2012
12.21

「ある秘密」

ある秘密 Blu-rayある秘密 Blu-ray
(2012/11/24)
セシル・ドゥ・フランス、パトリック・ブリュエル 他

商品詳細を見る



両親ともに優れたスポーツマンでありながら、虚弱で運動が苦手な少年フランソワ。
いつしか、少年は空想の世界で兄の存在を作りだしていた。
ハンサムで運動神経抜群で、父の期待に沿えるような・・・。


しかし、ある日屋根裏部屋で古いぬいぐるみを見つけたフランソワは両親の動揺する姿から、
隠された「ある秘密」の存在を知ることになるのだった・・・。


↓ネタバレしています、未見の方はご注意くださいね。





どこか神経質そうな少年の生み出した「空想の兄」、その存在が、実は本当のことだったら!?

観る前はてっきりなにか事件が絡んだサスペンスなのか?それとも心理的オカルトミステリー?・・なんて想像してしまっていました。
まるで血のシミがついたような赤茶けた鏡の前に立つ少年の姿を映し出す冒頭のシーンなんて観たら、ますますそういう思いを強くしていたのですが・・・。

ホロコーストが関係していたとは・・・思ってもみませんでした、意外でした!!


物語は、少年フランソワと両親のシーン、現在の成人したフランソワ(マチュー・アマルリックでした!)の姿、
両親の若き日・・という3つの時間を交錯させながら描いていくのですが、
ちょっと分かりにくいように思われるこの描き方が、逆に謎めいてなお惹きつけられてしまいましたし、

ホロコーストが関係していると書きましたが、それが悲劇をもたらしたことは事実であるにせよ、
それだけでは語りきれない、人の出会いや愛情、そしてそれらが生み出した哀しみや決断・・・、
とてもいろいろなことを感じさせる人間ドラマであったように思います。


フランソワの父マキシムが母タニアと出会ったのは、自身の結婚式の当日。
花嫁アンナを愛しながらも、マキシムは、タニアの眩しいまでの美しさに目を奪われてしまう。

ええーーっ、アカンでしょうと思ってしまいますよね。
マキシムが目力のしっかりした濃い顔立ちなので、この見惚れっぷりが結構目立ってしまうんですね!!

しかし、タニアはアンナの兄の恋人。
このまま、平和な時が続けば二人はそれぞれの家庭で幸せな時を過ごし続けていたのかもしれません。
(マキシムはタニアに惹かれながらも、アンナとの家庭を壊す気持ちは無かったと思うし、何より溺愛する息子シモンの存在が大きいですよね)

けれどもナチスが台頭し、迫害の影が忍び寄ってきた時、2つの家族の運命が思いがけない方向へと向かってしまう・・。


タニアを演じるセシル・ドゥ・フランスの、はっと目を惹くゴージャスでいて包み込まれるかのような圧倒的な魅力!!抗いがたい力のようなものを感じさせるかのようです。

夫を自分のすべてと愛し、タニアに惹かれている夫に苦しみを抑えきれなくなる妻アンナは、リュディヴィーヌ・サニエ。
こちらはまた全く逆の、壊れてしまうかのような繊細さと、けれども強い一途な思いを持つ女性の二面性をしっかりと感じさせる演技で目を奪われました。


アンナは夫の待つ田舎の村へと向かう途中、(作ってもらった偽の身分証ではなく)ユダヤ人であることをはっきり書いた本物の身分証を見せてしまいます。
これは、もちろん、間違えてそうしてしまった・・ということではないと思います。

これ以上、夫がタニアに惹かれていく姿を見ることは耐えられない。
そういう思いに憑りつかれてしまったことが大きかったとは思うのですが、それだけではないようにも感じました。
マキシムがユダヤ人としてよりも、フランス人として生きていこうとする思いを持っていたのとは違って、アンナは(両親もそうでしたが)ユダヤ人としての誇りを強く持っていた。
同じユダヤ人でありながら2人の持つこの温度差、中盤のシーンでちゃんと描かれていましたね。

あぁ・・・でもこのシーン。
母の元に駆け寄ってきた息子シモンを「私の息子です」とはっきりと言い切ったあのシーンには、予想していたとはいえ、辛いシーンでした。
スポーツ万能で、夫にそっくりなシモン。夫が溺愛するこの息子を母は、父の元へと返さなかった・・。
それは夫への復讐なのでしょうか、それとも、自分に唯一残された存在だからなのでしょうか。


妻の取った行動を マキシムはどんな気持ちで受け止めたでしょうか。
まだ平和でのどかな田舎の村の美しい自然の中、互いの気持ちがぶつかり合い、情熱的に求めあったマキシムとタニアですが、
戦争が終わり、息子フランソワが生まれても。

やがてもっと時は流れ、フランソワが大人になっても。
亡くしてしまった愛する者への想い、自責の念と哀しみは消える事が無かったのではないでしょうか。

過去のシーンが鮮やかな色で彩られているのに対し、モノクロで描かれた現在のシーンに、そんな想いを感じました。


それにしても・・不思議なものですね。
全くスポーツなどしないアンナとの間に生まれたシモンがあんなにも抜群の運動神経なのに対して、
抜群の運動神経を持つスポーツマン同士の間に生まれたフランソワは、運動が全くの苦手。

のびのびと明るく笑顔がはち切れそうなシモンと、どこか影のような弱弱しいフランソワ、対照的な二人の少年もとても印象的でした。

・・・でもそんなフランソワが、成人したらちゃんとマチュー・アマルリックになって(?)父親を慰めるシーンにホッとさせされましたヨ。どんな風に成長していったのか、そのあたりも観たかったような気がします。


タニアの身に着ける洗練されたドレス、何度も登場する水着姿、シャープなラインがスポーツウーマンの彼女にぴったりでしたし、
ゆるやかな花柄のワンピースがこちらもとてもよく似合っていたアンナ。二人の女性のファッションも気になりました。

そして何と言ってもやはり、おフランス~と思ったのは、カフェオレボウルが登場するシーンが多かったこと

特に、シモンとフランソワがココアをごちそうになるサクランボの柄の入った大きなボウル、
うちにあるのと一緒だ~♪と嬉しくなってしまいました。
トラックバックURL
http://teapleasebook.blog26.fc2.com/tb.php/570-a09aa6f2
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top