2014
02.02

「もうひとりのシェークスピア」

もうひとりのシェークスピア

16世紀末、エリザベス朝、
当代一流の知識人・詩人・劇作家として知られたひとりの貴族がいた。
その名は、“第17代オックスフォード伯爵 エドワード・ド・ヴィア”
彼こそが、シェークスピア作と言われる名作の数々を著した作者・・・。
しかし、なぜ彼はその真実を隠さねばならなかったのか。
数奇な運命に翻弄された悲劇の男の物語が、いま、明かされる。

            (公式サイトより)




史上最高の劇作家ウィリアム・シェイクスピア。しかし、その生涯は多くの謎に包まれている。
なぜ自筆の原稿が存在しないのか、なぜ公式の文書には6つの違った署名があるのか・・・、
数々の疑問や謎から、はたしてシェークスピアとは何者なのか、これまでにもいろんな仮説が繰り広げられてきました。

今回この謎に挑んだのが、「インディペンデンス・デイ」「紀元前1万年」「2012」などで知られるローランド・エメリッヒ監督と聞いてビックリだったのですが
ひとつの仮説を元にした、実に重厚で見ごたえのあるミステリードラマに仕上がっています!
もしかしたら本当にこうだったのじゃないのかしら?と思わせるような説得力と魅力を感じました


冒頭のシーンは、意外なことに現代のニューヨーク。
急ぎ駆けつけてきた一人の男が舞台中央に立ち語り始めます・・。
“時代の魂——我らのシェイクスピア……しかしその存在は謎。ならば少々異端の暗黒なる物語をお見せしよう”。

そして舞台の幕が開き、もうひとりのシェークスピアの物語が始まります。
この導入部がなんともお見事、堂々たる魅力ある口上にすっかり引き込まれ、同時に幕があく「ワクワク感」までも感じさせてくれました。


本作でシェークスピアの書いたとされる作品を著した人物として描かれているのは、当時宰相として権力を振るったウィリアム・セシル卿の義理の息子、オックスフォード伯エドワード・ド・ビア。

彼をめぐり、女王エリザベス、セシル卿親子、女王の臣下エセックス伯、サウサンプトン伯、劇作家ベン・ジョンソン、そして役者シェークスピア・・、さまざまな人物たちが複雑に絡まりあうさまは、まるでシェークスピア劇さながらのようでした。

ベン・ジョンソンは、シェークスピアと同年代の桂冠詩人として有名ですが、本作ではまさか!と思うような複雑な役割を果たす人物として描かれていましたし、
エドワードとエリザベス女王の関係、女王の産んだ子どもたち・・についても、ギリシャ悲劇ばりのエピソードまで盛り込んであって!!驚かされました。

なんと大胆な解釈あぁ・・でもぐんぐん引き込まれてしまう。

16世紀末のロンドンの街並み、女王や貴族たちが身に着けた衣装
時代物衣装をまとった若いイケメンたちも多く登場するのも嬉しい(時代物衣装、大好き 笑)
特に長い巻き髪のサウサンプトン伯がいいナ~


もうひとりの

もうひとりの2

若きエリザベスを演じるのは(老齢の彼女を演じた)バネッサ・レッドグレイブの娘、ジョエリー・リチャードソン。
親子でエリザベスですのでとっても自然  

若きエドワード

でも、若きエドワード(ジェイミー・キャンベル・バウワー)と後のエドワード(リス・エヴァンス)は、ちょっと雰囲気違ってたかな


人々を翻弄するものとして劇や詩を排除しようとしたセシル親子と、芸術なくしては生きる意味などない、書かなければ正気を失ってしまうと言い放ったエドワードの確執。
エドワードの才能に驚き、嫉妬と自負との間で苦しむジョンソン、他人の書いたものを自分の物と偽って時代の寵児に成りあがったシェークスピア。
エドワードにとって太陽であった女王との恋と、子どもを巡る悲劇。

政治的な対立の行方と、芸術家たちの悲喜劇、そして女王をめぐる波乱の恋物語。
贅沢にたくさん盛り込まれていましたね。
う~ん、これは連続ドラマものにして・・もっともっとそれぞれの主題をじっくりと観てみたかったような気もします。


しかし、やはりシェークスピアものですから
私が一番楽しみだったのは、エドワードがジョンソンに次の作品は・・と革表紙の巻物を渡すシーンでしたよ。
「マクベス」や「ロミオとジュリエット」のあの有名な1シーンが舞台の上で上映される様子にもワクワクしました。


自分の書き上げた戯曲を観た人々の熱狂に喜びを感じながらも、作者としての喝采を浴びる事は無かったエドワード。
臨終の床で、ジョンソンから寄せられた言葉こそ、彼にとっての最上の賛美でした。


それにしても、セシル卿親子があんなにも弾圧してきた演劇が、女王亡きあと(彼らの後押しによって)王となった人物によって擁護されることになったのは、なんと皮肉なことでしょうか。

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