2014
01.18

「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」映画と原作

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 [Blu-ray]ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 [Blu-ray]
(2013/11/22)
スラージ・シャルマ、イルファン・カーン 他

商品詳細を見る


1976年。
インドで動物園を経営するパイ(スラージ・シャルマ)一家はカナダへ移住するため太平洋上を航行中、
嵐に襲われ船が難破してしまう。

家族の中で唯一生き残ったパイだが・・、命からがら乗り込んだ小さな救命ボートには、シマウマ、ハイエナ、オランウータン。
そして!ベンガルトラのリチャード・パーカーが乗っていた。


少年の名前はピシン・モルトール・パテル。
フランス語で澄んだ水を意味するピシンが、インドでは周囲のからかいの種となり、少年は悩みの日々を送る。
ある日、意を決し少年は先手に出る!ぼくの愛称は「パイ」、そしてπ(パイ)とは・・・・・・・。

パイという名前の少年とトラがひとつの船でサバイバルを続ける冒険ものだとばかり思っていた本作、
あとで考えると原作はブッカー賞受賞作品なのですからもちろん、それだけでは無い。


一家がインドからカナダへ向かう船旅のお話になるまでに
上に書いた少年の名前の話に始まり、動物園での日々、3つの宗教を同時に信仰する姿!やがて恋をして・・。
・・と、たっぷりと少年パイの物語が語られる序盤、
このインドでの物語がとても面白くて、ちょっと変わった少年パイにすっかり興味津々になった私ですが、
あとから思い起こすと、この序盤の物語には、この先の海での彼の物語の核となるものがたくさん秘められていたようにも思うのです!


リチャード・パーカーを恐れながらも、先手に出、奇襲をかけ(船酔いさせ)、自分の居場所を少しづつ確保し、
漂流生活をシェアする。
壮大で人の手になど負えない自然の力に打ちのめされつつも・・神を信じ、最後の最後まで希望を失わない。

この少年の強さ、生命力はいったいどこからきているのでしょう。
・・それを思う時、やはり序盤のさまざまなシーンが思い起こされます。
からかいの種となる名前を自分の手で変え、キリストの受難の意味を問い、イスラムの祈祷に目を輝かせる少年。
リチャード・パーカーは友達ではなく、一匹の猛獣だということを教えられたパイ。
もちろん、名付け親のママジに教えられた泳ぎも彼を助けたでしょう。


いかにしてパイが、リチャード・パーカーとともに生き延びたか。
過酷な漂流生活ですが、生き延びるためのパイのさまざまな工夫に驚かされたり、

パイの物語

パイの物語3

2

この、まるで絵画のような幻想的な映像に目を奪われて・・。
あぁ~~、しまった、これは劇場行けば良かったなぁ~~。


それにしても、あんな摩訶不思議な食肉島まで登場するとは思いませんでした!

そんな波乱に富んだサバイバル物語にたっぷり魅せられた後での、あのなんとも辛く残酷な「もうひとつの物語」の衝撃
あまりに淡々と語られるだけに・・よけい恐ろしい物語。

あらまあ!

思えば・・ツシマ丸の嫌~なコックは彼でしたものねぇ・・。


「どっちの物語が好きですか?」

もちろん、私はリチャード・パーカーと神様が登場する話の方がいい。
大好きな映画『ビッグ・フィッシュ』を思い出しましたよ~。


家族を失い、海で漂い、やがて助かったパイの人生はまだまだ続いていく・・。
π・・、割り切れないこの名前もなんて意味深なんだろう。




パイの物語(上) (竹書房文庫)パイの物語(上) (竹書房文庫)
(2012/11/22)
ヤン・マーテル

商品詳細を見る


パイの物語(下) (竹書房文庫)パイの物語(下) (竹書房文庫)
(2012/11/22)
ヤン・マーテル

商品詳細を見る


映画が素晴らしかったので原作も読んでみました。
3つの宗教を信仰する少年のくだりなどは、映画よりも詳しく書かれていてとても興味深かったし、
映画にはない「遭難するもう一人の人物」との遭遇シーンにはまたまた、いろいろ考えさせられましたよ。

「トラが登場しないもうひとつの物語」は、映画よりももっと残酷でした辛すぎる~~。


「言葉を使ってなにかを語るということーそれが英語でも日本語でもーすなわち、なにかを創作することではありませんか?この世界をながめ渡すこと、すなわち、なにかを創り出すことではありませんか?」

「世界はそのままではあり得ません。ぼくたちがその世界をどう理解するかということでしょう?
そして、なにかを理解することは、ぼくたちがなにかをもたらすことでしょう?そうなると、人生は物語ということになりませんか?」




このパイ少年の言葉を、何度も、何度も、何度も読み返しています・・・。


トラックバックURL
http://teapleasebook.blog26.fc2.com/tb.php/670-3770449b
トラックバック
圧倒的映像美! 最後にそれまでの物語をガラッと覆されてビックリ( ̄∇ ̄)ゞ LIFE OF PI 監督:アン・リー 製作:2012年 アメリカ 原作:ヤン・マーテル「パイの物語」 上映時間:127分 出演者:*スラージ・シャルマ *イルファ・カーン *レイフ・スポール なぜ少年は、生きることができたのか。 命を奪うのか、希望を与えるのか 少年とト...
ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 dot RockingChairで映画鑑賞dot 2014.02.03 17:27
コメント
こちらにも
わ~~原作もチェックされたのね
さすが~~
宗教的な部分は原作を読んだ方がより一層
理解できるのかもしれないよね。

そうそう幻想的な映像・・
大画面だと迫力はあったのよ。
実際あんなリアルなトラと一緒なら私は耐えられそうも
ないけど・・・泣。
ビックフィッシュ・・・
あ~~そういえば、そんな感じ。


一瞬、単なるサバイバルものかと思っちゃうけど
こんなに、
考えさせられるなんて・・・驚。

このギャップがこの映画の魅力なんだよね。

みみこdot 2014.01.21 22:38 | 編集
>みみこさん

こちらにもコメントありがとう♪
私もみみこさんちにコメント入れてきたの、すれ違っちゃったわ(笑)

映画がとっても良かったので(ブッカー賞だし)これは原作も読まなくっちゃ・・って思って。
上下巻なんだけど、あっという間に読んじゃいました。
宗教の部分は、やっぱり原作の方が詳しく書いてるから・・・より考えさせられたわ。

劇場だとあの幻想的な映像も、リチャード・パーカーもより迫力あっただろうなあって思いました。行けば良かったわ。
そうだよねぇ、実際あんなトラが目の前にいたら・・それだけで気絶しちゃう。

「ビッグフィッシュ」、ね、あのお話にも通じるところがありましたよね♪

食肉島の部分も恋人のあの言葉も・・考えれば考えるほど、いろんな意味があったのかしら・・って。
みみこさんがベストに選んでいたの、納得でしたよ~、いい作品観れました。
dot 2014.01.21 22:55 | 編集
瞳さん、こんにちは!

私も、これは映画館で観るべきだったな~って思いました。
そうやって映像の美しさに感動していたら、
最後になってとんでもない話が出てきて、驚かされましたね!

宗教が絡むと、どうも理解しづらくなるんですが、
瞳さんは、きちんと原作も読まれて理解を深めたんですね。

好きなのはトラが出てくる物語のほうですが、
ずっと考えてしまうのはトラが登場しないほうです。
原作だと、生々しくそのものが書かれているのかしら?
YANdot 2014.02.03 17:26 | 編集
>YANさん

こんばんは。
大きなスクリーンで観たかったですね♪
そうでした!映像の美しさに驚かされ、トラとのサバイバルにドキドキしていたら・・・最後に淡々と語られた物語に衝撃を受けました。

映画を観ると原作も読んでみたくなる、欲張りなんですヨ、私(笑)
原作では3つの宗教を信仰しようとするパイ少年の様子と、周囲の反応がかなり詳しく書かれていました。
でも、深い部分は理解できなかったわ。

>ずっと考えてしまうのはトラが登場しないほうです。

確かに!そうですね、YANさんのこの言葉にハッとさせられましたよ。
原作、衝撃のシーンがあるんです(涙)忘れられないくらい。

dot 2014.02.03 19:12 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top