2012
02.11

「甘い罠」

甘い罠 (クロード・シャブロル コレクション) [DVD]甘い罠 (クロード・シャブロル コレクション) [DVD]
(2011/10/29)
イザベル・ユペール、ジャック・デュトロン 他

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スイスのチョコレート会社の重役のミカと高名なピアニストのアンドレ。
一度離婚した二人は、アンドレの再婚相手リズベートの死後、よりを戻し再婚することに。

リズベートとの間に生まれた息子ギョームとともに静かな生活を送り始める3人だったが、ある日一家のもとに若いピアニストの卵ジャンヌが訪れる。

ギョームと同じ日、同じ病院で生まれたジャンヌ。
自分が生まれた直後、アンドレの子と間違われたというエピソードを聞き好奇心に駆られた彼女だが・・・。




※ ネタバレしています、未見の方はご注意くださいね。



シャブリル監督2000年の作品です。
『MERCI POUR LE CHOCOLAT』原題は、「ココア(ショコラ)をありがとう」


チョコレート会社の経営者であるミカは、再婚したアンドレの息子ギョームに毎夜ココアを作るのですが、
実はそのココアの中には睡眠薬が入れられていた!!という

甘いココアの中に潜む苦くて・・怖~いサスペンス。


でもこのココアの中の睡眠薬、何故?どういうこと?何がしたかったの?・・最後まで明らかにされませんでした。
自分で作ったココアをわざとこぼして、それを見てしまったジャンヌが不審に思うことから疑惑が広がっていくのですが、
ミカのこの行動の意味(観終わっても)分かりません。
何故?なぜ?どういうこと~~?


表面は穏やかで静かな微笑みを浮かべた彼女(でもかなり不気味な感じ~)がなぜ「悪に長けている」行動に走るのか。

アンドレを自分ひとりのものにしておきたいから?
自分のさい配で周りの人が動かないと気が済まないから?

最後にアンドレに漏らした・・愛されずに育った子どもだから・・?

それとも・・?

はっきりとは明かされないだけに・・だからこそ、よけい気になるのね、怖いのね。


終始とても静かに、穏やかに物語は進んでいく・・。
でもその静けさ、穏やかさの裏にちらつく不穏な空気、冷たい影。

冒頭、ミカとアンドレの披露宴の時に囁かれる噂話にすでにもう影がチラつく・・・あぁ、上手いわ、気になるわ。



口元は上がっているのに笑顔にも見えず、人に視線を向けながらも心はどこにあるのだろうか・・。
この(ミカを演じる)ユペールの表情がスゴイですねぇ。


そんなミカと対照的なヒロインがジャンヌ。
溌剌とした美貌、怖いもの知らずとさえ思ってしまう若さゆえの魅力。

シャネルのミューズ、アナ・ムグラリスこれがデビュー作なのかな?

自分が出生時にアンドレの子どもと間違われたと聞いたからと言って、「私はあなたの娘かもしれません」なんて・・・突然家にまで押しかけて言っちゃうなんてちょっとスゴイよね。

若さの勢いってコワイ
私が奥さんだったら嫌だけどねぇ。

でもミカは彼女を受け入れ、ピアノの練習のために宿泊してはどうか?とまで薦めちゃう。
う~ん、読めないんですよねぇ、ミカの心って。


「私はみんなの幸せを願ってるの」
なんて言葉がするり~と出てくるのって、かえって本当とは思えない、逆に怖いって思っってしまう。
どこまでが本当の気持ちで、どこまでが彼女が内に秘めている悪意なのか・・。それを計れないだけに怖いんです。

リズベットの死に関するミステリーやココアに入った睡眠薬のわけよりも・・
彼女の心の内にある謎がずっとずっと深い。


ラスト、ついに自分が行った犯罪をアンドレに知られてしまった(アンドレ、いくらピアノに一生懸命だからって・・気が付かないかなぁ、それまでに)ミカは、静かにソファに横になり、一粒の涙を零します。

いったい、誰に向けての、どんな思いでの涙だったのでしょう。


ソファーにかかった(ミカの編んだ)まるで蜘蛛の巣のような模様のストールにゾクッ。
そして足を丸め、自分で自分を抱きしめるかのようなミカの背後に、アンドレの弾く「葬送」が流れる・・・。


自業自得なはずなのに・・ミカのこの姿、とても哀しく見えて
絵になる・・なんて言ってしまっていいのか分かりませんが、芸術的な怖さまで感じちゃうラストシーンでした。



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