2015
07.12

「テレーズの罪」

Category: WOWOW鑑賞作品
テレーズの積


1920年代、フランス南西部のランド県、裕福な家の娘テレーズは、広大な松林を所有するデスケルウ家の当主ベルナールと結婚する。
政略結婚が当たり前だった時代、自らも納得して結婚したはずだったテレーズだったのだが・・・・。


※↓少々、ネタバレしています、未見の方はご注意くださいね。

ノーベル賞作家フランソワ・モーリアックの代表作『テレーズ・デスケルウ』が原作です。
モーリアックもこの原作も全く知らなかったのだけれど、観終わって今、すごく読みたくなりました。

愛してはいない相手のとの結婚を自ら納得していたはず・・・のテレーズ。
オドレイ・トトゥが、ほとんど笑顔を見せない、感情を殺したようなヒロインを演じています。

けれど、彼女は決して感じていないのではなくて、逆に頭の中にはあまりにもさまざまな思いが渦巻いていた・・・。
読書好きな彼女には想像力もあったはず・・・、
結婚すればやがて自分の中に渦巻くいろいろな考えも落ち着いていくに違いない、そんな風に話していた彼女だったけれど、
現実はそうではなかった・・・。

読書などすることのない、現実的な夫、
あまりにも閉鎖的なデスケロウの家族たち・・・、

そして、彼女に(気づかぬうちに)一番影響を与えたのは、親友であり義妹でもあるアンヌの恋。
自分と同じように政略結婚をするはずの彼女が、テレーズが知らずにいた、そしてこれからも知ることのないだろう激しい恋をする。
そんなアンヌにテレーズはどんな想いを抱いたのだろう・・・・。
姑に頼まれアンヌを説得するテレーズの表情は冷静そのものだったけれど、その胸の中には彼女自身が気づいていない羨望や、嫉妬が渦巻いていたのかもしれない。

気持ちのよい戸外、上気したアンヌの恋人への想いを聞きつつ、テレーズが無意識に庭の木に手を伸ばす。
美しい緑の葉は、ローズマリーだった・・・・。
ほんの少し触っただけでも、その清冽な香りは手にいつまでも残る。
もしかしたら何の意図もないシーンだったのかもしれないのだけれど、画面の向こうからあの独特な香りが放たれたような気がして・・・・
そしてその香りがテレーズの胸になにかこう、いつまでも残るものを与えたのかもしれない・・・なんて想像までしてしまう。
ほんの一瞬のこの場面で、この作品は私の中で忘れられないものとなった。
我が家のローズマリーを見るたび、触れるたびに、この時のテレーズをきっと思い出してしまう。


頭のいい、冷静なはずのテレーズが、なぜあんな行為に走ってしまったのか、罪を犯してしまったのか。
これは自分に与えられたチャンスではないのか・・・?これで自分は自由になれるのじゃないか・・・・・?
もしかしたらこんな思いだったのだろうか。

・・・・・けれど、発覚したテレーズの罪は、家名を重んじる夫や家族によって隠されてしまう・・・!
自由になろうとしたテレーズがこのことで、逆に、かごの中の鳥となってしまうのが、なんとも皮肉に思えてしまいました。
やせ細ったテレーズ、オドレイの姿があまりにも痛々しい~~


やがて、世間の目が落ち着いた頃、
テレーズとベルナールは、形だけの夫婦のまま(どこまでも離婚はありえないのね)別れを告げます。
憧れのパリ!
健康も戻ったテレーズが人並みの中、少し微笑みを浮かべて歩いていく姿がラストシーンでした。

誰も知る人のいないパリの地で、テレーズの求める自由は得られるのでしょうか。彼女の頭に渦巻く思いや考えと、彼女は折り合っていけるのでしょうか・・・。

けっして共感の持てるヒロインとはいえないテレーズ、
けれど、あの冒頭の少女だった夏の日、アンヌと笑いあっていた楽しげな表情を思うと、なんとも複雑な思いになってしまう。
すごくいろいろなことを考えさせられた作品でした。

難しいヒロインをオドレイ、とても印象的に演じていましたねぇ。
煙草を吸うシーンがあまりにも多くて・・・・オドレイと煙草、全然イメージじゃなかったけれど、意外に似合っていたのも驚きでした。

原作、読みたい~♪




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