2012
04.25

「アーティスト」

アーティスト


1920年代、映画がサイレントからトーキーへと移行する時期のハリウッド。
映画会社キノグラフの看板スター、ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)は共演者でもある愛犬アギーとともに今日も舞台挨拶で拍手喝采を浴びていた。

そんな彼の大ファンの一人ペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)。
新人女優を目指すペピーは、社のオーディションに合格し端役をもらえることに。


やがて映画は新しいトーキーの時代へ。
サイレント映画こそ芸術だと信じるジョージは、時代の波に乗り切れずしだいに忘れられていく・・。
一方、ジョージのアドバイスで生まれた、つけぼくろがチャームポイントとなったペピーは、人気女優への道を駆け上がってゆく・・・。



チャップリンとキートンをこよなく愛する息子の影響で、サイレント映画、実は結構観ているかも。

でももちろん、スクリーンで、しかも2時間ものサイレント映画なんて初めて。
現代に蘇ったサイレント映画、とっても楽しみにしていました♪


幕が開くと(まさにこういう雰囲気です)モノクロの映像が流れ・・・やっぱり当然声は出ない~!
おお、本当にサイレントだなんてニマニマしてしまう(笑)


まずは、ジョージの演じるサイレント映画が劇中流れます、スパイ映画でしょうか。賢いアギーに助けられて見事脱出~♪
・・とそこから今度は裏で観ているジョージや社の人々の姿。
そしてもちろんスクリーンの前には大勢の観客たち。

舞台挨拶に登場するジョージの看板スターとしての自負とオーラ、そしてちょっぴりお茶目な笑顔

冒頭のこの一連のシーンで、ジョージがサイレント映画でどれほどの人気を誇っているのか、言葉や台詞を使わなくてもそれはもうすんなりと伝わってくる。
彼の表情や動きにいつのまにか見入ってしまっているから。

ふふ、今はこんなことを言ったのかな?こんな気持ちなのね、きっと
なんて自分だけの想像の余地を楽しみながら。


そんなサイレントの面白さをしっかり生かしたシーンがた~~っぷり。


舞台裏、つるされた布の下から見えるペピーの美しい足に、ジョージが注目。
互いにステップを踏みあうシーンの面白さ。


アーティスト2


ペピーがジョージの楽屋で彼のタキシードに片手を滑らせて・・・まるで抱かれているかのようにダンスを踊る♪
あぁ・・ドキドキ。


映画の後半、落ちぶれたジョージの部屋のベッドがバタンと閉じて壁に収納!なんていうシーンには、思わず「出たー!お約束?」なんて(笑)


そうそう前後しますが、撮影所の階段でジョージとペピーが出会うシーンも印象的でした。
カメラは大きく引いて取っているので・・・彼ら二人だけではなくってまわりの人々の姿も全部分かるようになっているんだけど、
階段の中ほどで楽しそうに話す2人の姿が中心に映り、やがてジョージは階段を下りていきペピーは軽やかに駆けあがってゆく。
この後、2人がどうなってゆくのか、なんて鮮やかに暗示されているのでしょう。



そんなサイレント映画の面白さ、愛すべき数々のサイレント映画へのオマージュを散りばめながら、
でもこの映画、そこに全く新しい魅力をたっぷり加えています。


そう、古いけれど・・・新しい



トーキー映画の普及に、でも自分はサイレントを貫くと宣言したジョージが見る夢のシーン。
いつもは音がしないはずのグラスを置くとカタン!
電話が鳴り、アギーが吠える!
自分を取り巻く世界に突然溢れる音の世界!

驚くジョージの目の前にふわり~と何かの羽のようなものが落ちてくる。

ガッシャーン!

驚きました!飛びあがりそうになっちゃった!サイレント映画で音にこんなに驚かされるなんて!想定外だー(笑)



ラストも楽しい~♪


中盤から後半にかけて、ジョージの没落っぷりが哀しいシーンが続いて・・・それを見ているペピーの辛さも分かるので
この起死回生のアイディアと(伏線はあの布を隔ててのステップシーンでしたね)

わ~~と湧き起こる音や台詞の洪水が、一気に喜びや興奮を爆発させてくれるみたい。


俳優さんたちもまさにサイレント映画にドンピシャ!

ジョージを演じるジャン・デュジャルダンは、古き良き時代のスターっていう貫禄とともに少年のような繊細さとチャーミングさ。
そしてアーティストとしての自負と頑固さもまさに併せ持つっていう感じだし、

ペピー役のベレニス・ベジョ、つけぼくろが本当に良く似合う。帽子や衣装もバッチリ決まっていましたね。
ジョン・グッドマンやジェームズ・クロムウェルがしみじみといい味ですよねぇ。


アーティスト3


そしてもちろん、賢くて愛らしいアギー。
なんて芸達者なんでしょう、可愛いんでしょう。
こんなコがついているなら、落ちぶれたってきっとなんとかなるにちがいない!なんて思ってしまいましたヨ。

少し前に観た「木洩れ日の家で」でのワンちゃんと並び、私の中での助演ワンちゃん賞に輝いています




いまどきモノクロ、えっ!サイレント?
そんな驚きが納得に変わります。

もう一度言っちゃおう、古くて新しい

これは今まさに、現代のためのサイレント映画。


ただただシンプルに映画を楽しみ、愛する気持ちを思い出させてくれた1本です。
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The Artist2011年 フランス 監督:ミシェル・アザナヴィシウス 出演:ジャン・デュジャルダン    ベレニス・ベジョ    ジョン・グッドマン    ジェームズ・クロムウェル ...
アーティスト dot 菫色映画dot 2012.05.04 22:35
コメント
素敵な映画でした~♪

それにしても、息子さん、お若いのにチャップリンとキートンお好きなんて凄い!
瞳さんもたくさんサイレント映画見られているんですね。
やっぱり映画の歴史として押さえておかなくてはな~、と今更にして思っています。

あの階段のシーンは、わたしはそんな象徴的なシーンだと全然気づかず……。
なるほど、はっきりした伏線だけでなく、こうしたことも計算された映画なんですね。

古いけれど新しい、という表現もぴったりだと思います。
ハッピーエンドだったのもうれしかったなあ。
二番煎じが出てこられない完璧な作品だと思います♪
リュカdot 2012.05.04 22:35 | 編集
>リュカさん

こんばんは~。GWゆっくりされましたか♪

「アーティスト」遠くの映画館でしかやってなかったのですが、頑張って見てきました、良かったです。

そうなんです、息子は何故かサイレント映画好き。
特にキートンが好きみたい。なので私もキートン作品はほとんど観ています。
邦画は小津監督作品をよく観ていますよ~、渋い(笑)

あの階段のシーン、他とは違ってすごく引いて撮ってましたよね~。面白いなあって思って。
軽やかに駆けあがってゆくペピーが印象的でした。

ハッピーエンドが嬉しいですよねぇ。
後半ジョージの寂しい姿を見ていただけに格別でした。


>二番煎じが出てこられない完璧な作品だと思います♪
まさにその通りですね~!!
dot 2012.05.06 21:54 | 編集
こちらにも、お邪魔します~。

私もようやく劇場に行けるようになったので、今週で上映終了だと知り、ギリギリセーフっ!で観てきました。
ほとんど事前情報もなく、ただオスカー作品でフランスの映画だということのみでの鑑賞・・。
感想は、本当に素晴らしい映画、いえ愛すべき映画だということです。
久しぶりの劇場映画がこれでよかった! 弾みがつきそうだもの(笑)

息子さん、さすが瞳さんの血筋ですね~~、感心しちゃいました。
私は、サイレント時代の俳優さんは、少し知っていても(昔の映画雑誌とかでね^^;)、実際にきちんと観たのは、これが初めてかも・・。
チャップリンの映画も、余り観ていないしね~~(反省)
だから、外国のサイレントムービーは、こんな感じだったのねと思いました。
日本だと、弁士が居たりしてね。
そういうのも、TVドラマで観たりした記憶が・・^^;

映画の中に、サイレント時代からトーキーまで、様々な映画のオマージュが散りばめられていそうですよね。
そういう演出が、幅広い映画ファンの心を捉えて、皆に愛される映画になったのでしょうね。

ところで、アギー君?ちゃん? 名演技でしたね。
あの火事をお巡りさんに知らせるシーン、こっちまでドキドキしちゃって、鈍感なお巡りさんに腹が立っちゃったわ(笑)
うちのらんも、アギーって名前に変えようかなぁ、少しはお利口さんになるかもしれないしね(*^^)v

「木洩れ日の家で」、間もなく鑑賞予定です~、こちらもワンちゃんが出演なんですね、楽しみだわ♪

あ、瞳さん、私たちの?ポールとヘイデンの「テイカーズ」ご覧になっています?
この二人の共演だけでもうれしいし、内容もまぁまぁ楽しめるものでした。
ご覧になっていたら、すみません・・^^;
では、またお邪魔しますね(^^)/
みぬぅdot 2012.05.11 17:32 | 編集
> みぬぅさん

こんばんは~。
こちらにもコメントありがとうございます♪

わ~、「アーティスト」劇場鑑賞セーフだったのですね~!!良かったですね。
私もね、劇場がちょっと遠かったのですが、これは観ておかなくては・・と思って。

本当に愛すべき映画でしたね、うんうん、素的な映画で劇場鑑賞が再会して良かったですね。

息子は古い作品が好きなんですよ~(笑)
たまにどこで検索してきたの?と思うような邦画も観ています。

私もね、一緒に観たのはチャップリンとキートンくらいなんですけど、サイレントからトーキーへ移り変わる時代の波にうまく乗れなかった俳優さんたちもたくさんいたみたいですよね、
キートンもそうですし。
そういった意味での(この時代の)俳優さんたちへの思いや、たくさんの映画へのオマージュが感じられましたね。


あ、弁士、うんうん、私もTVで観たことがあるような。

> ところで、アギー君?ちゃん? 名演技でしたね。
> あの火事をお巡りさんに知らせるシーン、こっちまでドキドキしちゃって、鈍感なお巡りさんに腹が立っちゃったわ(笑)
賢いですよねぇ、そうなの!!
早く行ってよ、お巡りさんーーーって思っちゃった(笑)きっと観ているひとみんなそう思いましたよね。

> うちのらんも、アギーって名前に変えようかなぁ、少しはお利口さんになるかもしれないしね(*^^)v
あははは~(笑)
らんちゃんもきっと賢くなりますよ~!美人で聡明そうだもの。

> 「木洩れ日の家で」、間もなく鑑賞予定です~、こちらもワンちゃんが出演なんですね、楽しみだわ♪
うわぁ、嬉しいです。みぬぅさんの感想、楽しみにしていますね。
こちらのワンちゃん、とっても表情がいいの。
特に最後のシーン、思わず泣きかけましたヨ。素晴らしい演技です。

> あ、瞳さん、私たちの?ポールとヘイデンの「テイカーズ」ご覧になっています?

おお、みぬぅさん、さすがですね、もうご覧になってたのね。
ビデオショップで見かけたのですが、ネットレンタルが届いていたのでまだ借りてないんですよ。
ヘイデンと共演って嬉しいですよね!!
私も観ますね~、またお話に伺います♪
dot 2012.05.12 21:21 | 編集
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