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Slow Dream

縁あって・・・本や映画と巡りあう。




「瞳の奥の秘密」 :: 2011/02/23(Wed)


刑事裁判所を定年退職したベンハミンは、25年前のモラリス事件を題材に小説を書こうと決意し、かっての職場を訪れた。

迎えてくれたのは、元上司であり、今は検事となり2人の子どもの母となったイレーネ。

変わらず美しく聡明な彼女を前にして、ベンハミンは自分がいまだ過去に生きていることを実感する。
小説を書き進めながら、事件の裏側に潜む謎とイレーネへの想いに向き合うことを決意するベンハミンだが・・・・。



背中が語るものもある、登場人物の全身から感じ取る物語も。

そして「目は口ほどにモノを言う」、この映画は「瞳が語る」物語

「一番思い出に残っていることから書き進めたら」とイレーネにアドバイスされたベンハミンの脳裏には鮮やかなシーンが浮かぶ。

それは若き日のイレーネとの初めての出会い。
キラキラと輝くような瞳をした彼女を息をのんで見つめた瞬間。

暴行され殺害された若妻リリアナの、(かってどれほど美しかっただろうと思われる)物言わぬ瞳は、なによりも雄弁に事件の残酷さを訴えていた。

そして、犯人のヒントをベンハミンが掴んだのも、写真に写った一人の男の暗い情熱を秘めた瞳だった・・・。


登場人物たちの瞳が、スクリーンの向こうから熱く、哀しく語りかけてくる。

ベンハミンの相棒パブロ(いいキャラでした!)の語った「ひとにはそれぞれ捨てられないものがある、情熱をかけるものがある」
この言葉は物語を支える大きなキーワードになっていると思うのですが、
そんなそれぞれの情熱、こころの内を瞳が語りかけてくるかのようでした。


過去と現在が交差する展開の中で、殺人事件というミステリー的な部分と、男女の愛の物語、ドラマ的な部分とが・・・どちらかが抜きんでることもなく、バラバラになることもなく、見事に溶け合う脚本も素晴らしいし、

これほど哀しく切ないものを描きながらも、時にはとてもユーモラスであったり(勝手な捜査をしたベンハミン&パブロが叱られるシーンが可笑しい)
さすがサッカー王国!迫力あるサッカー場シーンに驚いたり。

挟まれた回想シーンの使い方も上手い~~♪
てっきりすべてがモラリス事件についてのベンハミンの回想かと思いきや、彼自身の何より忘れがたい思い出のシーンもあったのですから。

この駅での別れのシーン・・・見ているこちらまで胸が痛くなってきました


それにしてもラテン系の男性、情熱と衝動で愛に突っ走ちゃう!という印象があったのですが(苦笑)学歴の違い、上司と部下という立場・・あぁ・・・ベンハミン。
時としてとってもじれったいくらいでしたヨ。

でも「過去は専門外」と言い、振り返らないでおこうとしたイレーネを動かした彼の情熱はやはり熱い。
恋人にしか見せないとイレーネがかって語った最高の笑顔が、きっとドアの向こうにあったに違いありません。

Aの打てないタイプライター・・という小さな伏線までが、最後にああいう風に生かされるとは!!ニクイですねぇ。






そしてもう一人。

モラリスの愛の力の強さにも圧倒される衝撃のシーン、でも哀しい気持ちも抑えきれませんでした。


事件の朝、妻が淹れてくれたレモンティー、
けっして忘れることがないと思っていた思い出も、いつかうっすらとおぼろになってしまう。
もしかしたらそれは蜂蜜入りのお茶だったのかも・・。

忘れていくことが悲しい。

「時が経てば忘れられる」・・・でも、忘れていくことを何よりも恐れた彼は、時間を止めてしまったのかもしれません。

冒頭の回想シーンの朝のお茶のシーンもとても印象的だったので、
本館のTea&Cinemaにも挙げたいと思います。


2009年度アカデミー外国語映画賞受賞作品。
納得の作品でした。
  1. 映画タイトル(は行)
  2. | trackback:1
  3. | comment:4
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comment

瞳と渋さ・・

こんばんは~w
久しぶりに投稿後に「アクセス集中で・・」と出て、コメントが消えてしまいました~(涙)
もし、重複投稿されていましたら、こちらを削除してくださいね^^;

久しぶりに同時期の鑑賞で嬉しいです!!
ラテン系の映画なので、もっと情熱的なお話かと思いましたが、案外渋くて予想外の展開でしたね~
タイトルにある「・・・瞳」、映画の随所でアピールするものがありましたね。
ベンハミンの顔のアップも多かったので、彼のイレーネへの気持ちは、その瞳の奥で揺れている様子が手に取るように分かりました。
一方、イレーネはどうだったんだろう・・と思うけど、やはり駅でのシーンとか、ラストの余韻の残るセリフなどで、やはり彼女も同じ思いだったのかなぁ~と感じました。
パブロもね、良いキャラだったけど、奥さんも冷たいし、気の毒だったわ(涙
そしてリカルド、彼の25年は凄いですね、まさに執念ですよね~!
彼の気持ちを考えると、当時の政治的な事情があったにしろ、あんなこと・・、許せませんよね。

そうそうお茶のシーンありましたね。
もちろん、瞳さんのことを思い出しながら観ていましたよ~(*^^)v

「ボローニャの夕暮れ」も借りて来たし、お薦めしてもらった「フローズン・リバー」も借りました。
観たい作品がいっぱいで、うれしい悲鳴をあげています~♪
観たら、またお邪魔しますね(^^ゞ
  1. 2011/02/25(Fri) 00:06:57 |
  2. URL |
  3. みぬぅ #C9TUO9HE
  4. [ 編集 ]

Re: 瞳と渋さ・・

>みぬぅさん、

こんばんは。

あぁっ・・・コメントが消えちゃいましたか・・。いや~~んi-237
2度もコメント書いて下ったのね・・・ありがとうございます。


> 久しぶりに同時期の鑑賞で嬉しいです!!
ふふ・・そうでしたね~♪嬉しいな。
> ラテン系の映画なので、もっと情熱的なお話かと思いましたが、案外渋くて予想外の展開でしたね~
そうそう、渋かったですねぇ。
ベンハミンの待つ恋も・・ビックリでしたね。ラテン気質?待てないタイプって勝手に思ってしまってました(笑)

> ベンハミンの顔のアップも多かったので、彼のイレーネへの気持ちは、その瞳の奥で揺れている様子が手に取るように分かりました。
はっ・・そうでした!アップ多かったですね。
イレーネの駅での別れの時の表情・・しっかり現れてしましたね。
切なくて心に残るシーンだったわぁ。

> そしてリカルド、彼の25年は凄いですね、まさに執念ですよね~!
よく奥さんが殺されると一番怪しいのは・・ダンナっていうのがミステリーの定石ですけど(苦笑)
彼の愛はまさに本物でしたね、それだけに・・哀しかったです。


> そうそうお茶のシーンありましたね。
> もちろん、瞳さんのことを思い出しながら観ていましたよ~(*^^)v
わーーい、ありがとう♪
朝のお茶のシーンでの輝くようなリリアナの姿が・・・あんなに悲しい姿になって・
胸が痛くて、痛くて。犯人は絶対許せませんよね!!


> 「ボローニャの夕暮れ」も借りて来たし、お薦めしてもらった「フローズン・リバー」も借りました。
感想楽しみにしています~♪
私も「扉をたたく人」届きました!観るのが楽しみです。
  1. 2011/02/25(Fri) 20:36:33 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

こんにちは

瞳さん、わたしも感想同じ~♪です。
「目は口ほどにものを言う」っていう諺がドンピシャでしたね。
情熱は失われないの台詞と、Aの文字が打てないタイプライターの伏線も見事でした。
瞳さんの仰るとおり、サスペンスと恋愛ものの要素が絶妙なバランスで成り立っている作品ですよね。ほとほと感心しました。

あの夫の行動は衝撃的でした。
あの美しい妻の最後の朝の回想は涙が出そうです。
彼は過去にとらわれたまま生きることを選んだのですね。
哀しい、そして完璧な復讐だと思いました。
  1. 2011/03/16(Wed) 23:42:12 |
  2. URL |
  3. リュカ #bCpyViaU
  4. [ 編集 ]

こんばんは

>リュカさん、
こんばんは。
そうでしたね!!まさにその言葉通りでしたね。

サスペンス部分と恋愛部分って、両立?が難しいと思うのですが、この作品は見事でしたよね~。
伏線の使い方も上手いわーーー、あの最初の文字って??って思いながら見ていたのですが、ああいう風に生かされるなんて。

それほど多い登場人物ではなかったのですが、それぞれみんなとても印象的でしたよね。

あの朝の回想シーン、奥さんの美しいこと、可愛いこと。
それがあんな姿になって・・それでもまだ美しいのがよけい、哀しくて。

よくミステリーでは妻が殺されると一番怪しいのは夫だ・・って言うでしょう。
それが私の中に沁みついているせいか、実は途中まで・・怪しいのでは?なんて思ってしまったのですが・・・そんな自分が恥ずかしいわ~~と思ってしまうほど哀しくて、完璧な復讐でしたね。
  1. 2011/03/18(Fri) 20:02:56 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

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「瞳の奥の秘密」まぁまぁでした

アカデミー外国語賞ノミネートに、世間の方々の評判も高いとなると、いやがおうにも期待してしまうというもの・・。
  1. 2011/02/25(Fri) 10:04:46 |
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