2011
02.18

「フローズン・リバー」

フローズン・リバー [DVD]フローズン・リバー [DVD]
(2010/12/10)
メリッサ・レオ、ミスティ・アップハム 他

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カナダとの国境に面したニューヨーク州最北部の町。
2人の息子を育てながら1ドルショップで働くレイは、新居を買うための資金をギャンブル狂の夫に持ち逃げされ途方に暮れてしまう。

夫を探しにビンゴ会場に出かけたレイは、そこで(夫の)車を運転するモホーク族の女ライラと出会うのだが、彼女もまた義母に奪われた子どもを取り戻すため、お金を必要としていた。

凍った川を車で渡り、不法移民を密入国させる仕事のパートナーとなった二人だが・・・。


ニューヨーク州にカナダとの国境が!?
ちょっとピンとこなかったのですが、アメリカってやっぱり広い・・・


皺のよった目じり、かさついた肌、決して若くない・・主人公レイ。
生活の苦しさがそのまま表情に現れたような・・・彼女を演じたメリッサ・レオがいい~


やっとの思いで貯めたに違いない!
5歳の息子が「新しいおうちが大きなプレゼント」と呼ぶ、新居のための資金。

15歳の長男が慕うくらいだから、、普段はきっと優しい父親だったと思われる夫だけれども、クリスマスを前にしてお金をともに蒸発してしまう・・なんて。

息子の前では強がりながらも一人になると涙をぬぐうレイの姿に・・・同じ母親として胸が痛い。

でも、泣いてばかりはいられない。
ポップコーン以外の食事を子どもたちにとらせたい、(楽しみにしている)テレビのレンタル料だって工面しなくては・・。



そんなレイは、夫を探しに行った先でモホーク族のライラと出会う。

初めは互いに拳銃を向け合う最悪な出会いの2人だけれど、それぞれの理由から一緒に「仕事」をするパートナーとなることに。
国境に(治外法権となる)保留地があるという・・・地の利を生かした不法行為、しかも凍った川を渡るという危険を伴い、相手にするのも怪しい人物たち。

いけないことだとは分かってはいても後戻りはできない。

渡っている途中で川の氷は割れてしまうのではないか、報酬はちゃんともらえるのか、そしてなにより、ライラは信用できるのか・・、
大丈夫?大丈夫なの?


サスペンスタッチな部分にハラハラしながらも、派手にそんな部分だけを盛り上げるわけでもなく、
かといって、貧しい暮らしばかりを取り立てて見せるばかりでもない。


どちらかというと地味に淡々と描かれた作品なのだけれど、挟まれたエピソードのひとつひとつが、なんとも心に残ります。

自分も何かしたいと・・・友達に教わって怪しいバイトに手を出してしまう長男の様子もそうだし、
離れて暮らす(自分の)子どもの姿を悲しそうにじ~~~と見つめ続けるライラの姿も。


なにより、パキスタン人夫婦のカバンにまつわる、あの奇跡のシーンには思わず「ありがとう~~」と胸を撫で下ろしました(そういえば、あの夜はクリスマスイブでした!)



しかし、これが最後!と出かけた仕事の帰りに・・二人はパトカーに呼び止められてしまいます。
あぁ・・・やはり、そうなるのね・・・思わず見逃して~~と心の中で叫んでしまいました。

どちらか一人が出頭することになったレイとライラが下した決断。
一旦は、息子たちが待つ家へと向かったはずのレイが、凍った川を目に前にして振り返るあのシーンに涙してしまいました。

危険を顧みず、子どものため何度も、何度も渡ったフローズンリバー。
でも今、その川を前にして彼女は渡ることを躊躇うのでした、自分と同じ「母」であるライラを想い。




貧しい暮らし、人種問題・・さまざまな影の部分を描きながらも、それでも強く生きていこうとする女性たちの姿が胸に迫ります。

疲れ切ったレイの瞳が失っていない強い光や、我が子を腕に抱いたライラの顔に宿る自信。
決して楽な未来が待っているとは思えないけれど、
強い母×2人ならば、きっとなんとかなるんじゃないかしら・・と。



レイの長男が作った(お手製)メリーゴーランドに揺られる子どもたち。
このラストシーンの優しさも嬉しいのです。




監督さんはこれが初長編作だというコートニー・ハント。女性監督さんなんですね!

そうそう、↑でエピソードが心に残る・・と書きましたが、実は映画の中で本筋とは全く関係ないんだけれど印象に残ったシーンが。

それは、着替えをするレイが身に着けた・・年の割に(?)可愛らしいブラ

決して高そうなものじゃない・・そのリアルさや、あったかい下着を着るわけでもなく、そのままその上からセーターを着込む。
体の線やタトゥーーも・・そういう着替えのシーンですら、レイという女性を実にちゃ~~んと表しているかのようで、
女性監督さんと聞いて、なんだか妙に納得してしまったのでした。





サンダンス映画祭でグランプリを受賞、世界各国で賞賛を浴びながら、日本ではなかなか公開が決まらなかったとか。


私は劇場では見ることが出来ませんでしたが、鑑賞できて良かった・・と思う1本です。
これはぜひ、地味映画推進委員会のみなさまにお薦めして回りたいと思います♪

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コメント
瞳さん、こんにちは!
ブラが可愛かったこと、、今となっては見返す事が出来なくて残念!!
思い出せない~~。でも、そんな処までちゃんと印象に残って記事にしている瞳さん、可愛いわ~^ー^

>なにより、パキスタン人夫婦のカバンにまつわる、あの奇跡のシーンには思わず「ありがとう~~」と胸を撫で下ろしました
 そうそう。そうでしたね。強い女子×2人 なんとかなりそうよね!

地味な映画だけど、風景も良くて(寒そうだけどね・・)じっくり見せてくれる作品で、私も好印象です☆
latifadot 2011.02.25 10:04 | 編集
> latifaさん

こんばんは~。
えへへ・・・何でしょうね、私ったら。そういうことに目が行っちゃう(笑)
お年の割にね、赤や黄色?のお花?かしら。色のついた刺繍の入った可愛らしいブラだったんですよ。決して高価な感じじゃなくって。そういうところもリアルだわ・・って思いました。


>なにより、パキスタン人夫婦のカバンにまつわる、あの奇跡のシーンには思わず「ありがとう~~」と胸を撫で下ろしました
もう・・てっきり・・。
でもクリスマスイブですもんね、良かった、良かった~とほっとしました。


> 地味な映画だけど、風景も良くて(寒そうだけどね・・)じっくり見せてくれる作品で、私も好印象です☆
ニューヨーク最北端の街の風景、寒そうでしたね。
キャストも地味でしたが、とっても良かった~!!
latifaさんも好印象なのね~♪嬉しいです。
dot 2011.02.25 20:42 | 編集
久しぶりの書き込みは、この映画のことについて触れてみます。
昨年の2月、朝日新聞の沢木幸太郎の<銀の街から>を紹介します。
<これは女の物語である。しかし、同時に、極めて男性的な物語でもある。ヘミングウェイに「メン・ウィズアウト・ウィメン(女なしの男たち)」という短編集があるが、それを日本の訳者は「男だけの世界」と訳した。もしこの映画に別のタイトルを付けるとすれば、「ウィメン・ウィズアウト・メン(男なしの女たち)」となり、「女だけの世界」ということになるヵもしれない。つまりこれは」、不在の夫のかわりに「男の世界」を生きる女たちの物語なのだ>とありました。全文を私のサイトに載せておきましたので興味があったらどうぞ。

 昨年の6月に、ある大学の公開講座「映画のなかの市民社会」があり、その年のテーマが「家族」でした。<複雑化する家族問う>というタイトルで記事になった内容を少し紹介します。3作品が挙げられていて、本作以外に「ずっとあなたを愛している」「家族の四季」です。私は幸いいずれも見ることができました。

 ここで書くのも何ですが、最近マルセル・パニョルの作品を読んでます。読み終えたらその映画化作品(「マルセルの夏」「マルセルの城」)を見る予定です。「瞳の奥の秘密」も気になってます。
やまさんdot 2011.03.03 21:05 | 編集
こんいちは♪
紹介ありがとう。やっと感想UP。
地味映画にふさわしかったわ・・・・・♪
主人公が女性ということで共感できたこと多かったです。
犯罪だってわかっていても彼女らの背景をみているとね・・・
許しちゃうところがあって。いけないけどね。
あの長男、ハラハラしちゃった。悪い方向にどんどんいったらどうしようって・・。
でも温かいラストを用意してくれましたよね。やっぱり女性監督ならでは
なのかな・・・って思いました。
瞳さんが気づかれた下着。なるほど・・・と思いました。
私は寒いとついつい・・・いろいろ着こんじゃって。色気ないです・・・笑。
女優さんて綺麗な様を見せる人も多いけれど、こんな風に
リアルな様を演技として堂々とみせることもできるなんて・・・
すごいよね・・・。
あ~~ん、英国王観たのね。コリンちゃんに会いたいけど
春休み入りそうで微妙・・・。トホホ~~
みみこdot 2011.03.07 10:38 | 編集
> やまさん
新聞記事のご紹介ありがとうございます。

>不在の夫のかわりに「男の世界」を生きる女たちの物語なのだ

なるほど~!!
レイもライラも確かにそうでしたね。
レイのご主人は、ちらっとでも登場するかなと思いましたが、いさぎよいほど(回想シーンとかも)ありませんでしたよね。
沢木さんの記事は、興味深いものが多いですよね。ぜひあとでそちらに伺って読ませていただきます♪

「フローズンリバー」も「ずっとあなたを愛してる」も普通の?家族ものとは違った形の「家族」の物語でしたね。
「家族の四季」はご紹介いただいて気になっています、ぜひ見てみたいです。


>  ここで書くのも何ですが、最近マルセル・パニョルの作品を読んでます。
いろいろ読まれますねぇ、やまさん。
この方の作品は読んだことないです。やまさんの感想を読ませていただこう~と。

「瞳の奥の秘密」良かったですよ~♪ぜひやまさんの感想伺いたいです。

本は今「ミレニアムシリーズ」の第3部を読んでます。いよいよ終盤!大詰めです(笑)
dot 2011.03.07 18:47 | 編集
> みみこさん
おお~!!ご覧になったのね~♪
わーーい、あとで感想読みに伺いますね。コメント入れてくれてありがとう。

> 主人公が女性ということで共感できたこと多かったです。
でしょう、でしょう~!!おまけに「母」なので、いけないこととは分かっていても、気持ちわかる部分がいろいろありましたよね。

そうそう、長男君は、ドキドキしちゃいました。でも、許してもらえてよかった。
それに、あの寒い夜、長男君が外で(いけないと言われていた)火を使ったでしょう。ガスが出た?みたいな感じで・・・そのシーンで家の中で眠っている幼い次男君が映りますよね。
私、てっきり・・・ガスで!?ってあせっちゃいました。でも大丈夫だったから・・・良かったわ。

> 瞳さんが気づかれた下着。なるほど・・・と思いました。
えへへへ・・・いつもつい全然関係ないようなシーンに目が行っちゃいます(笑)
ブラの上にね、そのままセーター着込んでて、色っぽいけど寒いんじゃ?とか思ったり、ヒートテック着せてあげたいとか思いながら見てました。
> 私は寒いとついつい・・・いろいろ着こんじゃって。色気ないです・・・笑。
私も、しっかり着込んじゃいますよ~(笑)

メリッサ・レオ良かったですよね。別の作品で助演賞もらいましたよね。「ザ・ファイター」でしたっけ。
こちらも見るのが楽しみです。

> あ~~ん、英国王観たのね。コリンちゃんに会いたいけど
私にしては珍しく早く見てきました♪
春休み入るよね・・・みみこさん、子どもさんと何か見に行かれるのかな?
私は今週ジョニー&アンジーに行ってきます(笑)
dot 2011.03.07 18:54 | 編集
瞳さん、こんばんはw
お薦めして頂いた今作品、鑑賞出来ました!
とても心に残る作品でしたよ~、ありがとうございました(*^^)v

それにしても、やはり母は強し・・、でも心は荒んでいましたね。
レイやライラの選んだ方法は間違っていたかもしれないけれど、彼女たちを、そういう道に追いやった社会を、私は嘆きたいと思います。
あの凍った川を渡るたびに、ハラハラしながら、どうか無事にたどり着いて・・なんて、彼女たちの犯罪を応援しちゃったけど^^;
でも、そんな悪事に手を染めなきゃ、子供たちを養えない、取り戻せないという状況が辛かったですね。
あの長男君の哀しげな瞳が忘れられないわ~
ラストは、少しだけ温もりがあったけれど、レイが戻った後にどんな風に、あの家族は再出発するのでしょうね・・。
女性監督ならではの視線が、隅々まで行き届いた作品だったと思います。
お薦めしてもらってよかったです・・。
知らずにスルーしてしまうところでした^^;

「英国王・・」早速ご覧になったんですね!
私も出来たら今週・・、観に行きたいなと思っています。
なんてったって、コリンコリン♪のオスカー受賞作ですから☆
観たら、またお邪魔しますね(*^^)v
みぬぅdot 2011.03.07 21:07 | 編集
> みぬぅさん、
おはようございます・・ってお昼ですが(笑)寝坊しちゃいました。

わーー、観てくださってんですね、ご報告と感想ありがとうございます♪

> レイやライラの選んだ方法は間違っていたかもしれないけれど、彼女たちを、そういう道に追いやった社会を、私は嘆きたいと思います。
そうなんです、いけないこととは思いつつ、ああいう道を選んでしまった彼女たちを責める気持ちが起きなくて・・・

> あの凍った川を渡るたびに、ハラハラしながら、どうか無事にたどり着いて・・なんて、彼女たちの犯罪を応援しちゃったけど^^;
あと1回!あと1回だけでもなんとか成功させてあげて~~と祈るような気持ちで観てしまいました。

> あの長男君の哀しげな瞳が忘れられないわ~
長男君ね、ちょっと危ない道に行ってしまうのかとハラハラしましたけど、なんとか大丈夫だったので・・・ホットしました。

> ラストは、少しだけ温もりがあったけれど、レイが戻った後にどんな風に、あの家族は再出発するのでしょうね・・。
二人の母と子どもたちで・・・なんとか頑張っていけるのじゃないかしら・・と思わずにはいられません。

「英国王」みぬぅさんの感想が楽しみです。
コリン♪オスカーおめでたいですね~!素晴らしい演技でしたもん。

ジェフリー・ラッシュも良かったですよ。
そうそう、みぬぅさんのご紹介作品「扉をたたく人」見ました。

こちらも素晴らしい作品でしたね。
本当に見てよかった~!!と余韻に浸ってます。

dot 2011.03.09 12:23 | 編集
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