2014
09.03

「ケープタウン」

ケープタウン


南アフリカの都市ケープタウン。

植物園で、元ラグビー選手の娘が殺害されるという事件が起こる。
捜査に乗りだした強行犯撲滅課の警部アリ(フォレスト・ウィテカー)と、その部下ブライアン(オーランド・ブルーム)は、事件の夜、少女が薬物の売人と会っていたことを突き止める。

その薬物は、街で頻発している子どもたちの失踪事件の現場でも発見されたものだった。
やがて刑事たちは事件の裏側にひそむ組織的な陰謀の存在にたどり着くのだが……。


※↓ネタバレしています。未見の方はご注意くださいね。


109シネマズHAT神戸で鑑賞~♪

アパルトヘイト撤廃から20年、それでも今なお、黒い影は南アフリカの地に色濃く残り続ける・・・。

惨たらしく殺されてゆく父親を目を見開いて見つめていたZulu族の少年は、マンデラの言葉を引用する、穏やかで知性的な警部となった。
けれど、その温和な表情に時折浮かぶ、決して忘れることのない悲しさ、苦しさ

少女撲殺事件と、幼い子どもたちの失踪事件を追ううちに、事件の裏側に潜んでいる組織の陰謀に辿り着く・・・というストーリー自体は、それほど目新しいものではないし、
温和で知性的な警部アリと、仕事は出来るがお酒に溺れ、女癖の悪い部下ブライアン、対照的な二人のコンビもよくあるものかもしれない。

けれど、なんだろう。
この緊張感。この恐さ。
ケープタウンの、初めてカメラが入ったというタウンシップ(旧黒人居住地)に漂う・・・危険な匂い。
暴力というのは、こんなにも怖ろしいものだったんだ・・と改めて感じさせられた臨場感。
身を守ることの難しさ、あまりにも簡単に失われていく命の多さに呆然としてしまいながら、
悲しむ間もなく、次から次へと続く緊迫感に飲まれてゆく・・・。

これはやはり、この南アフリカという舞台の持つものだろうと思うし、
(↑で書いた)拭い去ることのできない、虐げられてきたアリ(たち)の持つ苦しみや辛さが、この街の根底に今も感じられるからだと思う。

アリとブライアンがそれぞれ別々に捜査に赴き、ピンチに陥るシーンが、交互に映し出されるシーンのスピード感、ハラハラ感にドキドキしたし、
淡々と描いているように見えるのに、奥底にちらつく・・・過去の影のようなものの存在が、なんともいえない緊張感で迫ってくる。


ケープタウン2

(メイキングの時から何度となく見ていたこのシーンが)ああいう場面のものだったなんて

ブライアン2

そうそう、肉体美ももちろん、期待していましたとも!!(鍛えてたわ~、絞ってたわ、お見事!
だけど、そんな甘い気持ちがいつのまにかどこかに飛んで行ってしまうほどハードで、重かった・・・・・。


事件に絡めて描かれるアリ、ブライアン、ダン・・、それぞれの家族。
ダンの奥さんクレアの、(警察署長など)かってアパルトヘイトの加害者だった白人への言葉も印象的だったし、
自慢の息子に向けるアリの母の笑顔、それに答えるアリ。

保守派だったという父親との確執を覗かせたブライアンは、最後には父の墓石にようやく銘を掘ることを決意する。

「赦すことが魂を自由にする」
そのことを日々実践し、努力してきたアリが、けれどあまりの怒りに、復讐へと突き進んでしまう。
理想とはかけ離れてしまった現実が、なんとも悲しくてやりきれない。

そこに、なんとさりげなく、小さく、ブライアンの「赦し」を描いて見せた。
本当にさりげない、小さな希望だったけれど救われるものも感じてしまう。


それにしても、
漆黒の夜の闇が明けて、眩しいほどの太陽が白い砂漠に降り注ぐ夜明け。
まさか、こういう光景がこの映画に登場するとは・・・。

思いもよらない美しい風景、けれどそんな光ももはや届くことが無かった・・、憎い犯人だけしか見えていないアリの瞳には・・・。
フォレスト・ウィテッカー、見事でしたね。


そして、これまでのどんな役とも全く違う、人間臭くて、お酒と女が好きな、ダメダメな男ブライアンの、
刑事としての能力や、根性、頼りになるヤツでしたよねぇ。

ブライアン

オーランドが、この役、演ってくれて本当に嬉しい!!

ミーハー気分は飛んじゃった・・と言いつつ、ブライアンの警察手帳の写真が長髪の(いい感じ)イケメンだったことも、
ダンの子どもたちを振り回して遊んであげてるお茶目さも、しっかりチェックしましたよ~
目玉焼き、焼いて欲しいなぁ(やっぱり、ミーハー 


とても重くて、ハードな作品(痛いシーンもいろいろ)だけど、ぜひ、一人でも多くの人に見て欲しいと思います(・・と、最後は真面目に締めくくっておきましょう 
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ケープタウン dot RockingChairで映画鑑賞dot 2015.09.01 17:09
コメント
やっと観ました!
この役でオーランドの魅力がすごく広がったと感じましたよ~
生活にだらしないんだけど仕事が出来る男(≧ε≦)、良かったです♪

最初から最後まで張り詰めた重苦しさがありましたね。
南アフリカの人種差別や貧困から来るものでしょうね。
もうほんとにやり切れない気持ちになりました。

白い砂漠のシーンでは、
なんで悪人は銃を捨てて走り出したんだろう・・・って
ちょっと思っちゃったけど。(^^;

ブライアンが父親の墓石に銘を掘ったのは、
やっぱり「赦し」なんですね。
理想通りに出来なくて赦せなかったアリには同情したものの、
復讐で終わったらあまりにも悲しいですもんね。

YANdot 2015.09.01 17:07 | 編集
>YANさん

おはようございますーー。
わーー、嬉しい~♪

>この役でオーランドの魅力がすごく広がったと感じましたよ~

ですよね?ですよねぇ~(笑)
私は、すごーーく嫌な役とか、変な役とかもどんどんやって欲しいと思ってるファンなので(にやり)
このだらしなくってダメダメ、でもやる時はやる!!っていう(彼がやったことのない)役がとっても嬉しかったです。

張り詰めた重苦しさ・・・そうでした(涙)
今までカメラが入ったことのない場所もあったという、実際の生の南アフリカでのロケ、大変だったと思うんだけど、これがまた良かったですよね。

白い砂漠のシーン、これまでの暗い舞台から一気に(夜が明けて)美しいシーンでしたね。でもその美しさが逆に悲しかったわ。

>理想通りに出来なくて赦せなかったアリには同情したものの、
復讐で終わったらあまりにも悲しいですもんね

理想を掲げて生きてきたアリだけど、まさかあんなことまで起こったら復讐に走ってしまう気持ち、分かります~。
その辛さや悲しさが、ブライアンの赦しで・・・すこ~しですけど、救いも見えたんじゃないかなあ(説明とか無かったけど)と思いました。

YANさんの感想、読みに伺いますーーー!!



dot 2015.09.02 09:34 | 編集
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