2011
01.26

「牛の鈴音」

牛の鈴音(うしのすずおと) [DVD]牛の鈴音(うしのすずおと) [DVD]
(2010/09/08)
チェ・ウォンギュン、イ・サムスン 他

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79歳のチェ爺さんは、いまだに農作機械を使わず牛を使って農作業をする毎日。
おじいさんと30年もともに働いてきた牛は、今年40歳!!
牛の寿命は15年というのですから、表彰ものの長寿の牛でも、その牛もさすがに老齢。あと1年の寿命と宣告されてしまう。

おじいさんは牛市場で新しい雌牛を飼うのだが、まだまだ使い物にはなりそうもない。
歩みも超スローな、老齢牛とともに今日もまた、田んぼに出て、自らも(悪くしている)足を引きづりながら草を刈り、種を植え、日々は過ぎてゆく・・・、

牛の鈴音とおばあさんの愚痴とともに・・・。





地味映画推進委員会のメンバーさんからご紹介いただきました。

老夫婦と、こちらも夫婦以上に年老いた一頭の牝牛。
いまだに牛を使って農作業を行うおじいさんたちの暮らし、その姿をドキュメンタリーで追った・・・それはもう確かに地味な作品なのですが、
韓国では口コミで上映館が広がり、なんと観客層動員数300万!を超えた・・というのですから、素晴らしい地味映画の快挙です。


一日一日が、毎日牛との農作業、田畑に向かい、農作業をして・・・疲れ切って帰ってくる。
若い時の針治療の失敗で棒のようになってしまったおじいさんの左足のあまりの細さにビックリ!
こんな足でず~~っと働いて9人の子どもたちを育て上げた!!
田畑でまるで這うようにして働く姿に思わず頭が下がってしまいます・・。

くたびれきったおじいさんの体、足もそうですが最近では頭も割れるように痛い。
冬を越せないかもしれない・・と宣告された牛は、おじいさんにとってかけがえのないパートナーでもあり、ぼろぼろになってきた自分の分身を見るかのような思いでもあったのかもしれません。

医者や子どもたちから休むことを勧められても、おばあさんにどれほど愚痴られても、おじいさんは働くことを止めません。

楽をするために機械を使うこともせず、牛の食べ物に毒になるから・・と農薬を使うこともしない。

たまには牛も休ませて、自分たちも楽をしてもいいのに~!と思ってしまいますが、
休むのは死んでからでええ・・とまで言うおじいさん。

ず~~~っとそうして生きてきた。
牛も自分も最後の最後まで働き続ける・・・、
それ以外の暮らしや生き方は、おじいさんの頭の中にはないんですね


そんな頑固な生き方を通すおじいさんに連れ添うおばあさんも大変です。
おじいさんに牛が重くて引けないから・・と車から降りるように言われ「ひどい扱いだ」と拗ねる気持ち、とっても分かる

どれだけ疲れていても、おばあさんにいろいろ言われても、全く答えない動こうとしないおじいさんが、牛の物音、いつもと違う鈴音や、動作にものすごく敏感に反応しちゃうんですから。

なんでしょう、この「つながっている」関係。



働きづくめの自分を悲しむ愚痴の数々・・。
牛はもちろん、おじいさんも無口なだけに、おばあさんの愚痴が一種のナレーションのような感じなのだけれど、これが、なんともユーモラス。

しんどい毎日に漏らす愚痴に確かに大変だよねぇ・・とおばあさんに同意しつつ、
でも、もちろんおじいさんの体を心配して、先に逝かれることを恐れ、自分もあとからすぐに追うから・・というおばあさんの言葉にじーーんとする。

愚痴はいうけれど、おじいさんがそんな生き方を変えることはない。
ちゃんとそれは理解している、そんなおばあさんの「でも言うだけ、言うのさ」的な愚痴がとっても可愛いのでした。




やせ細って骨の位置まで分かるような・・老いた牛の、長い毛に覆われた静かな目元もなんともいえません。

そんな体で最後の力を振り絞って運んでくれた薪の山、山、山・・・・、思わず目頭がじーん



とてもしんどい農作業の様子なのですが、周りの景色がとても美しくて・・・夕日の中の牛とおじいさんの姿に見惚れてしまったり
それぞれ薪を背負い、岐路についたおじいさんと牛の足取りが、みごとに揃っているシーンも印象的でした。
ともに働いてきた年月をしみじみ感じました。




やがて・・・牛の最期を知り、30年つけてきた鈴をはずしたおじいさん。

「本当にお疲れ様」
牛にかける言葉は、おじいさん、おばあさんにもかけたい言葉です。
これからも毎日また・・ともに働いていく二人に・・・。



牛を葬った場所から、春にはたんぽぽが生えてきました。
小さな黄色い花の色が目に沁みます。

地味だけれど、しっかりと強く、じんわりと心に残る・・・
まるでこの映画のような、その暖かな黄色が胸にも沁みました。

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