2008
04.20

「風の前奏曲」

風の前奏曲風の前奏曲
(2006/09/22)
アヌチット・サパンポン、アドゥン・ドゥンヤラット 他

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タイの古典楽器ラナート奏者の一生を描いた物語。

美しくてどこか懐かしいその音は、見終わったあとも耳に、心に、残りました。
19世紀末、タイの伝統楽器ラナートを奏でる音楽一家に生まれたソーン。
幼いときからラナートに魅せられた彼は成長とともに腕をあげ、地元では知らないものはないラナート奏者となる。
腕前にうぬぼれを持ち始めたソーンは、上京したバンコクでの演奏会でも悠々の演奏を見せるが、対戦した名奏者クンインの力強く、圧倒的なパワーを持つ音色に打ちのめされてしまう・・。
一度はラナート奏者であることを止めようと決意したソーン・・、だが、故郷の自然が彼に忘れていたものを気づかせてくれる・・。

ラナート、見た目は木琴みたいな感じなんですね。
手首を使って、柔らかく、早く、静かに、力強く・・生み出される音色~、響きますね。

物語は、幼いソーンのラナートとの出会いからどんどんと成長してゆく青年期と、一人者として認められた晩年の姿・・両方を描いています。
始めは純粋にラナートに惹かれていた少年が、自分の素晴らしい技法におぼれがちになってしまうけれども・・やがてはまた立ち直ってゆく・・というストーリーは、よくある・・といえばそうなんですけど。
家族や友人、まわりの人々との様子や、なにより、美しい自然・・と奏でられるラナートの音色に引き込まれてしまいますね~。

ラナート奏者の対戦・・これがすごいですよ。まさにバトル!っていう感じです。
手の動き、音色・・そして巻き起こされる風・・ですよ~(クンインの演奏の時の嵐は、すごいよね 笑)
でも、音色も奏法もそれぞれなのに・・両方どっちも素晴らしい・・じゃダメなのかしら・・と思ってみたり。

だからバトルの時の演奏は素晴らしいけど、私は、普通に引いてるときの方が好きかな~。
そうそうラナートじゃなかったですけど、(後に奥さんになる)素敵な女性をみかけて、彼女の姿を見ながらソーンが楽器を奏でる・・あのシーンが好きですね。
花を摘む彼女の優雅な動きを、音楽が、優しい風のように包んでいくのです・・。

晩年の、タイの近代化政策による古典芸術への弾圧シーン、こちらも心に残ります。
帰ってゆく政府の役人に向かって、禁じられたラナートを奏でるソーン。
その演奏は、静かで淡々としたものでしたが・・・ゆっくりと沁みいるようでした。

心を奏でる・・という意味を持つという「ラナート」
忘れられない響きを持つ、素晴らしい音色を堪能したタイの映画でした。



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