2012
06.05

「渦 官能の悪夢」

渦~官能の悪夢~ [DVD]渦~官能の悪夢~ [DVD]
(2002/01/25)
マリ・ジョゼ・クローズ、ジャン・ニコラス・ベロー 他

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お友達のブログで発見俄然気になった作品です。

なんと監督さんは、先日の衝撃をまだまだ引きずってる『灼熱の魂』のデニ・ビルヌーブ。

主演のマリ・ジョゼ・クローズ、こちらも少し前に『唇を閉ざせ』を観ました。
派手さはないのに・・不思議な魅力を持った女優さんですネ。


なにやらとても怪しい、どこか地の果てのようなその場所で・・・いったいどちらのお国の方?と思われる男が包丁を研いでいる。
今まさにさばかれようとしているのは・・・巨大で不気味な魚!
グロテスクなその魚が口を開くと・・・。

この物語に私たちを誘うのは、瀕死の状態にある一匹の魚
魚と言ってしまうのにはあまりにもインパクトのあるその姿・・・、血まみれのその状況に冒頭から驚きで固まってしまいました。
いったいどんなお話なの~~~!?
この監督さん、本当に衝撃的な方ですねぇ。


「ある若い女性の物語を始めよう」

一転、場面は変わって・・しかし、こちらもまた横たわる女性。
その様子から堕胎手術を受けようとしているのだと解るのですが、彼女のその表情・・・管の中を流れてゆく赤い血・・・。
魚のシーンと言い・・始まりから驚きの連続です。



大女優を母に持ち、25歳という若さにしてブティックのオーナーというセレブリティ、ビビアン。
しかし店の経営は思わしくなく、加えて堕胎を行った罪悪感からも落ち込む彼女は、クラブでクスリと酒に溺れ、
酔って帰る途中、車で老人をはねてしまう。

恐ろしさで逃げ帰ってしまった彼女は不安にさいなまれるが・・・出頭する勇気もなく、車を埠頭から落として処分しようとするのだが・・・・。


う~ん、こうして言葉で書いてみると・・・暗いというか、トンデモナイお話・・・
事実、終始彼女の表情は落ち着かず、混乱し、寂しげなんですよねぇ。
しかし、マリ・ジョゼ・クローズ、こういう表情にとても魅力を与えられる女優さんみたい、惹きつけられてしまうのは何故でしょう。

いたたまれないお話のはずなのに、まるでどこか寓話的な雰囲気を醸し出している・・この奇妙で不思議な雰囲気のせいかもしれません。


ブルートーンの画像、
象徴的に登場する魚(冷凍車から流れ落ちた大量の魚、轢かれた老人の手にしていた魚、そして彼の職場の魚、極めつけはやはり、何度も登場するあの語り部、深海魚)

流れる血、

時折挟まれるのは「渦」の画像

飲みこまれてゆく、飲みこまれてゆく・・まるで運命のように。


いったいヒロインがどこへ流れついてゆくのか、想像できなかったお話なのですが、後半徐々に明らかになっていく人々の繋がりは輪廻さえ感じさせるかのようでした。


レストランで食べたタコの固さから(固いタコを食べると悪夢を見るって)紐解かれる轢かれた老人の素性、
その老人の息子との出会い。

彼とのことはそうなってしまうのかなあという予想はあったのですが、飛行機に乗ろうとする彼に走り寄るビビアンの姿は全く想像してなかったものでした!!

そしてその後明らかになった息子さんに降りかかるはずだった難についても。

この息子エヴィアンを演じた男優さん(ジャン・ニコラス・ヴェロー)の雰囲気もいかにも北欧~っていう感じでしたね。

彼がビビアンとの事を悩み、そこに偶然いた見知らぬ男に相談する
この見知らぬ男は、そう、前半ビビアンが同じように相談したあの方でしたね!こういう使い方がまた寓話っぽさを感じさせちゃうのかな。

音楽の使い方にも驚きました。

決して楽しいシーンでは無いところで突然流れる明るいポップス!その軽やかさ、明るさに驚きながらもそのギャップがまたとても印象的で、妙な救いを感じてしまう。

そういえば、ビビアンが親友から聞いた(この親友もまた不思議な女性でしたっけ)ノルウェーのあの歌の歌詞、意味があんなに残酷なものだったなんて



死んでゆく魚、生まれてくることが出来なかった命、突然死を迎えた老人、「死」というものがこんなにもありながら、
不思議なことに・・・救いのようなものを感じてしまう映画でした。
再生なんて言ってしまえるほど明確なものではないけれど、漠然としながらも、不安を帯びていながらも「明日」を感じさせる。


『灼熱の魂』の衝撃も忘れられないけれど、こちらもまた忘れがたい雰囲気をもった作品ですね。
いやいや~、ビルヌーブ監督さん、これからも要チェックです!!
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dot 菫色映画dot 2012.06.08 19:54
コメント
この映画のお話ができるのが、凄くうれしいです♪
隠れた名作だと思っているのですが……
知っている人、あまりいないですよね(それか感想を書いている人が少ないだけか)。

語り部が深海魚というのに先ずビックリしました。
そしてつながっていく業、名もなき、でも重要なポジションにいる通行人……。
瞳さんのおっしゃる通り、寓話的な映画ですね。

>再生なんて言ってしまえるほど明確なものではないけれど、漠然としながらも、不安を帯びていながらも「明日」を感じさせる。

あ~、これもわたしも鑑賞後にそう思いました。
って、今この話がどう帰着したか覚えてないのですが(おい!!)決してただ不安で淋しいだけの思いではなかったことだけ覚えています。

そして主演女優さんは、マリ・ジョゼ・クローズだったんですね。
当時彼女をまったく知らなかったので……
また見返してみたいです♪
リュカdot 2012.06.08 19:54 | 編集
瞳さん、こんにちは。
早速のご鑑賞、おめでとうございます。(笑)
私も最初のシーンで、あれ?これ中身のDVD間違ってるんじゃないの?とか思ったくらい・・(笑)意表つかれましたよね。
音楽も、ココでその音楽かよ!!・・とツッコミましたが(笑)
運命の繋がりの不思議や不条理・・喜び悲しみ・・がとても胸に迫ってきて好きな作品でした。
で・・
タコはどの程度固ければ苦情言っていいんだろう?・・とか漠然と思いましたが・・(毎回どーでもいい感想すみません)

マリ・ジョゼ・クローズ素敵でしたね。
瞳さんから教えて頂いた「唇を閉ざせ」も是非見たいです♪
tsurubaradot 2012.06.09 13:49 | 編集
> リュカさん、

私もリュカさんがご覧になっていてお話できて嬉しかったです。

> 隠れた名作だと思っているのですが……
> 知っている人、あまりいないですよね(それか感想を書いている人が少ないだけか)。
そうなんですよ、レビューとか書いてる方、少ないですよね。書きにくい・・ってこともあるかも?

> 語り部が深海魚というのに先ずビックリしました。
これは強烈~でしたよね。
全然可愛くないし、血がいっぱいだし(汗)

> そしてつながっていく業、名もなき、でも重要なポジションにいる通行人……。
> 瞳さんのおっしゃる通り、寓話的な映画ですね。
少し違いますが・・、アキ・カリウスマキの世界を思い出したりしましたよ。
ノルウェーが出てくるからかしら。


> って、今この話がどう帰着したか覚えてないのですが(おい!!)決してただ不安で淋しいだけの思いではなかったことだけ覚えています。
2人で海を渡っていましたね、そして灰を海に撒いていました。
海、水、命・・・ってどこか繋がっているような気がしますよね。巡りめぐって~~っていう感じ。
個人的に、妙に印象に残っているのが、深海魚が呟いた「ノルウェーの漁師は音楽で魚を釣る。私はグリーグの調べに釣られた~」っていう言葉でした。

> そして主演女優さんは、マリ・ジョゼ・クローズだったんですね。
> 当時彼女をまったく知らなかったので……
> また見返してみたいです♪
私、偶然にも先日「唇を閉ざせ」を観たばかりだったので!
とても雰囲気のある女優さんですよね。
dot 2012.06.11 16:44 | 編集
> tsurubaraさん

お帰りなさい~♪
東京いかがでした?またそちらでいろいろお話聞かせていただきますね~。

お帰りになってお疲れなのに、コメント入れてくださってありがとうございます。

> 私も最初のシーンで、あれ?これ中身のDVD間違ってるんじゃないの?とか思ったくらい・・(笑)意表つかれましたよね。
うんうん、私もそう思いました!なに・・これ~~って。
怪しすぎますよねぇ・・怪物みたいなんですもん。

> 音楽も、ココでその音楽かよ!!・・とツッコミましたが(笑)
やけに明るいポップス♪にも驚きでしたね。でもそこがまた、とっても印象的でした。


> タコはどの程度固ければ苦情言っていいんだろう?・・とか漠然と思いましたが・・(毎回どーでもいい感想すみません)
あははは~(笑)
私もあのシーンにひとり、食いついてました(爆)
先日TVでやってたんですけど、日本で一番タコを食べるのって香川県民なんですって。
そういえば、うちの主人は大のタコ好き。でも固い方が好きみたい。悪夢を見ちゃうぞ・・・とか思いながら見てました(笑)

> マリ・ジョゼ・クローズ素敵でしたね。
> 瞳さんから教えて頂いた「唇を閉ざせ」も是非見たいです♪

とても雰囲気のある女優さんですよね。
「唇を閉ざせ」も明るい役ではないんですよ~、悲しい役なんだけれど・・・似合うのね、そういうの。
とっても心に残りました。
dot 2012.06.11 16:51 | 編集
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