2010
09.06

「素肌の涙」

素肌の涙 [DVD]素肌の涙 [DVD]
(2005/10/21)
ララ・ベルモントレイ・ウィンストン

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ロンドンから南西部のデヴォンへ引っ越してきた一家。
両親と18歳のジェシー、15歳のトム、そして生まれたばかりのアリス。

ごく普通の一家には・・・しかし、思いもよらない秘密があった。
ある日母親と買い物から帰ってきたトムは、ジェシーと父親が一緒にバスルームにいる姿を目撃してしまう。
二人の姿に不信感を憶えたトムは姉に問いただすのだが、思い違いだと繰り返すばかり・・。


しかし、日毎疑惑を募らせたトムは、外出した父親の後を追い、ついにはその禁断の関係を覗き見てしまう・・・。



俳優ティム・ロスの初監督作品と聞き、レンタルしてみました。

が・・・、なんてまぁ、シリアスで・・なんて重い作品でしょう。
父親の性的虐待によって崩れてゆく家族、初監督にしてこういう題材を選ぶなんて・・難しいですよね。



ただ題材はとても重くてずしんとくる作品なのですが、その描き方、映像から漂う雰囲気がまたなんともいえない雰囲気を持っていて、素晴らしい感性を感じさせてくれる作品でもありました。



人里離れたようなちょっと辺鄙な風景、ただ一軒たたずんでいる一家の家。
曇った冬の空、暗い海を見下ろすような丘。
まわりの風景は広く開かれているのに、なぜでしょう、その荒涼とした風景がなんとも物寂しく、そしてどういうわけか、不思議と閉ざされたものを感じてしまう。


一家の夕食の雰囲気や団らんも暖かみがあるというわけではないけれど、でも寄り添って暮らしている家族。
しかし、そこにいつからか忍び寄っていた「甘く優しい」ものじゃない・・現実。

ジェシーが言う「甘くて優しいものじゃない」
そんな現実がいったいいつから存在していたのか・・そして何故そんなことになってしまったのか?
そのあたりについては映画の中では全く描かれていないのですが、荒っぽくはあるけれど家族思いっぽい部分も見せる父親が何故・・と思ってしまいます。

娘に対する愛情が、あるとき一歩間違った方向に向いてしまった・・、
門限を守らずに朝帰りしたジェシーに(トムも一緒だったのにも関わらず)ものすごい怒りを見せた父親の表情は、父としてと言うよりは自分の所有物に対する怒り・・のように見えてしまいました。


そしてジェシーは、それをどんな風に受け止めていたのでしょう。
18歳という年齢、自分で抗うこともできたのでは・・と思ってしまうのですが・・、それをまるで運命かのように受け入れてしまった強さが逆に哀しい。
禁断のシーンで彼女が口にした「ママと同じように・・」あの言葉に、この行為がただただ愛情に基づくものでさえあれば・・と願うかのような思いを感じて・・・なんとも苦しかったです。



一方、垣間見てしまった二人の姿に・・疑惑をどうしても確かめずにはいられないトム。
その怖いような、暗い思いつめた表情がとても印象的でした。
好奇心を覚える年齢であり、そしてまた逆に、潔癖さも痛いほど持っていて・・・。





母親役はティルダ・スウィントンでした。
スリムな印象の彼女がまさに「産後の」からだを見せてくれるシーンがあってびっくりしたのですが、
現実に赤ちゃんを産んだばかりだと聞いてなるほど~!!
産後ならではの「たるんだ」からだをあそこまでしっかりと見せてくれるとは・・女優根性でしょうか、母は強し!と言うべきかしら。


ジェシーの恋人役でちらりと登場する彼が、コリン・ファレルにそっくり!と思ったら、ご本人でした。
若い~、かわいい、でもしっかりと濃い~~(笑)



自分のしたことに慄きながらも、小屋の扉をしっかりと閉めてしまうトム。
まるですべてを締め出してしまいたいように・・。


曇った空と丘を吹いていく風・・・荒涼とした風景がやがてまた映し出されて、このラストシーンもとても印象的でした。
次はどんな作品を手掛けるのでしょう、ティム・ロス監督、次回の作品もぜひ見てみたくなりました。
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コメント
こんにちは♪
ジョセフ・ゴードン・レヴィット君祭り、充実
していましたね☆私もどれどれということで
サマーちゃん借りてきました。またお邪魔しますねで・・・↑。観ましたよ、昔。
題材が衝撃的でしたよね。
どうしてそうなったのか?・・そのままでい続ける彼女の気持ちは?とか知りたいような知るのも怖いような部分がいっぱいあって、ず~~と
ドヨヨ~~ンとした気分での鑑賞でしたわ。
受け入れることが家庭の平穏さにつながると考えたのかな・・・それにしても不憫な彼女。
弟ちゃんが真相に近づく過程もスリリングでしたものね~~
ティルダ・スウィントンって産後の体だったんですか。映像はもう忘れてしまったけど、それは凄いですよね。私なんてみせられない…笑
音楽や映像雰囲気がありましたものね。
次回作も観たいと思ってしまうわ。
ところで…↓の第9地区。
エビ君大丈夫だったのね?そうか…ザリガニに
慣れもあったのね・・・
私はゴキの方にも想像しちゃったから、
気持ち悪かったよ。
ではではまたね
みみこdot 2010.09.08 11:49 | 編集
>みみこさん
台風大丈夫でしたか~。
こちらは何日ぶりの雨だったでしょう、でも無事に過ぎてくれて良かったです。

レヴィット君祭り、えへへへもう1本なんとミッキー・ろーくと共演なんていうハードなのも借りちゃいました(笑)
おお、みみこさん「サマー」借りたんですね。みみこさんの感想、楽しみだわ~。

「素肌の涙」みみこさんご覧になってたんですね。
どなたかご覧になってないかしら・・って、お話したいなあって思っていたの。
コメント入れてくれて嬉しいな♪
そうそう、衝撃的でしたよね。
>どうしてそうなったのか?・・そのままでい続ける彼女の気持ちは?とか知りたいような知るのも怖いような部分がいっぱいあって
うんうん、そうなの。そのあたり描かれていなかったので想像するしかないんだけれど、知るのも怖いような気がしましたよね。

弟ちゃん、なんとしてもはっきりとさせたかったのね。あいまいにしておけなかったのは、きっと弟ちゃんも姉が大切で、家族も大切で、そんなことはない・・と思いたいという気持ちと、好奇心や・・いろんな気持ちが混ざっていたのかな。
若さからの潔癖さで許せない部分もあったんだよね、きっと。

双子ちゃんを産んだ後だったそうですよ、撮影が。
お腹とかね、結構ぼよよ~んってなってて、おお!!って思っちゃったi-237
母親ならではの体だもんね、とってもリアルでした。
私は・・産後じゃないけど・・ぼよよ~~ん(苦笑)
映像も音楽も、とっても印象的な作品でしたね。ティム・ロスやるわぁ・・って思いました。

「第9地区」
ああっ・・なるほど~!!ゴキちゃんを連想しちゃった・・。それはキツイわぁi-229
うんうん、ザリガニ結構長い間飼っていて、息子が夏休みの自由研究にしたり愛着湧いちゃってたので、意外と平気でしたよ~(笑)
dot 2010.09.08 19:51 | 編集
瞳さん、コメントをありがとうございました。

この映画、大好きなのですが、観たのがかなり前なので細部を忘れていましたが、瞳さんの情景が思い浮かんでくるようなレビューで、鑑賞時の感覚を思い出しました。

あの閉塞感はやりきれないですね……
最後にトムが扉を閉めるシーンに救いのない寂寥感がこみあげました。

ティルダ・スウィントンの体型はけっこうショックだったのですが、なるほど、ちょうど産後だったんですね。顔だけ見ると細いままなので、ヌードになった時は仰天ものでした(笑)。

それではまたおじゃまさせてもらいますね♪
リュカdot 2010.09.21 23:15 | 編集
>リュカさん
おお、わざわざ覗いてくださってありがとうございます♪
コメント嬉しいなi-178

作品の持つテーマ、とても重いのですが、独特の映像美やララ・ベルモントの透明感のある美しさ、忘れられない作品ですよね。

>最後にトムが扉を閉めるシーンに救いのない寂寥感がこみあげました
そうでしたね・・、あのラストシーンも印象的でした。

そうなんですよぉ、ティルダ・スウィントン!
私もびっくりしちゃいました。
双子ちゃんだったかな、出産された後だったそうです。

私もまたお邪魔させていただきます。
リュカさんち、レビュー読みたい作品がいっぱいですi-175
dot 2010.09.23 01:58 | 編集
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