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Slow Dream

縁あって・・・本や映画と巡りあう。




「アガサ・クリスティー 華麗なるアリバイ」 :: 2010/12/16(Thu)


フランスの、ある田舎の屋敷。
主人であるアンリ・パジェス上院議員( ピエール・アルディティ)と妻エリアーヌ( ミュウ=ミュウ )は、週末に親しい間柄の7人の男女を招く。

精神分析医のピエール(ランベール・ウィルソン)とその妻クレール(アンヌ・コンシニ)。
妻子がありながら数々の女性たちと関係を持つピエール・・・ゲストのひとり、彫刻家のエステル(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)も彼の愛人。

アル中の作家フィリップ(マチュー・ドゥミ)はエステルに想いを寄せ、そんな彼をマルト(セリーヌ・サレット)は密かに見つめている。

奇妙な緊張感の漂うディナーの席に、ひとりのサプライズゲストが登場する。
エリアーヌが招いたのは、イタリア女優レア・マントヴァニ( カテリーナ・ムリーノ)。

ピエールとかって愛し合った女優の出現は、彼らが抱えている愛と憎しみにまたひとつ、波紋を投げかけた。


やがて白昼のプールサイドで事件は起こった・・・。



アガサ・クリスティーの「ホロー荘の殺人」は、「杉の棺」「無実はさいなむ」や「終わりなき夜に生まれつく」などと並んで私のお気に入りの作品。

後にクリスティー自身はこの作品にポワロを登場させたのは間違いだと思い、戯曲版ではその存在をカットしてしまったのだけれど、私は結構この作品の中のポワロって気に入っているんだけれどなぁ(笑)


プールサイドに死体がひとつ、そして傍らには銃を持った女が・・。
屋敷に招かれ、一番にこの光景を目にしたポワロが「ちっとも面白くない!!」
人為的なお芝居と腹を立てた・・・ほど、作られた感のあるその「殺人現場」は、ある意味とても印象的だったし


なにより、登場人物たちにあのポワロが翻弄されちゃう・・
「あなたほど手ごわい相手には出会ったことがありません」と自信家のポワロに言わせちゃったのですよね。

「杉の棺」同様、ポワロがとっても優しいのだ~~(クリスティー女史は、もしや優しいポワロはお嫌い?笑)




生誕120年を迎えたアガサ・クリスティー、このところ、フランスでの映画化が続いていますね。
お気に入りのクリスティー作品が映画化されると、ついつい手厳しくなってしまう私ですが、さてさて、フランス版「ホロー荘の殺人」は・・というと。


舞台となる美しいお屋敷はとっても雰囲気があるし、キャストも豪華~♪

今でいうなら「天然ちゃん」っていうキャラになるのかな、館の女主人を演じるのがミュウ・ミュウで嬉しい。
冒頭の、「ひとの話など全く聞いていない」というキャラぶりは、最高にぴったりだし、

ピエール医師の(全く意識しないのにどうしてだが出てしまったという)「家に帰りたい」発言もちゃんとあったりして・・・

そうそう、ピエール医師が、原作よりも浮気男だったのにはちょっと苦笑してしまいましたが、これもフランス流でしょうか。
ランべール・ウィルソンは確かに素敵でしたヨ(メガネも似合う


女優役のカテリーナ・ムリーノも魅力的だし、さてさて・・どんな風に進んでゆくかな~と期待しながら見ていたのですが。


いざ、事件が起こってから・・以降の展開は、う~~~~ん。
なんだかとってもさらりと、軽~く進んでしまったような気がします。

ポワロが作り物のようだ・・と腹を立てたあのプールサイドのシーンも、それほどのインパクトもなく。
エステルが拳銃をプールに落として(?)しまった部分とか、もっと強調しても良かったような。

インパクトと言えば、第2の殺人(これが起こったのにはビックリ!)の方が猟奇的でよっぽどインパクトがありましたね。


ミステリーというよりも、男女の愛のドラマ・・っていう部分を強調しているんだろうなあと思ったのですが、
かといって、それほど深い愛情、愛憎を描いているわけでもなかったので、なんだか物足りない


以前、野村芳太郎監督が撮った「危険な女たち」という作品は、ずばり「ホロー荘の殺人」を映画化したものだったのですが(ええ~~!?と思うところも多かったけれど)
愛憎、愛情部分については、フランス版よりしっかり、ねっとり描いてあったと思いましたヨ。

お国柄かしら(笑)フランス版、、ラブシーンは素敵だったのですけどね~


そうそう、野村監督版では、殺される医師の奥さん役が大竹しのぶさんだったのですよね。
うん、ドンピシャ!だと思いました。

アンヌ・コンシニは、美人過ぎて
おどおどしている気の毒な女性っていう感じを演じていたけれど、哀れ・・っていう感じには見えなかったなぁ。
はっ・・・!!ええ~っと、大竹さんが美人じゃない・・とは・・ゴニョゴニョ
盲目的!という原作のキャラクターにぴったりだったんです、ハイ。




フランス版、捜査にあたるのは頭痛持ちの警部さん。
味のあるキャラでしたが、ちょっと出番が少なくて影が薄かったですね。


ストーリーの鍵を握るエステル役の、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ。
芸術家らしく不思議な色の組み合わせのお洋服を上手に着こなして、こういうところはやっぱりさすがおフランス~(笑)なあんて思っちゃう。
アル中の作家フィリップは、ここまで活躍するとは思いませんでした。



さぁて、またしても恒例の、映画を見た後に原作を読み返してみたくなる(笑)
今回もまた、何度も何度も読み返されたハヤカワ文庫を引っ張り出してみましょう



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やはり・・

瞳さん、こんにちは。
これ、最近見たんですが、クリスティーなんで、きっと瞳さん見てるはず!
と思ったら、やっぱりビンゴでしたね。
海外推理小説ものが原作の時は、まずここに来る・・のが習慣になりそうです。大抵ビンゴだし。(^^ゞ

瞳さんの感想拝見したら・・原作よりもずいぶん軽い・・感じなんですね。
実は私、見てる途中から、物語知ってる感じがした・・んだけど、
もしかしたら大過去にクリスティー読んだ時にこれも読んでたのかな?って思いましたが、はっきりとは記憶になくて。
・・と思ってたら、日本でも映画化されていたんですね?
(え?大竹さんが美・・え?ゴニョゴニョで聞こえなかったなぁ~笑)
その映画も見てないとは思うんだけど、他の所でこの原作がモトになったのが(たとえばドラマとか)あったのかも?

でも、ちゃんと原作を読んでたら、ピエールの「家に帰りたい」のセリフに込められた気持ちなんかも、もっと心に響くんだなぁ、って思いました。
原作はもっと心理劇みたいですし。

イタリア美女は濃かったですね~。
あの殺人・・は、まるでイタリアン・ホラーみたいでした。(笑)

・・台風来そうですね?四国は大丈夫かな?
  1. 2012/09/14(Fri) 15:44:24 |
  2. URL |
  3. つるばら #OP2UcWyM
  4. [ 編集 ]

Re: やはり・・

> つるばらさん

こんばんは。

わーー、嬉しい♪
つるばらさんとこの作品のお話できるとは!!


> 海外推理小説ものが原作の時は、まずここに来る・・のが習慣になりそうです。大抵ビンゴだし。(^^ゞ

えへへ・・・海外ミステリーものはやっぱり気になって観ちゃいます。特にクリスティーだと。

原作は、推理小説というよりは人間ドラマっぽい感じで
登場人物のキャラクターがとても丁寧に描かれているんですよ~。

別荘に向かうまでのピエールたちの心理状態とかも読んでいて面白かったです。

おお、もしかしたらつるばらさんも以前読まれていたのかも。


> ・・と思ってたら、日本でも映画化されていたんですね?
> (え?大竹さんが美・・え?ゴニョゴニョで聞こえなかったなぁ~笑)


そうなんですよぉ。
クリスティーものだし、昔ファンだった三田村邦彦さんも(必殺の秀が大好きでした 笑)出ていたので観たのですが、
今思い出すと大竹さんのキャラは(フランス版よりも)ぴったり!!だったと思います。
垢抜け〇い・・・(おぉ~~っとまたしてもごにょごにょ~笑)感じとか。


> イタリア美女は濃かったですね~。
> あの殺人・・は、まるでイタリアン・ホラーみたいでした。(笑)
あれにはビックリでしたよ~苦笑 やりすぎ・・・。


> ・・台風来そうですね?四国は大丈夫かな?

少し西にそれたのでこちらは大丈夫そうですが・・・つるばらさん地方、直撃では?(汗)
・・・と言っていたら、さきほどから猛烈な雨が降ってきましたヨ。

無事に過ぎてくれますように~~。
  1. 2012/09/16(Sun) 20:15:35 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

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