2012
05.20

「家族の庭」

家族の庭 [DVD]家族の庭 [DVD]
(2012/05/11)
ジム・ブロードベント、レスリー・マンヴィル 他

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地質学者のトム(ジム・ブロードベント)と、医学カウンセラーのジェリー(ルース・シーン)は互いを大切に思い、仲良く暮らすおしどり夫婦。

一人息子ジョン(オリヴァー・モルトマン)は優しく両親思いという、誰もが羨む理想の家族だ。

そんなトムとジェリーの家にはさまざまな人が集まってくる。
ジェリーの職場の仲間メアリーもその一人。夫婦の優しさに甘え過ぎるメアリーは、その夜も酔っ払い、彼らの家に泊めてもらうのだが・・・。


※ラストシーンについて触れていますので、未見の方はご注意くださいね。




なんだか地味映画の匂いがするわ~♪とタイトルで選んだら、『ヴェラ・ドレイク』などの作品を手がけたマイク・リー監督の最新作でした


人生をしっかりと楽しむ理想的な夫婦の名前が、なんとトムとジェリー
思わずくすっと笑ってしまいます。でも二人は追いかけまわることもなく(笑)互いの仕事に誇りを持ち、相手を思いやり、日々の暮らしを楽しむ・・・本当に羨ましいカップルです。

食事もジェリーだけが作るわけではありません、トムも腕を振るい、ワインをあけ、週末には揃って家庭菜園へ。
そこで取れた野菜を日々の食事に使ったりして、とにかく見ていて気持ちいい家族なんですね。

映画的にはこのおしどり夫婦に危機が訪れるのかしら?心優しい息子がとんでもない女性に引っかかるのかしら?などと思ってしまうのですが・・・いえいえ、そんな心配は全くありませんでした。


きっとどこまでもどこまでも、仲良しで、添い遂げるんだろうなあって思う夫婦なんです。
家は季節のお花で溢れ、なんとも居心地の良さそうなキッチン、あぁ・・・この上なく羨ましい生き方ですよね。


でもそんな二人の家に集まるのは、ちょっとどこか心配な人たち。

トムの友人、ケンは孤独な思いを抱え、休日を一緒に過ごす相手もいない。飲み過ぎ、食べすぎで明らかに健康診断には引っかかるタイプ。
孤独な彼を暖かく迎えるトムとジェリー。


奥さんを亡くしたトムのお兄さんは、とっても寡黙。息子とは全くうまくいっていない。
お葬式のあと、自分たちの家に兄を迎え入れる夫婦。


しかし・・一番の「心配な人」はジュリーの職場の友人メアリー。

男運がないと嘆き、トムとジェリーを羨み、ワインを飲みまくり、喋るのは常に自分のことばかり!!
あぁ・・見ていられない・・。
人の家で正体を無くすほど飲むなんてちょっとは人の話も聞いたら・・と思っちゃう。

そんな痛~いメアリーなんですが、どこか突き放してしまえないところがあるんですよね。
車だってお金を貯めて一生懸命買ったのに・・・あまりにもポンコツだったなんて・・・。



理想的な家族の家に訪れる・・孤独や不安を抱えて生きる人々。
春、夏、秋、冬とロンドンの季節が巡っていく。
取り立てて驚くような事件もなく、誰もが体験するような日々をしみじみと、ゆっくりと追ってゆく。
それだけのことなのに、こんなにも絵になる、映画になるんですね退屈することなど一度もありませんでした。


トムとジェリーの素敵な暮らしかた、生き方、いいな~♪こんな風に年を取れたらなあ・・と羨ましく思いながら、
一方で、ケンやメアリーの寂しさや不安でたまらない気持ちに心が騒ぐ

現実には2人そろって理想の晩年を迎えられるってなかなか難しいもの。
でもだらかといって、メアリーやケンとお友達になりたいか?って言われると実際には遠慮したいタイプなんですけどね



あぁ・・しかし、監督、このラストシーンの手厳しさったら。


もちろんメアリー自身が蒔いた種なんだけど(ジョンが連れてきたGFにあからさまな嫌がらせ!あぁ・・なんともみっともない)
ジェリーにも失望され、避けられ、暖かい夫婦の家に招かれることもなくなった彼女の・・・冬の訪問がなんとも寂しい。

夫婦が菜園に出かけている間に、留守番をしていたトムの兄に一生懸命語りかけるメアリー。
自ら淹れたお茶で寒い体と心を暖めようとする彼女の姿の痛々しいこと。


ラストシーンは、それでも家族の夕食の席に一緒にいることができたメアリーが、(ジョンの彼女も含めての)弾む会話の中に一切入っていけず、ただただ不安そうに目を泳がせるシーンで終わるんですね。


こ・・ここで終わっちゃうの!?
唐突に思えるけれど、これもまた春夏秋冬、流れゆく時の、ある1日、ある瞬間。
明日はまた違った日になるかもしれないし、今日と同じかもしれない。
厳しいようだけれど、そういうもの・・。

こういうラストを全く予想していなかっただけに、とっても意外でビックリしたのですが、それだけに強い印象を残しました。



メアリーを演じたレスリー・マンヴェルがなんともいえません。
醜態をさらしながらも、どこかほっとけない、弱さや哀しさや、いろんなものをひっくるめて「なんとも言いようのない人物」でした。




本筋とは直接関係ないのですが、冒頭に登場するのが監督の「ヴェラ・ドレイク」にも出演していたイメルダ・スタウントン。
さすがの存在感でとっても気になりました。

もう1年も眠れないと病院を訪れジェリーにカウンセラーを受けた彼女の、幸せな時を思い出せないというあの暗い表情、いったい何があったのか、今でもとっても気になります。


そうそう「ヴェラ・ドレイク」もお茶のシーンが印象的な映画でしたが(Tea&Ciemaに挙がってます)
本作もお茶のシーンがいっぱいでしたよ~!!


家族の庭 家族の庭2


家庭菜園の後も、ちゃんと一休みのお茶のシーンがありましたね♪

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