「その名にちなんで」

その名にちなんで (特別編)その名にちなんで (特別編)
(2008/06/06)
カル・ペンタブー

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1974年、インド・コルカタの学生アシュケ・ガングリーは1冊の本とともに列車に乗り込んだ。
ロシアの作家ニコライ・ゴーゴリの短編集を手に・・・。

やがて、時は流れアメリカの地で職を得たアシュケは同郷のアシマと結婚、二人は、ニューヨークで新生活を始める。
初めて授かったのは男の子。アシュケは、息子に“ゴーゴリ”と名付ける・・・・。


公式サイトは、こちら


ジュンパ・ラヒリの原作を読んでから(感想は、こちらで)、映画がとても楽しみでした。
監督が私の大好きな作品「モンスーン・ウェディング」のミーラ・ナーイルと聞いてなおさらです。


原作では、最初に明かされる“ゴーゴリ”と名付けられたわけ・・、それを映画は先に明かしません。
映画を観ている私達は、息子ゴーゴリと同じように、なぜそんな名前をつけたのだろう・・という思いを持ちながら映画を観ていくことになります。

これは、とても効果的だったと思います。

インドからアメリカの地に渡ってきたアシュケとアシマ、そして新地で生まれてきた子どもたち・・。
夫婦には懐かしく忘れがたい故郷の地も、子どもたちにとっては全くの異郷の地。
ふたつの国の全く異なる風景も、見事に際立って描かれていました。

「モンスーン・ウェディング」でも描かれていたインド式の冠婚葬祭風景。
オレンジ色のマリーゴールドが、やっぱり登場していましたね。
アメリカで目覚めたアシマの心細さを象徴するかのような、あの朝の雪の風景や
ゴーゴリの驚きと喜びに満ちた視線の先に見えるタージマハールの美しさ。印象的です。
そうそう、何度となく登場した空港のシーンも。

ゴーゴリの成長するにつれての名前への思いや、恋の行方からも目が離せませんが、私の心を捉えたのは原作でもしっかりと物語を支えた母アシマの存在でした。
やはり、自分自身も妻であり、母である・ということもあるのですが、なにより!映画の中のアシマ!なんて魅力的なのでしょう!

お見合いのシーンで、アシュケのアメリカ製の靴に足をいれるシーンの愛らしさ、そして彼の前で詩を暗誦して見せる時の美しさ。いっぺんで彼女が好きになってしまいました。

原作ではちょっと影の薄いような印象もあった、父アシュケも、アシマとの夫婦愛、ゴーゴリへの思い・・、こみ上げるシーンが何度もあって、自然に涙が何度も何度も溢れました・・。
事故の話、命名のわけを父アシュケから聞いたゴーゴリが、「ぼくを見るたびにその事故を思い出す?」と聞いたとき、アシュケが答えた「その後の人生の奇跡を思う・・・」と答えるシーンが忘れられません。
ニコライ・ゴーゴリから与えられた奇跡の人生に感謝し、旅の老人から教わった「世界を見ることの素晴らしさ」を胸にアメリカへ渡ってきたアシュケの思い。
生まれてきた息子もまた、彼にとっては人生の奇跡といえる存在だったのでしょう。

親世代と子どもたちとのアイデンティティの持ち方の違い・・などという問題も感じますが、なにより、そういうものを超えて親子の愛情、絆を深く感じました。


ラストシーンは、再び戻ったインドの地で歌を学ぶアシマの姿。
アメリカの地も、また懐かしく思い出すふるさとであると・・・そう語り、インドに戻ったアシマ。
境界なし、無限である・・という意味を込めたアシマという名前を持つ彼女の姿に、この物語は、息子ゴーゴリの名前についての物語であるとともに、彼女アシマについての物語でもあったのだなあ・・とそうしみじみと感じたのでした。


2008/06/10 05:32 | 映画タイトル(さ行)Comment(0)Trackback(0)  Top

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