストロヤンニの目元はお父さんにそっくりです~(笑)


トレバースとカミラを演じた素敵な熟年のお二人に拍手!


まあ、いろいろと思いつつも映画は映画の雰囲気ですよね。(あらっ、「奥様は名探偵」よりも辛口じゃないじゃない・・・プボー効果か?笑)
原作を読まずにみたら、これきっと犯人はわからないよね~。

映画を観てから原作を久々に再読しましたが、やっぱり原作面白いです。

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