2011
10.12

「ヤコブへの手紙」

ヤコブへの手紙 [DVD]ヤコブへの手紙 [DVD]
(2011/09/30)
カーリナ・ハザード

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終身刑で服役中のレイラに恩赦が言い渡される。
それを知らされても喜ぶ様子もないレイラ・・・、釈放されても行くあてもない彼女は、不本意ながらも乞われるまま、あるひとりの牧師の家で働くことになった。

荒れ果てた牧師館に住む高齢のヤコブ牧師は盲目の身。
悩める人々、救いを求める人々から届く手紙を読み、その返事を牧師の代わりに書くこと・・、それがレイラに与えられた仕事だった。

「ヤコブ牧師、手紙が届きましたよ~」
自転車に乗った郵便配達夫がやってくる・・、レイラは毎日訪れる配達人も手紙も鬱陶しくてたまらない。
ある日、届いた手紙の何通かを井戸に捨ててしまうのだった・・。

しかし、ある時から、毎日届いていた牧師への手紙がぷっつりと届かなくなってしまう。

手紙の返事を書くことだけが、外の世界とのつながり。
生きがいとなっていた牧師にとって、もう自分は必要とされていないのではないか・・、そのあまりにも気落ちした牧師の姿にレイラは・・・・・。




フィンランド・アカデミー賞(Jussi Awards)最多部門受賞、そして、第82回アカデミー賞外国語部門代表選出作品


人を寄せ付けない、心を閉ざした表情、その大きな身体に威圧感まで覚えちゃう主人公レイラ。
でも、終身刑だなんて・・いったいどんな罪を犯したのかしら・・。

暖かく迎えてくれる牧師に対しても、彼女の心は凍ったまま。
紅茶を・・と勧められればコーヒーを自分で入れ、カップを隣に置かれてもわざわざ離れた場所へと持って行ってしまう。

この牧師、本当に目が見えていないの?と疑って目の前にパン切り包丁をかざしてみせるシーンなんて、ちょっと恐かったりするのです。
おまけに、届けられた手紙の数通を井戸に捨てちゃう始末ですから・・。


「やっこぷ~~ナントカカントカ」
ちょっとユーモラスな配達人の呼び声。

でも、レイラと配達人が険悪なムードになった直後から何故か牧師への手紙が届かなくなってしまう。
もしや配達拒否?なんて思ったら、そうじゃないんですね、手紙は本当に届いていない。
(夜、牧師館に忍び込んできた配達人さんの行動には、いろいろ想像しちゃう部分がありますが・・・)


「毎日届くと思ったらいけないね」と自身に諭すように言っていたヤコブ牧師が、でも次の日も、また次の日も手紙が来なくなると・・どんどんと気弱になっていく。

雨漏りがするような荒れ果てた牧師館に住み、悩める人々、救いを求める人々へ返事を書くヤコブ牧師の姿は、まるであの「バベットの晩餐会」の清貧な姉妹に重なるようにも覚えて。
食事も毎日ライ麦?パンとお茶だけ。
コーヒーもだけど、紅茶も茶葉じゃないんですね、粉末をいれてましたっけ。


少年のころから聖書を読み、高齢になった今でも、送ってくれた過去の手紙の主のことをしっかり覚えているヤコブ牧師は、牧師の中の牧師!まさに神のお使いのように見えたのに

誰も来ないのに婚礼があるから・・などと教会に向かい(あの最初に映った可愛らしい建物は教会だったんですね)祈りの言葉が思い出せないと悲しみ・・、
もう誰にも必要とされていないんだと嘆き悲しむその姿。
牧師に悩みを打ち明ける人々と同じなんだなあと驚きを感じました。



そんな牧師を置いて一度は牧師館を後にしようとしたレイラですが、彼女もまた・・・一人。

「まだここにいてくれたんだね」
戻ってきた牧師がかけた言葉は、きっとこれまでよりもずーーと素直にレイラに響いたに違いありません。

寝込んでしまった牧師のために枕元に紅茶を淹れて持っていくレイラ。
仏頂面だった彼女の表情が、少し、すこ~し柔らかくなっているのを感じます。

そしてそんな彼女が、牧師のために打った一芝居。
来ていない手紙の代わりにカタログを手にし、封を切る真似をして彼女が読み上げたのは、自分の過去、犯した罪。
誰にも語らなかった辛い思いを牧師に打ち明けるその姿
そんな彼女に牧師が渡したのは・・何通もになった牧師への手紙でした。

「何度も何度も手紙をくれる人もいるんだよ・・・」



神の為に尽くしてきたと思っていた牧師が、実は自分も生かされていたんだと・・そう気づいたとき、
レイラもまた、自分を案じ、ずっと思い続けてくれた人がいることを知り、涙します。



登場人物もほぼ3人、舞台も田舎の牧師館と教会という小さな世界でありながら、神と愛と生きるということ、生かされるということ、全ての悩める人々に繋がる・・これ以上ないくらい大きな世界かもしれません。


でも決してそれを難しい言葉や、まわりくどい表現で現わさずに・・聖書の言葉はよく理解できない私でも、
思ってくれる人や、必要とされていることに人は生かされている、それによって強く生きていける・・っていうことをとっても素直に感じさせてくれる作品でした。

こういう部分も「バベットの晩餐会」を思い出しちゃうなぁ。




「紅茶を淹れてくるよ、あ、コーヒーもね」

隣に座り、笑いあって一緒にお茶を飲むシーンは無かったけれど、そう言った牧師の笑顔とそれにこたえるレイラの表情を観ただけでね・・・胸が暖かくなりました

荒れ果てた牧師館でしたけど、裏庭の緑の中の白いベンチは素敵だったなぁ♪

本館のTea&Cinemaにももちろん、挙げたい作品です。

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コメント
瞳さん、こんばんは。
ヤコブとバベット、どこか共通するもの・・が色々とあるみたいですね。
私も瞳さんから言われるまでは意識していなかったけど、
そう言う所に、心つかまれたのかもしれません。

ところで、今までTBがお互いに出来なかったみみこさんブログで、
最近、なぜか急にどちらからも出来る様になったんで、こちらでも試してみました。
・・が、ダメかな?今の所、表示はされてないですね;;
つい、二度ほど別の方法でトライしてしまったので、
もし編集ページ等に何か変なリンクとかついてしまってたらすみません。
ちゃんと出来たらいいんだけどなあ~~。
つるばらdot 2011.10.14 23:27 | 編集
>つるばらさん

おはようございます。
何故かしら、北欧の空気・・・、つつましやかな牧師の生活が姉妹を思い起こさせたのかもしれません。
実は私もレイラ同様、最初は牧師さん、本当に目が見えないのかしら・・なんて思っちゃったんですけど。

聖書の言葉もいろいろ出てきましたよね、信心深い人ならそこからも感じ取れる部分があるのかしら。
でも宗教云々だけでない、人とのつながりも強く感じさせてくれるから素直に感動しちゃいますね。

TB!!そうだったのね~。
みみこさんち、うちと同じFC2なんですけど、私の方からなぜかTBが出来ないの・・。いつも試してみるんですけど・・。
こちらでも試してみてくれたのね・・・出来るところと出来ないところ、何が原因なのかしら。
私の方もTB試してみますね。

dot 2011.10.16 08:58 | 編集
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