2014
02.19

「最初の人間」

最初の人間


「異邦人」で知られるノーベル文学賞作家アルベール・カミュの自伝的遺作「最初の人間」を映画化。

1957年夏、年老いた母を訪ねて故郷のアルジェリアに戻った小説家コルムリは、
20代の若さでこの世を去った父親の記憶を求め、過ぎ去った少年時代に想いを馳せるのだった・・・。



文学少女を気取っていた高校生の時、『異邦人』を読んだけど、正直「わからんわぁ」が感想でした。

カミュ自身のこともよく知らなかったのですが、自伝的遺作である本作でカミュ(映画の中では小説家コルムリ)を演じるのがジャック・ガンブランと聞いてとても楽しみな作品でした。

年老いた母を訪ね、故郷であるアルジェリアにやってきた小説家コルムリ。
若くして亡くなった父の思い出を辿り、愛情をこめて優しく母を見つめる・・・、ガンブランの静かな瞳がたまらなく素敵です

ラブストーリーのガンちゃんが大好きだけど、こういう静かな人間ドラマもしっかりと演じられるのはさすがだわ、またまた惚れ直しました


最初の人間2


アラブ人たちに交じり合い貧しい生活を送った少年時代。

最初の人間3

ジャック少年を演じた子役くん、ちょっとひ弱そうな、繊細(だけど結構頑張り屋)さと賢さ、イイですね~。


家の中で絶対的な存在だった祖母、暮らしを支えて懸命に働く母、優しく人のいい叔父さん、
才能を認めてくれた恩師、
どこか乾いた風を感じさせてくれるような・・・美しい大地の中での少年の日々が印象的でした。

こうして育ってきたコルムリだからこそ、アルジェリアとフランスが共存する道があるはずだとそう感じるのはとても自然だと思いましたし、
アラブ人の友人の息子のためにも力を貸す彼ですが、かといってこの地で暮らす母親の安全を脅かすような独立派の暴力を容認する事も彼には決して出来なかった。


自分が生まれた農場を訪ねたコルムリに、そこで今も暮らす農夫は、
「フランス人もアラブ人ももっと血を流して戦えば、互いに分かり合えるようになる」と笑って言い放ちます。
その地を離れるつもりなどない、そこで生まれ死ぬ決意を持った「地の人」に比べ、
コルムリの存在は、いわばどちらの国からしても「異邦人」であったのかもしれません。


けれども2つの国にまたがって生まれ、育ち、生きた彼の存在は、またひとつの架け橋のようであったと・・・そうも感じました。
“作家の義務とは、歴史を作る側ではなく、歴史を生きる側に身を置くこと”

まさにこの言葉通り。

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