2012
12.11

「少年は残酷な弓を射る」

少年は残酷な弓を射る [DVD]少年は残酷な弓を射る [DVD]
(2012/12/21)
ティルダ・スウィントン、エズラ・ミラー 他

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世界中を飛び回ってきた旅行作家エヴァ(ティルダ・スウィントン)。
夫フランクリン(ジョン・C・ライリー)との間に子供を授かった彼女は仕事を諦め、生まれてきた息子ケヴィンを自分の手で育てるのだが、なぜかケヴィンは幼いころから母親であるエヴァにだけ反抗を繰り返し、悪意を見せつけるのだった・・・。



予告で観た美しい少年の眼差しが強烈~~~、しかもこのタイトル、ちょっと萩尾望都っぽい?・・・なんて。
とても気になっていた作品でした。


白く美しいレースのカーテンが静かに揺れる冒頭。
・・・と、いきなり映像は情熱のスペイン、トマト祭りの赤に染まります。まるで血のような赤に染まる人々・・。

その赤は、今度は白い壁に投げつけられた真っ赤なペンキに・・。

この冒頭からの一連の流れ・・・とても印象的なのですが、同時に観ていてとても戸惑ってしまいました
今見ているこれはどこ?何?いつのこと?何が起きてるの?
そうした戸惑いっていうか、観心地(?)の悪さ、不安感、最後の最後までずっと付きまとう作品でしたねぇ。



なぜ、ケヴィンは生まれた時からこれほど母親に懐かないのか、まるで悪魔の子のように母に向ける反抗的な目は何故なのか。
成長してもそれは変わることなく、一層激しさと危なさを増してゆく・・、やがて起こしてしまった恐ろしい事件。

何が少年にそうさせてしまったのか・・その答えは最後の最後まで「わからない」まま。


少年は残酷な弓を射る

エズラ・ミラー君、整った顔立ちがよけい怖さを誘う美少年でしたが、思ったよりもなかなか登場しませんでした。
でも代わりに・・と言ったらなんですが、幼いケヴィンを演じた2人の男の子たち、このコたちの反抗っぷりもそれはそれはすごくてビックリ。

kevinたち

エヴァとケヴィン君勢ぞろい。
こうしてると幼いケヴィン君たち、可愛らしく見えるのに・・・ママを見るあの眼つき・・ときたら
自分の生んだ子どもにあんな眼つきをされたら・・・・

もし私が子育て真っ最中の時にこの作品に出会ったら、それはもう「恐ろしさ」に震えてしまうわ~。

子どもを育てるって(しかも初めてならなおさら)いろんな悩みがあるし、自分の育て方が悪かったの?って自分を責めてしまうだろうけれど、でもここまで憎まれるなんて冗談じゃないわ~~って正直思いました。

もちろん、エヴァ目線で描いているからっていう部分もあると思うのですが、
実際に、妹に対しても、学校でも、ああいう事件を起こしてしまったんですもんねぇ・・。


少年がどんな想いを抱き、なぜあんな行動を起こしてしまったのか・・、結局その答えって少年自身にも分からないものだったのでしょうか。
ラストシーンでエヴァが、「何故?」と問いかけたとき、
ケヴィンは「わかっていたつもりだった・・、でも、もう分からなくなった・・」と答えていましたね。

「分からない」怖さ。

だからこそ、この映画を観て私たちはいろんな風に感じ、考えてしまうんですね。
「We Need to Talk About Kevin 」 原題です。            。


ケヴィンは、やっぱり心の底ではエヴァの愛情を求めていたのかしら?
彼が普通にイイコで聞き分けが良かったら、エヴァはもしかしたら旅行作家としてもう一度世界中を回っていたかもしれない。母親を繋ぎとめておくために反抗していたの?
病気で気持ちが弱っていた時、彼がそばにいて欲しがったのはエヴァでしたよね。

そんな彼の反抗っぷりに、子育てを投げることも無く自らの気持ちを押し殺しながらケヴィンに向かっていたエヴァ。
几帳面で真面目だからこそ、よけい、エヴァ自身から閉塞感が漂って来て観ていてとても息苦しい。
それがエヴァとケヴィンをますますがんじがらめにしていったような気もして。

生まれてくる妹を愛せなかったら?とケヴィンが聞いた時に彼女が答えた「慣れるしかないの」という答え。
これがエヴァ自身、ケヴィンに対する想いだったとしたら・・、そしてそれをケヴィンは感じ取っていたとしたら・・・。


そうそう、ちょっとしたシーンでしたがとても気になったのは、ゴルフ場でエヴァがケヴィンに言った「太っている人に対する」辛辣な言葉・・。
エヴァって意外に怖い!?ケヴィンはエヴァ似?・・なんて。
実際ティルダとエズラ君、外見も似てて親子役ぴったりでしたけど。


あぁ~~、なんだかとってもいろいろ考えてしまうわ。答えなど出るはずないけれど・・・。



そうそう、それから、食べ物が美味しく見える映画ってそれだけで心があったかくなってくるのですが、
そういう意味ではこの映画、全く逆でしたね。

パンくずを丸めながらテーブルに並べる、
イチゴジャムを挟んだサンドイッチがぐちゃぐちゃになっていたり、シリアルを指で潰したり、
ディナーに向かう前にわざわざ、骨付きのお肉を頬張る、あんなに美少年なのに、あの食べ方があんなに汚く見えるなんて。
一番ショックだったのは、剥いたライチの白い果実が・・・・!!


衝撃だわ~~!!
あそこまで食べ物を汚く見せると、それだけでもう、画面から悪意といやらしさを感じちゃうんだなあってしみじみ思いましたヨ。


最後に、ティルダ・スウィントン。
衝撃的なケヴィン少年たちに全く霞むことなく(普通だったら持っていかれちゃうと思う)
逆に彼女のひとつひとつの表情に目を奪われ、息を飲む、素晴らしい演技でした。
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面白かったです。4つ★半
「少年は残酷な弓を射る」感想 dot ポコアポコヤ 映画倉庫dot 2013.03.21 11:10
コメント
瞳さん、こんにちは。

これはかなりインパクトある作品でしたね。
自分でもなぜだか判らない行動……ケヴィンという人間が掴めないままでした。
でも瞳さんの仰る通り、だからこそ
「ケヴィンについて話しあわねばならない」んですよね。観客自身が。
上手い原題だと思いました。
そうそう、邦題、やっぱり「残酷な神が支配する」を思い起こさせますよね~。

食べ物も、ほんときったない(笑)。
あの不快感がミソなんでしょうね……。
後味もよくないし、救いらしい救いもないし、なのに頭にこびりついて離れない作品です。
多分今年のマイベストに入るだろうと思います。
リュカdot 2012.12.18 20:41 | 編集
>リュカさん

こんにちは。
強烈でした~!!

ケヴィンの側からの説明とかがほとんどないですもんね。
旅行作家としての母親の大きなポスターを見ている姿とか、会話とかからいろいろ想像してみたのですが・・、
やはり掴めなかったわ~。

> 「ケヴィンについて話しあわねばならない」んですよね。観客自身が。

うんうん、そうなんですよねぇ。私自身、観終わってもずっとまだ考えてしまいます。

原作も読んでみたいわ。こちらは母親が書いた手紙形式だとか・・。


> そうそう、邦題、やっぱり「残酷な神が支配する」を思い起こさせますよね~。

わ~!!リュカさん、分かってる~i-236一緒だわ。

> 食べ物も、ほんときったない(笑)。
> あの不快感がミソなんでしょうね……。

ライチのシーンにゾ~~としましたよ。そうそう、わざとなんでしょうね。

> 後味もよくないし、救いらしい救いもないし、なのに頭にこびりついて離れない作品です。
> 多分今年のマイベストに入るだろうと思います。

そうだわ!そろそろベストを選ぶ時期・・・。
リュカさんのマイベスト、楽しみにしています。
dot 2012.12.20 10:54 | 編集
お邪魔します~~
子供たちの写真だけ観ると↑本当可愛らしいですよね~~
でも映画では困った行動ばかりで・・・・泣。
<自分の生んだ子どもにあんな眼つきをされたら・・・>
そうそう・・・あの目つき。
子供って笑顔が可愛かったりすると救われたりすることあるじゃないですか・・・
それなのに、いつもあんな軽蔑したような眼差しなんだもの・・・
親としてはきついですよね。
<ここまで憎まれるなんて冗談じゃないわ~~って正直思いました>
うんうん・・・同感。
やっぱり喧嘩しても仲直りできるのが親子ってものだと思うのにね・・
子育てを恐怖に感じてしまう映画だったけど、普通はそこまでは・・・と思うので
あまり重く考えないでやっていきたいですよね~~~・・・・・笑
みみこdot 2013.02.14 22:21 | 編集
>みみこさん

こんばんは。
お返事遅れてごめんなさいね~。

3人のケヴィン君、こうやってみると美形でみんな可愛いよねぇ。
でも小さいのにあの眼つきでしたもんね。
そうそう、にっこり笑ってくれたりするとね、それだけで癒されたりほっとするのに、それが全くありませんでしたよね。

>やっぱり喧嘩しても仲直りできるのが親子ってものだと思うのにね・・
うんうん、そうですよね~。

すごくいろんなことを考えさせられる映画でしたよね。自分が子育て中だったらどうしよう・・って思いましたよ。
いろんな原因、要素があったんだろうなあって思うんだけれど、その中のひとつに、母親エヴァの性格もあるのかなあって思いました。

>あまり重く考えないでやっていきたいですよね~~~・・・・・笑
そうよね~、考えすぎると毎日のことだからやっていけないわ~(笑)
おおらかにやりたいですね。
dot 2013.02.18 22:44 | 編集
瞳さん、こんにちは!
そうそう、そうなのよ~
>ちょっと萩尾望都っぽい?・・・
タイトルとか、美少年が出て来るところとか、つい、連想してしまいました。
しかしながら見た感想は、もっと妖しい魅力をふりまく悪人美少年かと思いきや、結構あからさまなダミアンでした。

あんな子供が産まれて来てしまったら・・・母はどうすれば良いんだろう・・・って思ってしまいました。
育てて行くうちにモンスターになっていったというより、生まれ付きの性質の様な気がしちゃって・・・


latifadot 2013.03.21 11:19 | 編集
>latifaさん

こんばんは~♪
でしょーー、タイトルとか連想しちゃいますよね。

>もっと妖しい魅力をふりまく悪人美少年かと思いきや

エズラ君だったら、そういう妖しい役も見てみたいーーー。


そうそう、あんな目で見られたら・・・うろたえるわ。
あっ、でも意外にめちゃめちゃ狼狽えたほうが良かったのでは?とも思ったり。
エヴァがもっとずさんというか、いい加減な性格だったらまた違っていたのかしら・・とか。

いまだにいろいろ考えてしまう作品です。

dot 2013.03.21 20:46 | 編集
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