2012
10.27

「幸福の罪」

幸福の罪 [DVD]幸福の罪 [DVD]
(2012/10/05)
オンドジェイ・ヴェトヒー、アナ・ガイスレロヴァ 他

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患者からの信頼も厚いリハビリ医のトマシュ(オンドジェイ・ヴェトヒー)が14歳の少女オリンカ(アナ・リンハルトヴァ)への性的虐待の罪で逮捕される。

事件を担当する刑事ラダは、トマシュの妻ミラダの前夫。
ミラダは、自分を奪ったトマシュへの復讐行為だとラダをなじる。

一方、トマシュ夫婦と同居するミラダの妹リダは、姉を支え、義兄トマシュの無実を信じるのだが・・・・。



↓※ネタバレしています、未見の方はご注意くださいね。

この写真、使いますか・・・DVDパッケージ
確かに目を引きますけどねぇ

チェコの映画です。
ヤン・フジェベイク監督は、 『この素晴らしき世界』でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたこともあるチェコを代表する監督さんなのだとか。


14歳の少女に性的虐待をした罪で逮捕されたリハビリ医。
ショッキングなこの事件を通して、家族や夫婦、姉妹の中に隠された罪が浮かび上がってゆく・・・っていうことなのですが。

これは・・・・・見ごたえありました~!


まず、トマシュが一緒に住んでいる家族なんですが、
妻ミラダとその父親、妹のリダ、トマシュとミラダの間の娘、ミラダと前夫ラダとの間に生まれた息子ダニー・・・と結構複雑に大勢なんですね。
でも、前夫ラダも含め、家族の日常のシーンをトマシュの逮捕という事件が起こる前にゆっくりと見せる。
そのことによって、それぞれの関係、たとえばミラダの父親が少し認知症だということや、次女リダが医師の道を選ばなかったことに父親はガッカリしていることや、障害を持つダニーを友達に見せたくないトマシュの娘の気持ちとか・・、上手く見せるんですね。

そして後で気づくのですが、こういった家族の風景の中に実にいろいろなキーワードが潜んでいる。

冒頭の、ここはいったいどこの風景なの?という湖の映像も、後半にちゃんと繋がっていて驚かされました。
練りこまれた脚本と細やかな見せ方に唸らされてしまいます。


トマシュが逮捕されたきっかけとなった14歳の少女の危なさもスゴイ。彼女が綴った日記の文章に大人たちは翻弄されてしまう・・・。

イヤ~な立場なのに事件を担当することになってしまった刑事ラダ。
14歳の少女オリンカには手を焼くし、
まだ気持ちが残っている元妻からは聞きたくもない言葉を聞かされ、おまけにほかにも悲惨な事件に遭遇して・・・。
登場人物の中で一番人間臭く、哀愁漂う・・・味のある人物でした。


逆に逮捕されたトマシュ、ハンサムで医師としてはとても信頼がおけるんだろうなと思うし、
オリンカが不気味なので(苦笑)これは免罪なのでは?と思いつつ・・でもどっか匂うんだな、これが。

この匂わせ加減も上手いんですよ~。
妻も夫を信じているんだけど、だんだんともしかしたら?なんて思い始めてくる。
そんな姉ミラダをたしなめる妹リダの言葉、この時の姉妹の会話までもが、あとで「そういうことだったんだーー」っていう伏線になっているのだから・・・やられました。


結局、トマシュは疑いが晴れ釈放されます。(釈放の決め手とされた・・あの身体測定は・・なんとも
で・・ホッとしたのもつかの間、ここから驚きの事実が明らかになっていくのです。


幸福に見えた家族の中で・・15年間も隠されてきた罪があったなんて
諦めることが出来ず、愛し続けることが罪になる


ここからの展開には、驚き、やるせなさ、、怒り、哀しさ、・・・・いろんな思いが渦巻いちゃいました。

姉ミラダの死を願う醜い想いがリダの心を殺していった・・・、医師の道を辞めボランティアをして患者を笑わせることで少しでも心の平安を取りもどそうとした彼女の悲しさ。
それほどまでにトマシュから離れることが出来なかったのかしら・・、そこまでの魅力が彼にあるのかしらねぇ。
ズルすぎるゾ、トマシュって私は感じたけど。

姉よりも誰よりもトマシュを一番分かっていると思っていたリダだけれども、自分自身がトマシュに愛されたのが(なんと!)14歳の時だったから、オリンカとの疑惑がトゲのように彼女を苦しめていったのかもしれません。


ラスト、切々と想いを書き上げるオリンカの表情が・・リダの顔に重なってゆく・・。
この最後もなんとも意味深でしたねぇ。



最後には驚きのドンデン返しまで用意された見事なサスペンスでありながら、
愛の哀しさ、怖さも感じさせてくれた・・・・あと引く作品でした。


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コメント
瞳さん、こんにちは。
うーわー、なんかまたすっごくヤな話だけれど、よく出来た作品でした。

リダの自殺は、トマシュへの復讐だったのか、それともそんなことは何も考えず絶望してのことだったのか気になりました。
道化を演じていても、ずっと心は殺されたままって哀しいですねえ……。
彼女がなぜオリンカの顔を見に行ったのか判って唸りました。

ラスト怖いですね!少女の顔がリダに変わっていく。
ルージュをひく=大人になっていくオリンカのトマシュを待つ情念にはリダのそれも乗り移っていたのかもしれませんね。

本当、最初から色々キーワードが散りばめられていたことにびっくりです。
これって未公開作品ですか?
だとしたらまた掘出し物発見って感じです。
瞳さんが記事を書いていなかったら気に留めてなかったかも!感謝です♪
リュカdot 2012.11.02 23:14 | 編集
>リュカさん

こんばんは。
おお、ご覧になられたんですね。
さっそくお話に来てくださって嬉しいです~♪

うんうん、そうなんですよねぇ。
なんともいえない苦さが残る作品なんですけど、よくできていましたよねぇ。

>リダの自殺は、トマシュへの復讐だったのか、それともそんなことは何も考えず絶望してのことだったのか気になりました

そうなんです!私もすっごく気になりました。
あんな風に争ったあとだったから、復讐だったのか、でも・・15年もそういう関係だったのに・・って。
いろいろ思いましたよ。
はっきり示してくれないところ、ニクイですよねぇ。

>彼女がなぜオリンカの顔を見に行ったのか判って唸りました。

あのシーンも、あとでそっか!なるほど!!って唸りますよね。

>ルージュをひく=大人になっていくオリンカのトマシュを待つ情念にはリダのそれも乗り移っていたのかもしれませんね

わ~、リュカさん!!ココ、思わず頷いちゃいました!!

未公開作品ですって。DVDスルーだって書いてありましたよ。
私もビデオショップで偶然手にした作品だったのですが、見ごたえある作品に出会うと「やったーー!」って思いますね。
dot 2012.11.04 21:08 | 編集
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