2012
09.04

トータル カウリスマキ「真夜中の虹 浮雲」

真夜中の虹/浮き雲 [DVD]真夜中の虹/浮き雲 [DVD]
(2002/05/24)
トゥロ・パヤラ、カティ・オウティネン 他

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石の上にも三年・・という言葉がありますが・・。

DVDは廃盤、どうしても観たくてネットレンタルリストの1位にずーーーーっと設定し続けてきた「トータル カウリスマキ1」
2009年のネットレンタル利用開始から3年経って・・・なんと(そろそろ諦めかけていた)突然届きました!!
お届け率上がってたっけ?


いやいや、これはもう、届いただけで感激~~



『真夜中の虹』

廃坑により職を失った一人の男。
車を飛ばし南へと向かう男にこれでもか~~と不運な連鎖が襲いかかる。

有り金は奪われ、職は見つからず、頼みの綱の臨時雇いは雇い主が逮捕され、
金を奪った犯人を見つけて懲らしめようとすれば・・反対に逮捕され留置所に。

あぁ、この踏んだり蹴ったりぶり・・まさに、カウリスマキの世界。

サングラスをかけて見た目的には結構ワイルド系の主人公(昔の千葉真一みたい)ですが、どうしてここまで・・と思うくらいの不運に襲われても、やはり監督の作品の主人公、表情はそれほど変わることなく淡々としているように見えるんですね。

そして、久しぶりに見て強く感じたこと。
なんて無駄のない見せ方、展開なのでしょう

言葉や説明もほとんどないのに、その画面のショットを見れば(今どうなっているのかを含め)次に起こる状況がちゃ~んと分かっちゃう。
たとえば、男が車を止めてハンバーガーを買う時に見せる財布の札束、
自分を襲った犯人に近づく男の頭上にある監視カメラ、
留置所から脱走すれば、洋服店に飾ってあるショーウインドウを一瞬写し、次の瞬間には男たちはもうバッチリ着替えている。
銀行強盗のシーンでも、車を止めて銀行に入って行くシーンと、戻ってきたシーンだけでもう、すべてが分かるんですね。

とてもシンプルで無駄のない描き方、次のシーンが予想されちゃうのに・・その間のシーンが無い分、よけいドキドキさせられちゃうし、
そうかといって、遊び心?が無いかと言えばそうではなくって。
いざ、銀行強盗!と車を降りれば拳銃をぽろっと落とし、奪ってきた札束もはらりはらり~~と舞っていく。

冒頭、主人公がどうしても幌を下ろせなかったキェデラックが、後半のあるシーンでなんとするる~~と幌が降りちゃうシーンなんて用意されていて(そこはとても笑えるような状況ではなかったのに)思わず「ええ~!」と驚きとともに笑ってしまう。


音楽もやっぱり、たっぷり使われています。
男がいつも持っているラジオから流れてくる音楽~♪

思いを寄せあう女性と彼女の連れ子と休日に出かけるシーン。
3人で海へ行き、ただ寝そべっている・・子ども(この子もいじらしくってとっても可愛い!)は漫画かな、本をめくっていて・・・。
ラジオからは音楽が流れてくる、それだけのシーンなのに、そこにはとても安心できる静かな幸せが感じられました。

ラストシーンに登場する曲が、格別ニクイです。

(後半もどうにもこうにもならない状況に追い詰められ)メキシコへ向かう船に乗り込もうと小舟で向かう3人。
はたして彼らは無事に南へと向かうことができるのかしら。

そこに流れてくるのが「Over the Rainbow」。
  
・・・なんかもう、胸がいっぱい。泣けちゃいます




『浮雲』


『街のあかり』『過去の無い男』を観たとき敗者3部作としてもう1つ挙げられていたのがこちら『浮雲』。
観たかったんですよねぇーー。
カウリスマキ監督の作品の常連女優さん、カティ・オウティネンが主人公です。(でも女性が主人公って、監督の作品には珍しいのかな)


バスの運転手をしている夫ラウルと慎ましくも幸せな生活を送るイロナ。
しかし、不景気のあおりをうけ夫は仕事を失い、イロナが給仕長を務めるレストラン"ドゥブロヴニクも大手チェーン店に買収されてしまう。
夫婦して職を失った二人は、そろって職安に通うことになるのだが・・・。


こちらも『真夜中の虹』と同様、厳しい不況の中職を失った主人公たち。

次の仕事を見つけようとするのですが、ラウルは健康診断で耳が悪いことが発覚、バスの運転手の資格までもを失ってしまうし、
イロナは苦渋の思いで勤め始めたスナック店のオーナーの不正営業により、給料をもらえないままクビになってしまう・・という、やはりこちらも踏んだり蹴ったりな目に遇ってしまう

あぁ・・やっぱり
でも、やっぱりね不思議なんですよねぇ。
こんなにさまざまな不運に次々に見舞われながら、カウリスマキ監督の映画って、ドーンとドン底にまで私たちを落としたりしない。
口数も少なくって無表情な登場人物たち、追い詰められているはずなのに・・やっぱり淡々としてて不思議なゆるさまで感じちゃう。

音楽ももちろんたくさん使われていますし、
夫婦のアパートのブルーの壁紙、イロナが着ている真っ赤なコート、色彩も印象的でした。

もう一度、レストランを開こう!昔の仲間とそう決心したイロナに銀行はお金を貸してくれず、
車を売ったお金を増やそうとカジノにいけば、もちろん全額失ってしまう・・。

でも。
嬉しいことに、珍しいことに、こちらの作品には、頬緩む上向きなラストが待っているんです。
(最後の最後まで・・まだ何か落とし穴が待っているんじゃないか・・とドキドキしてしまうけれど)

2人で見上げる空、浮かぶ雲・・・、

良かったねぇ・・・あぁ、こちらでももらい泣き・・





2作品、連続して鑑賞してしまいました。

踏んだり蹴ったりの人生を2つも観たのに、どよよ~~んとしないのがカウリスマキ監督の世界なんですね。

乾いた悲しさと不思議なペーソス&ちょっぴりユーモア。
カリウスマキ監督作品って、やっぱり癖になる。

もっともっと観たくなる~、ということでトータル カリウスマキシリーズ、他もネットレンタルリストにもちろん載せてます。

さてさて・・次は何年後に届くでしょうか(笑)お楽しみ~。

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