2012
06.19

「サラの鍵」

サラの鍵 [DVD]サラの鍵 [DVD]
(2012/06/22)
クリスティン・スコット・トーマス、メリュジーヌ・マヤンス 他

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夫と娘とパリで暮らすアメリカ人女性記者ジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)は、45歳で待望の妊娠をはたす。
が、報告した夫から返って来たのは、思いもよらぬ反対だった。
そんな人生の岐路に立った彼女は、ある取材で衝撃的な事実に出会う。夫の祖父母から譲り受けて住んでいるアパートは、かつて1942年のパリのユダヤ人迫害事件でアウシュビッツに送られたユダヤ人家族が住んでいたというのだ。
さらに、その一家の長女で10歳の少女サラ(メリュジーヌ・マヤンス)が収容所から逃亡したことを知る。一斉検挙の朝、サラは弟を納戸に隠して鍵をかけた。すぐに戻れると信じて……。
果たして、サラは弟を助けることができたのか?2人は今も生きているのか?
事件を紐解き、サラの足跡を辿る中、次々と明かされてゆく秘密。そこに隠された事実がジュリアを揺さぶり、人生さえも変えていく。
すべてが明かされた時、サラの痛切な悲しみを全身で受け止めた彼女が見出した一筋の光とは……?


                               (公式サイト ストーリー紹介より)
                   
1942年7月。
パリで暮らす1万3千人のユダヤ人がフランス政府によって一斉に検挙され、屋内競輪場(ヴェルデイヴ)に収容された。
トイレも水も食糧も与えられない劣悪な環境の中で・・。

このヴェルディヴ事件については、これまで全く知らずにいたのですが、本作を観たお友達のブログや同じようにこの事件を扱った『黄色い星の子どもたち』(まだ未見ですが)のレビューなどを読んで・・衝撃を覚えました。

今現在のフランスの若者たちもまた、同じようにこの事件については知らない人が多いのでしょうか。
ジュリアと同じ雑誌社で働く若い同僚のように・・・。

ヴェルデイヴがあった場所に、現在ではフランス内務省の建物が建っている・・・なにか皮肉めいたものを感じますし、
この事件が起こった時パリで暮らしていた人々にとっては、まるで自分たちの暗部をさらすようなもの。
無かったことにしてしまいたい、忘れてしまいたい・・そんな事件でもあるのかもしれません。


ジュリアが、夫の祖父母から譲り受けたアパートの元の持ち主について探っていく、夫家族からしたら触れて欲しくなかったことでしょう。

しかし、彼女は真相を確かめずにはいられなかった・・、自分のまわりの人々との間に波風が起こっても。
サラという少女がその後、どんな人生を送ったのか、鍵のかけられた納戸でひとり、姉の帰りを待つ弟ミシェルの運命も・・。

大丈夫?そこまでやっちゃうの?ジャーナリスト気質のなせるもの?などと思いながらも、私自身もまたサラはそれからどうなったのか・・・それが知りたくてたまらなくなりました。

少女時代のサラを演じたメリュジーヌ・マヤンスが素晴らしくて
熱に浮かされて倒れてしまう姿には、もしかして死んでしまうのかしら・・と思うほどの痛々しさ。
でもどうにかして、どんなことをしてでも、弟を助けに帰らなければならない!悲壮なほどの決意を秘めたその強さ。

ヴェルディブからやがて送られた収容所、逃亡しようとするサラを見咎めた憲兵に「さっきはりんごをありがとう。私はサラ」と手を差し出す彼女の凛とした強さ
まだ幼い少女のこの時の表情、眩しいほどでした。


1942年のヴェルデイヴ事件の様子からその後のサラの辿ってゆく道と
その足跡を追ってゆく現在を生きるジュリアの姿が映画では交互に描かれていきます。
この描き方、効果的でしたね。


私は弱虫なので、当時の辛い様子があまりにもず~~っと描かれていると、もう見ていられない・・となってしまったと思うのですが、
現在のジュリアたちのシーンが挟まれることによって正直ホッとしましたし、今現在を見る事で改めて「で、サラは!?」という思いをまた強くすることができました。


やっとの思いで、自宅へと向かい決して離さなかった鍵で納戸を開けたサラの見たもの
予想はしていましたが、あの時の彼女のあげた悲鳴がいつまでも頭から離れません。

後にアメリカに渡り、結婚し、男の子を設けながらも・・彼女の中からは決して自責の念は消えなかった
ユダヤ人であることも隠し通そうとしたサラ、息子を守ろうとする思いもあったと思うのですが、まるで自分自身の存在を否定するかのように思えて。
これほどまでの悲しみを背負わされてしまったこと・・・辛すぎます。


サラの情報を追いながら、自分自身も夫との事、授かった命のこと・・どうすればいいのか、悩み続けるジュリア。

そんな彼女がついに中絶を決意し、これから手術に受けようかというその時、サラに関する1本の電話が彼女の決意を翻させる。
サラとジュリアの間に・・不思議なつながりも感じるシーンでした。


このシーンがあるからこそ、最後にジュリアがサラの息子ウィリアムに再会し(一度目の出会いが気まずいものに終わったことも逆にリアリティーがあったと思います)
生まれた娘を紹介するシーンにはなんともいえない想いが湧きあがりました。

「ルーシーはキリンの名前よ」
あぁ・・・やっぱり、そうだよね、うんうん、絶対そうだと思いました(涙)


ジュリアによって母親サラの本当の姿、その思いを知ることができたウィリアム。
こうして自分自身を葬ろうとしたサラは、息子の中で新たな姿で生き始め、ジュリアの中でもこれからも生きつづけてゆくんですね。

ジュリアの小さな娘の後姿が愛らしい暖かい思いが残るラストシーンでした。



しかしねぇ・・ジュリアのご主人、いい人そうなのに・・あそこまで生むことに反対するなんてねぇ・・って思っちゃいましたヨ。

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