2013
06.26

「ソハの地下水道」映画&原作

ソハの地下水道 [DVD]ソハの地下水道 [DVD]
(2013/04/19)
ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ、ベンノ・フユルマン 他

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1943年のポーランド。
下水修理工のソハ(ロベルト・ヴィエツキーヴィッチ)は、迫害から地下道に逃れたユダヤ人たちに出会う。

最初は金目当てで彼らをかくまうソハ。
ユダヤ人たちもそんなソハを信じきれないでいたのだが、しだいに彼らは心を通わせるようになっていく。

だが、ソハの行動は家族をも危険にさらすことになり・・・。

実話ということ、逃げたユダヤ人たちが過ごしていた場所が暗い地下水道であるということ・・・、
心して見なくては・・と、なかなか勇気が出ないでいた作品です。

でも観てよかった

もちろん観ていられないほど辛いシーンもいろいろありましたが(冒頭森の中を裸で追い立てられる女性たち、いきなりのショック
それ以上に、こういう場合でも(だからこそ!)愛し合ったり、いがみ合ったり、反目しあったり、認め合ったり・・。そうした生々しいまでの人間模様が逆にとっても力強く感じられました。

なにより、ソハ。
聖人とも善人とも言えない・・・彼。

ソハ

ルックスも、申し訳ないけれど時代劇なら絶対「おまえもワルよのぉ~~」の方ですよねぇ

下水の修理工をしながらもそれだけでは食べていけず、副業がなんと空き巣
ユダヤ人たちを助けたのも最初は、お金が目当て。

でも、そんな彼がしだいに身の危険も顧みず、家族を危険にさらしてまで・・、「自分の匿っているユダヤ人」を守ろうとする・・聖人でも善人でもないから、よけい彼の心の変化に感動するんですねぇ。

汚水、ネズミ、人が暮らしていく場所では絶対ありえない地下水道・・でも殺されるよりはと、必死に耐え忍ぶ人々。
グループの中で仲間割れがあったり、見つかって隠れ場所を次々と移動しなくてはならなくなったり、
知り合いのウクライナ兵から疑いをもたれたり・・・。もう~~、ハラハラしました

でもそうなってくると、このソハの「クセのある」渋い顔つきが、なんとも頼りがいのあるものに見えてくるんですね

下水道で迷子になった姉弟を見つけたソハが、少女にそっと手を差し出す・・、幼い小さな手が、ソハの手に重なった時、なにかとても暖かいものが胸に流れ込んできました。


ソハの地下水道


長く続く地下生活にすっかり打ちひしがれた少女を元気づけようと、マンホールのふたをあけて外の空気を吸わせてあげるこのシーンも、あぁ~~、見つかっちゃヨ、危険よぉ・・とドキドキしながらも、イイシーンでしたねぇ。

ソハの奥さん役のキンガ・プレイスさん。どこかで名前を・・?と思ったら『アンナと過ごした4日間』のアンナ役の方でした
あの作品とは全くイメージが違って分からなかったけれど、
ソハのやってることを怒りながらも・・おおらかで、包容力があって。なにより笑顔が素晴らしい。
一度はソハの元を離れながらも「もう、しょうがないわねぇ」と戻ってきて二人で笑いあうシーンに、どれだけ癒されたことでしょう。


地下から救い出されたユダヤ人たちを、「おれのユダヤ人だ」と誇らしげに紹介し、奥さんの手作りのケーキを振る舞うラストシーンにもらい泣き
この時の男の子の「下に戻りたい~」の台詞がなんともリアルで複雑でしたネ。
彼らが地下で生活した時間は14か月その重さと辛さ、恐怖・・・。彼らを支えたソハにとってもその時間はどれほど長く厳しいものだったことでしょう。

一度は手を放しそうになりながらも、芽生えた良心に最後まで従い続けたソハ。
「おれのユダヤ人だ」あの言葉には、彼自身のいろんな思いが詰まっていたことでしょう。



ソハの地下水道 (集英社文庫)ソハの地下水道 (集英社文庫)
(2012/08/21)
ロバート・マーシャル

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映画が素晴らしかったので、原作も読みたくなって速攻書店へGo

地下水道で14か月生き延びたユダヤ人たちのリーダー的存在であったヒゲルの回顧録を元に、(著作当時)生存していた人々へのインタビューを重ねて書きあげられたノンフィクションです。

一気に読み上げてしまいました。

映画の場面を思い出しながら・・だったのですが、読みすすめるうちに映画とはまた違う、原作の世界に入り込んでいました。
映画がソハの側から描かれた物語であったとすれば、こちらの主人公たちは地下で暮らすユダヤ人たち。

何より驚いたのがソハ陽気でひとなつっこい笑顔、ほんのり可笑しみを感じさせる口調ですって
あらまあっ、違いすぎる

ユダヤ人側から描かれた物語なので(彼らが知りえなかった)ソハの地上での生活やその様子は描かれていませんが(映画は結構オリジナルなエピソードを入れてたのね)
地下での人々の暮らしぶりが、驚くほど鮮明に描かれていました。
人々が生きていくために役割分担し、出来るだけ秩序を保って生活しようとしていた(水当番や、食事の様子、ネズミからパンを守るための工夫)その様子。

ソハが差し入れてくれる雑誌や新聞を熟読し意見を述べ合ったり、時にはゲームをしたり。
そうした人間的な時間や楽しみを持つことが、少しでも彼らの苦しみや恐怖を和らげてくれたのでしょう。


なぜソハが彼らをかくまってくれたのか・・、
彼らに身の上話を語ったソハは、昔の卑しむべき過去の罪(窃盗とかやっていたそうなので映画ではこれを生かしたんですね)を贖うチャンスだと思ったと語っています。

とっても信心深いソハ(ここも映画の彼とは全然違って・・不思議な感じ~ですが)子ども好きな彼が、
マンホールの蓋を開けて少女に外の空気を吸わせてあげた・・・これは映画と同じでしたね~。


実話ということで、映画と原作はそれほど違わないのかなあと想像していましたが、
意外に別物だったのでビックリ。
でも、どちらも観て(読んで)良かったです。

救出された後の人々の足取りも描かれた原作、ソハと彼らがその後も連絡を取り合っていたという部分がなにより嬉しかったのですが、
ラストの1行、強烈な痛みが待っています。

それまでどちらかというと、映画よりも緩やかな印象だった原作(ソハのキャラクターにもよるものかも)
に最後に、鋭く斬りつけられて息を飲みました。



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ソハの地下水道 dot PORUKA’Sdot 2013.06.30 22:53
実話っていうのが凄いですね。4つ★
「ソハの地下水道」感想 dot ポコアポコヤ 映画倉庫dot 2016.06.09 13:56
コメント
瞳さん、こんにちは~。
いい映画でしたね~^^
ふつうの市民のソハが葛藤しながらユダヤ人たちのために奔走する姿に感動しました。
ユダヤ人たちが、見つからないかってドキドキしました(^_^;)
あの暗くて狭い地下に14ヶ月もいたなんて@@小さい子たちも頑張りましたよね。
私もラストシーンに感動、涙しました。

ユダヤ人側から描かれているという原作のお話、とても興味深かったです。
ソハのイメージもだいぶ違うみたいですね^^
ソハと彼らの交流が続いていたというのは嬉しいです。

最近では劇場で「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」を観ました。
デンマーク王朝のスキャンダルが描かれています。
王妃と国王の侍医の禁断の恋にドキドキ。
侍医が徐々に発言力を強めていくところも見どころでした。
侍医役のマッツ・ミケルセンが素敵~~~でしたよ^^

紫陽花とっても可愛いですね、楽しませていただきました^^
ポルカdot 2013.06.30 22:48 | 編集
>ポルカさん

こんにちは。
ポルカさんちで拝見して以来、これは観なくては!と思っていた作品でしたよ。ご報告に行こうと思っていたのに、先にコメントいただいてありがとうございます♪

素晴らしい作品でしたね。
けっして善人とはいえないソハが、しだいに彼らのために奔走する姿、胸が熱くなりました。

あんな場所であんなに長い間・・・どんなに辛かったことでしょうね。


原作は、回想録とインタビューを元に書かれたものだったのでユダヤ人の方たち側からのお話でした。
ソハが悪人っぽくなくってビックリ(笑)

そうなんです、解放されてからも連絡を取りあっていて、後にソハがお店を出す時に彼らが援助したと書かれていましたよ。嬉しかったです。

おお~!ポルカさん、マッツさん作品たくさん観られてますね。
とっても素敵ですものね。
「三銃士ダビンチの飛行船」でも光ってましたよ!
「ヴァルハラライジング」が気になっています。
「ロイヤル アフェア~」もレンタルになったら絶対観なくては。

日記ブログも観てくださってありがとうございます。

今日は今から「マリーアントワネットに別れを告げて」を見る予定です。
またお話に伺いますね♪
dot 2013.07.04 17:34 | 編集
瞳さん、ご無沙汰しています~。
毎日、猛暑日で本当に厳しい夏になりましたね。
お元気でお過ごしですかぁぁ?

私事ですが、ついに来年早々、おばあちゃんになれそう・・。
なんですが、中々安定しなくて、入退院を繰り返したり、いろいろと大変で、、、
実家が遠方のお嫁ちゃんなので、私が頼り!?なのに、とても頼りない私が、とにかく守るべき大切な宝なので、老体にムチ打って頑張っています。
猛暑に負けてはいられません。(^^)v

すみません、余計な話になってしまいました。^^;
この映画なんですが、レンタルして観ていたんだけど、体調も悪かったせいか、途中で息苦しくなってリタイアしてしまいました。
でも観るべき映画だなぁ~と思うので、再チャレンジの予定です。
観たら、またお邪魔しますね~。

いろんな映画をご覧になっているし、劇場にも足を運んでいらっしゃるようですね。
劇場と言えば、私もポールの「ワイスピ・EURO・MISSION」観てきました♪
ポールの・・というか、今ではいろんな人が出てくるので、昔の雰囲気は遠のいたけど、それでもやっぱり面白い!
次は、ジェイソン・ステイサムも出演するらしいです。
まだまだ続くのかな!?
「風立ちぬ」は、ユーミンの「ひこうき雲」が聴きたいので、是非観に行きたいです。

では、落ち着いたら、またお邪魔しますね。
瞳さんも、夏バテされませんように・・、お気を付けて(^^)/
みぬぅdot 2013.08.12 12:08 | 編集
>みぬぅさん

こんにちは。
毎年毎年、暑くなっていると感じるのですが、今年の暑さはホント!とんでもないですよね~(汗)
それでも食欲も衰えず、元気で過ごしています、ありがとうございます。
みぬぅさんもお元気かしら。

わぁ~!!初孫ちゃんが!
おめでとうございます(*^_^*)
おお、お嫁さんは実家が遠い方なのね、でもみぬぅさんがついているからきっと心強く思っていらっしゃると思います!!
とっても楽しみですね~♪
早く安定して過ごせますように・・。

私も、昨日は次女のアパートを訪ねて、ゆさ姫チャンに会ってきました。少し前に会ったばかりなのに、なんだかとっても大きくなってて!!
子どもの成長って感動しますね。

「ソハの地下水道」
うんうん、これはやはり体調のいい時にみた方がいいですよね。
私も大丈夫かな?観れるかな?と思いながら鑑賞しましたよ。
でも、素晴らしい作品なので、また体調がいい時にご覧になれたらいいですね。

わ!さすが、みぬぅさん、
ポールのワイスピ、行かれたんですね。このシリーズに私、置いていかれてます・・(苦笑)
しばらく見ていなかったら・・分からないかしら。
ジェイソン・ステイサムも出るのね、次は。豪華ですね。

「風立ちぬ」みぬぅさんの感想をぜひ伺いたいな。

みぬぅさんも、暑いですけど、熱中症などくれぐれもご注意くださいね。
dot 2013.08.13 18:50 | 編集
瞳さん、こんにちは!
これ、今見終わったところなの。
誰か感想書いてないかなーって、ヤフーで検索したら、こちらがヒットしたの^^

これが実話っていうのが凄いよね。
原作ってどういう風なの?って、私も興味を持ったんだけれど、こちらで本を読んだ感想まで拝見することが出来て、凄く嬉しかったー。知りたいなって思っても、なかなかちゃんと書店まで行くって行動に移さないまま・・・って事も多いから。

で、凄く気になってるのだけど、教えて頂けないかなーと思って。
>ラストの1行、強烈な痛みが待っています。
最後に、鋭く斬りつけられて息を飲みました。

何が書いてあったの?
映画でもラストに、1945年、ソ連軍の・・・娘を・・・
ってのが流れて、ガーーン!ってなったけど、それとはまた別の事が小説には書かれていたのかな?
latifadot 2016.06.08 17:38 | 編集
>latifaさん こんにちは。

ご覧になったのね~。
うんうん、実際にこういうことがあったなんてね(>_<)
ソハが英雄でもヒーローでもない、本当に普通の人物だったので、よけい胸が熱くなったし、ハラハラドキドキしました。

映画も良かったけど、原作もとってもいいですよーー。

>凄く気になってるのだけど、教えて頂けないかなーと思って。 映画は、解放されてエンディングのあと、テロップが流れましたよね。 ソハのその後・・・(涙)

原作は解放されたあとのソハと彼のユダヤ人たちの物語がまだ少し続いていて。 彼らがその後も連絡を取り合っていたこと、ソハのためにお金を出し合って(そのお金で)ソハはお店をもったこと。
嬉しい気持ちで読んでいたら、ソハが娘さんをかばって亡くなったことが書かれていて。
葬儀に人々が集まってきて(もちろんユダヤ人たちも) この場のみんなが悲しみでひとつにまとまっていると感じていたその時、部屋の奥から聞こえてきたこの言葉で原作は終わっています。
「神の罰が当たったんだ。ユダヤ人なんかを助けたから」

これ、映画でも字幕で書かれていたんだけれど、
それを読んだとき、てっきり世間の、全然ソハとは縁遠い人たちがそんな風に言ったんだろうなあって思っていたから、
原作でソハの葬儀に来ていた人の中でそういう言葉が呟かれた・・・っていうのがすごくショックでした。
悲しくて辛くて、なんとも情けなくて、グサッときましたよ。
dot 2016.06.09 16:50 | 編集
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