2011
01.11

「アンナと過ごした4日間」

アンナと過ごした4日間 [DVD]アンナと過ごした4日間 [DVD]
(2010/05/29)
アルトゥル・ステランコ、キンガ・プレイス 他

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ポーランドの田舎町。
年老いた祖母と二人で暮らすレオンは、病院の火葬場で働いている。
病弱な祖母が眠りについた・・孤独な夜、彼がすることといえば、看護婦宿舎に住んでいるアンナの部屋を双眼鏡で覗き見ること。

数年前、近くの廃工場で男に乱暴されていたアンナを目撃したレオンは、警察に通報したにも関わらず・・犯人とされ服役した過去を持っていた。

釈放されて以来、アンナを見つめ続けてきたレオンだが、雪の日に祖母を亡くし、ついに一人ぼっちになってしまった彼は、驚くべき大胆な行動を起こすのだった・・。



イエジー・スコリモフスキ監督が17年ぶりに撮った作品。

ポーランドの監督さんとしてとても有名な方なのだそうですが、
とはいっても、私は監督の作品を見たことが無いので、これが初鑑賞作品です。





が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんて言ったらいいんでしょう
この(やたら長い)・・・・・・・・・・・・・・・の部分、鑑賞した方なら、きっと分かってもらえるんじゃないかな

観終わって、感じたこと、思ったことがすっと言葉に出てこない・・映画ですねぇ。

そう、この映画自体も、台詞や言葉がとても少ない作品でした。
レオンやアンナ、登場人物(少ないですが)についての説明的なこともなく、
突然挟まれる回想シーンによって、時間軸も定まらず移ってゆく。

冒頭は、いきなり斧を買う男の姿を見せたり、ボイラーの中には切断された手があったり・・で、ええっ?もしや殺人?サスペンス?などと思ってしまったので、
まさか、こういう展開になるとは、全く思いませんでした。



(ネタバレ、あります)




寡黙で、孤独な・・・中年男レオン。
彼の言葉も、本当に少ない
説明される部分が少ない「想像の余地がた~~~っぷりある映画」って好きなのですが、

冒頭からずっとレオンの暮らし、その姿を追っていて、いろんなことを思いながら見てはいましたが、
それまでの彼の、あまりに内気な姿から、この驚きの4日間は想像することが出来ませんでした

毎夜眠る前に彼女がお茶を飲むのを(双眼鏡で覗いていて)知った彼は、彼女の部屋の砂糖に祖母が飲んでいた睡眠薬を混ぜてしまう。
そうしてぐっすり眠ったアンナの部屋に忍び込むレオン。

は・・・犯罪ですよねぇ、もちろん。
女性にしてみたら、絶対に許せない行為。ましてやアンナは過去に暴力行為を経験し、深い傷も負っているのに。
気持ち悪いよね、怖いよね、アブナイよね、ストーカー・・だよね。

・・・・だよねぇ・・・だけど。

1日目 とれた服のボタンをつける
2日目 床を拭き、彼女の足の指にペディキュアを塗る。
3日目 アンナの誕生日には、正装して花束と指輪を届け。
そして
4日目 壊れた部屋の鳩時計を修理するために持ち出す。
レオンがアンナと過ごしたこの4日間。

この怖いはずの、アブナイはずの行為が、どうしてこうも切なく、哀しく、おまけに、なんだか可笑しくさえ見えてしまったのは何故なのでしょう

同じ部屋で同じ空気を吸いながら、手を伸ばせばそこに彼女が眠っているのに。
寝巻がはだけ、あらわになった裸の胸に・・・いったんは手を伸ばしながらも・・・触れることをせず。
誕生日の残り物の料理を皿に盛り、一人ダンスをするレオン。

懐中電灯を口に咥えながら、器用にボタンのほつれを直すシーンに思わずくすっと笑ってしまった自分にビックリ!
彼女の指に指輪を入れたら、落ちてしまって床の木の隙間から取れないで慌てるシーンの・・・不思議な可笑しさ。

ただただ一方通行の、決して叶えられないだろうなあ・・と思うレオンの想いに切なさ、哀しさを感じながらも、猫用窓を使って出入りする、彼の不器用で決してスマートではないこの侵入行為が・・・・不思議なユーモアさえも漂わせているような気がする・・・なんて。
正当化するつもりは全くないけれど、どこかまるで夢のような、一種不思議なムードを漂わせていたように感じました。

ポーランドの冬の曇った、暗~い空。
川で釣りをしていたレオンの前を流れてきた大きな牛の死体、
祖母を亡くした夜、ひとり、アコーディオンを弾くシーン・・・暗く寂しい部屋の中に、流れてゆくメロディーとも言えないその拙い音。
戸外には祖母の遺品を燃やす赤い炎。
ひとつひとつのシーンもあまりにも印象的でした。

そして、ラストシーンも。
鳩時計を修理し返しに行ったレオンは、警察に見つかり逮捕されてしまう。
やがて釈放されて家に戻されたレオンが、窓から外を眺めると、そこに見えたものは・・・・!!


もう見つめることも出来ない。
このラストシーンも、想像の余地がたっぷり・・・ありすぎます
もしや?もしかしたら・・・これまでの4日間はすべて彼の想像の世界だったのか・・・とか、
あまりにも唐突なこのシーンに思ってみたりしたのですが。
そうであったなら、なおさら
「なぜ彼女の部屋に侵入したのか?」
と動機を聞かれ、やっとの思いで、振り絞るかのように「愛の・・・・ため」と
そう答えた彼の「想い」がよけい切なく思えてしまう。

「孤独」の痛みをこんなにも感じるなんて・・・・・
イエジー・スコリモフスキ監督作品、他にも観てみたくなりました。
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アンナと過ごした4日間 dot 菫色映画dot 2011.01.18 01:06
コメント
これ、せつないですよねえ……
女性の部屋に不法侵入なんてこの文字面だけ見たらとんでもない犯罪なんですが、作品の中の主人公は純愛そのものでした。
ボタンつけと指輪転がし事件のところは可笑しかったですね。ますます可愛らしい。
でもラストに今までのことをすべて覆してしまうようなシーンに唖然としました。
妄想と報われることのない愛情が織り交ぜとなった哀しい物語でした。
この監督さんの作品はほかに『ザ・シャウト』がおすすめですよ(つーかそれしか見たことない……)。
これもラストにあっと言わせてくれます。
リュカdot 2011.01.18 01:05 | 編集
>リュカさん
こちらにもコメント、TBありがとうございます。

おお、リュカさんもご覧になっているんですね。
それは、ぜひ感想読ませていただかなくては!!
これ、観た方とぜひお話したかったんですよ~。

>女性の部屋に不法侵入なんてこの文字面だけ見たらとんでもない犯罪なんですが、作品の中の主人公は純愛そのものでした
そうですよねぇ・・、なんとも切なくて・・・しかも可笑しくて。

このラストシーンって、観る人の想像に任せているってことかしら?

『ザ・シャウト』ですね!
お薦めありがとう♪
こちらのラストも驚き!?それはますます楽しみです。
今度レンタルしてみますね。
dot 2011.01.18 20:10 | 編集
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