2014
07.23

「思い出のマーニー」

マーニー


この世には目に見えない魔法の輪がある。

海辺の村の誰も住んでいない湿っ地屋敷。
心を閉ざした少女・杏奈の前に現れたのは、
青い窓に閉じ込められた金髪の少女・マーニーだった。

「わたしたちのことは秘密よ、永久に。」


      (パンフレットより)




↓ 少しネタバレあります、未見の方はご注意くださいね。


自分は魔法の輪の外側にいる人間だと思う杏奈、12歳。

う~ん、12歳の時の私って、どんなだっただろう?
田舎の中学生(笑)、
幼い時から伸ばしてきた髪を(入学時に)バッサリと切ったこと、借家からマイホームへ、自分だけの部屋が嬉しかったこと。友だち、気になる男の子・・・・。
杏奈ほどではないけれど、毎日ちょっとしたことを気にしたり、少しのことが嬉しかったり、辛かったり。
普通に両親がいて、兄弟もいて、それでもいろんな、たわいもないことを悩んだりしていた・・、50歳を過ぎた今となればもうあまりに遙か昔のように感じてしまう

そんな風に10代の頃の自分をすぐには思い出せず、すっかり世慣れたオバチャンになってしまった私は、
冒頭の杏奈のこの台詞にずいぶん驚いたし、
他人に心を閉ざし、不機嫌で、不愉快な自分を
「わたしは私が嫌い」・・なんて
そんな台詞を2度もヒロインに呟かせるなんて・・・ジブリ始まっていらいのネガティブさでは?とビックリしてしまった

正直に言うと、本作の主人公杏奈は決して魅力的なヒロインではないと思う。
父母を亡くしてはいるけれど、養母の頼子さん、いい人じゃない?
人とうまく関われないからって地元の女の子に「太っちょブタ」なんて言葉、ええっ、言っちゃう?

だけど、きっとそういうことも分かっているけれど、素直に受け入れられない、
細かいことを気にする自分が嫌で変わりたいと思っていても・・・上手くいかない。
折り合いをつけるような器用さもなく、正直で、まっすぐだからこそ、悩んでいる・・、う~ん、なんて潔く描いたものだろう。

内にこもった杏奈の鬱々とした気持ち、そこに飛び込んできたのが、湿っ地屋敷のマーニー。
謎めいた魅力的な少女の登場は、杏奈の気持ちばかりじゃなく、観ている私たちをもホッとさせてくれるものだったと思う。

夏、海辺の村。
潮が満ち引きする入り江に立つ湿っ地屋敷。
不思議な舞踏会。

星空の下、静かな波に乗って進むボート、
キノコを探して歩く森、
雷鳴がとどろくサイロ・・・・、

原作のイギリスから舞台は北海道へ~。
2人の少女の秘密めいた時間の、幻想的な美しさにあの入り江はぴったり
さすが、ジブリ。舞台設定上手い

杏奈のちょっと青く見える目、湿っ地屋敷を覚えていたこと、そして(彼女にしか見えていないらしい)マーニー。
杏奈とマーニーの関係については想像を巡らせたとおりのものだったけれど、

杏奈がマーニーと出会って「臆することなく一緒に過ごしたり、語りあう嬉しさ、秘密を共有する喜び」を感じ、
やがては、彼女を守りたいとまで思う・・・、
そんな強さまで感じさせるようになっていく成長ぶりに驚かされるとともに、
「自分は愛されて生きているんだ」という真実に彼女が辿り着いたことが、なによりとても嬉しかった。

それにしても華やかに見えたマーニーの日々が寂しく、時には辛いものだったことや、
彼女が迎えた晩年の辛さ、なんと甘くないジブリ作品なのだろう(原作があるとはいえ)。

けれど、杏奈がそっと(久子さんに)「母です」と頼子さんを紹介するシーンや、
来年の夏の再会を期待させる彩香との別れのシーン、
そしてなにより、「あなたを許すわ、大好き」そう杏奈に言ってもらえたマーニーの気持ちを想うと
細やかな優しさに胸を打たれる作品でした。


湿っ地屋敷も素敵だけれど、私は杏奈が預かってもらっている大岩夫妻のあの家がとっても好きだなァ♪
個性的でなんて楽しい家なんだろう。
朝食の目玉焼きに大きなザルにあげた素麺~、
真っ赤に熟れたトマトの瑞々しさが、鮮やかで美しくて・・・、もしかしたら一番印象に残ったかも(食いしん坊~

ぜひ、原作も読んでみたいと思います。
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