2011
06.15

「そして、デブノーの森へ」

そして、デブノーの森へ [DVD]そして、デブノーの森へ [DVD]
(2007/12/21)
アナ・ムグラリス、ダニエル・オートゥイユ 他

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世界的ベストセラー作家でありながら、その人物像が一切明らかにされていないセルジュ・ノヴァク。
執筆以外の活動をすべて代理人に任せ、謎のベールに包まれたこの作家をめぐり、文学界はもちろん、読者たちの興味も尽きない。

そんな彼に関する討論会が、図書館の一室で開催されようとしていた。
周囲を見渡す一人の男の姿・・・ダニエル。彼こそが、セルジュ・ノヴァク本人。

討論会の会場をあとにしたダニエルは、義理の息子の結婚式に出席するため、南イタリアのカプリ島へと向かうのだが、その船上で若く美しい女性ミラと出会う。

一夜をともにした2人・・・。
しかし、翌日式場で華やかな姿を見せる花嫁こそ、昨夜あんなにも激しく求めあったミラその人だった・・。



義理の息子の花嫁とは知らずに出会ったとはいえ、その魅力に溺れていく中年男性。

魅力的な美女の誘惑をダメだ、ダメだと思いつつも抗えずに、しだいに破滅への道へと向かってゆく・・・。

…と聞くと、よくあるパターンだわ~~!と思うのですが、
これが、これが・・・。

このお話、それだけではなかった。




※ネタバレしていますので、未見の方はご注意くださいね。





もちろん、ミラの魅力はとびきり
演じるアナ・ムグラリスは、かのシャネルのミューズとしても有名な方なのだとか。

顔立ちは甘いというよりは、少しボーイッシュ、硬質な美しさ

そして、何と言っても惜しみなく見せてくれるしなやかな肢体。

う~ん、あちらの女優さんって、なんておしげなく披露してくれるんでしょう
長い首筋、背中のラインも綺麗~、激しく求めあうシーンにドキマギものです。

脱いでも美しい彼女、もちろん、服の着こなしも抜群。
デザイナーズブランド、特にシャネル?(疎いので自信無し)の洋服の着こなしときたら、見事です。


そんな彼女の視線を受ければ、それはもう、ダニエルとしても放ってはおけない
息子からおやじは若い女性が好きなんだ・・なんて陰口を言われていますから、なおさらなのかも。



ダニエルを演じるのはダニエル・オートゥイユ。こちらも、またおしげなく・・というか、頑張っていらっしゃいますよねぇ


ミラが息子の嫁と知り、一度は彼女を拒否したダニエルですが、そんな義父をミラは諦めません。
ついには、彼女と再び関係を持ってしまうダニエル。

しかし、ダニエルが彼女を自分の人生に迎え入れてしまったのは、彼女の美しさもからだの魅力もあったかもしれないけれど
同じユダヤ系ポーランド人と知り、彼女が母国語のイディッシュ語を話すことが出来ると知ったこの時のダニエルの変化・・。


アゴタ・クリストフの本を読んだとき感じた、作家にとって母国語というものがどれだけ重みをもつのか。
ダニエルの表情にもそれを感じて・・この変化がとても興味深い。



同じ国から来て、同じ言葉を喋る人、自分の人生の中に、ミラを迎え入れてしまったダニエル。
しかし、そのことが、これまでは世間から隠してきた自分というものの姿、そして亡き友との間にあった秘密をも、白日の下にさらしてしまうことに。



ダニエルの過去に隠された秘密、彼の作品と亡き友の人生を巡る・・その秘密。


そしてまた、しだいに謎めいてゆくミラに隠された過去も。


後半、これほどミステリアスな展開が待ち受けているとは思いもよりませんでした。



「そしてデブノーの森へ」
この邦題、原題の「欲望の代償」より、好きです。


森の中で彷徨い、歩きながら・・・過ぎ去った若き日の自分を思い出すダニエル。紡ぎだされるその言葉。
これは、彼の著作からの言葉なのでしょうか。



「作家とは他人の人生を盗むこと」


この言葉もまた印象的。
森を歩き、影のように生き、言葉を世に送りながらも決して自らの姿を見せることはない。

そうして生きてきた彼が、妻も失い、秘密を暴かれた今(その秘密は決して恥じるものではなかったにせよ)
生きていく意味を失ってしまったのだろうか。


処女作は友人が書いたものだったにせよ、それ以降の作品は彼自身が書いてきたもの。
作品の中盤で、彼が執筆した原稿を奥さんに見せたシーンがありました。


「これまでとは違う、あなた本人に少し近づけた・・と感じることが出来る作品だった」


彼の変化はミラとの出会いのため?母国語との再会のため?

森から出て自分自身を語る・・・そんな作品を書いていって欲しかった。
「戦わないの?」
そう言ったミラの言葉のように。




過激でドキドキもののシーンで始まった本作。
アナ・ムグラリスの美しさも光る作品ですが、
恵まれた生活を送りながらどこか影のように生きてきた男が、森をさ迷い歩く・・あのシーンが忘れられなくて。


デブノーの森の中に立つ、一軒の家を振り返った・・ダニエルの瞳。
あの時の彼の脳裏には、いったいどんな風景が広がっていたのでしょう。

亡き友ポールが書いた処女作のモデルはダニエルだった・・・、
二人の間に流れていたものや、ユダヤ人としての歴史も想像してしまって(描かれない分、想像が膨らみ過ぎたかも)
なんだかとてもいろんな思いが残りました。

いやぁ~~、これは意外でした。




ダニエルの奥さん役はグレタ・スカッキ。
落ち着いた円熟美もありながら、可愛らしさも兼ね備えた彼女もとてもチャーミングで素敵でした♪
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そして、デブノーの森へアナ・ムグラリス ダニエル・オートゥイユ グレタ・スカッキ アット エンタテインメント 2007-12-21by G-Tools 得てしてファム・ファタールというものは男の身を ...
そして、デブノーの森へ dot 菫色映画dot 2011.06.16 22:35
コメント
実はストーリーを殆ど忘れてしまった作品でした。
だから瞳さんの詳細なレビューがとてもありがたいです。

>同じ国から来て、同じ言葉を喋る人、自分の人生の中に、ミラを迎え入れてしまったダニエル。

これは多分見落としていました。
なるほど、主人公はただ情欲に溺れたというわけではなかったのですね。
その辺を踏まえてまた機会があったら見直したい作品です。

アナは本当にきれいでしたね。
思い出せるのが彼女のほんとに硬質な美しさと見事な肢体です。
『シャネル&ストラヴィンスキー』でも魅せてくれましたっけ。

原題は実に教訓じみた感じなんですね。
わたしもこの邦題の方が好きです♪
リュカdot 2011.06.16 22:33 | 編集
こんにちは、瞳さん^^
私もこれ去年見たんです。
なかなかどうして、ムードと深い内容のある映画でした。

>「そしてデブノーの森へ」
この邦題、原題の「欲望の代償」より、好きです。

私もです。
瞳さん、とても丁寧にレビューを書いていらっしゃいますね★
いろいろなシーンがよみがえってきました。
再見してみたい作品です。
latifadot 2011.06.18 18:23 | 編集
>リュカさん

こんにちは~♪
リュカさん、幅広く見ていらっしゃるから!これもレビュー発見して嬉しかったです。

>同じ国から来て、同じ言葉を喋る人、自分の人生の中に、ミラを迎え入れてしまったダニエル。

若い娘が好きって息子に言われていたので、もしかしたらこれまでにもこういうケースがあったのかな・・って思ったの。冒頭の図書館でも彼、若い女性をじっと見ていたし。

ミラの美しさは特別だけど、もしかしたら彼女が同郷で無かったら、ダニエルはこんなに執着していなかったのかな・・って感じて、この言葉印象的でした。


> 『シャネル&ストラヴィンスキー』でも魅せてくれましたっけ。
おお、出てるのね!マッツさんの出てる作品でしたっけ。
私も観てみよう~っと。


> 原題は実に教訓じみた感じなんですね。
> わたしもこの邦題の方が好きです♪
デブノーの森、なかなか登場しませんでしたが、森のシーンがとても心に残ったので・・・この邦題、いいですよね。原題は・・ストレートすぎるよねぇ(苦笑)
dot 2011.06.19 18:06 | 編集
> latifaさん

こんにちは~。

おお、ご覧になってたのね!
latifaさんちで検索したんだけど・・あらっ、私なぜか探せなかったの、コメント入れてくれてありがとう♪

> なかなかどうして、ムードと深い内容のある映画でした。
よくあるお話かな・・と思ったけれど、ダニエルの過去とか、いろんな思いが残る作品でしたよね。
そうそう、ムードも好きです。
音楽も印象的でしたよね。



>「そしてデブノーの森へ」
この邦題、原題の「欲望の代償」より、好きです。

うんうん、そうだよねぇ。原題では夢が無いわぁ(笑)
日本人はやっぱりソフトで夢があるタイトルがいいよねぇ~♪

> 瞳さん、とても丁寧にレビューを書いていらっしゃいますね★
ありがとう~♪
でも、最近レビューなかなか挙げられないの・・・・溜まってます~~。

またそちらに遊びに行きますね♪

dot 2011.06.19 18:15 | 編集
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