2010
08.18

「狼は天使の匂い」

狼は天使の匂い [DVD]狼は天使の匂い [DVD]
(2009/07/25)
ジャン=ルイ・トランティニャンロバート・ライアン

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「雨の訪問者」と同様7月にBSで放映された作品。

新聞でタイトルを見たときに、なんだ、なんだ、この一昔前っぽいタイトルは・・と思い(笑)
ルイ・クレマン監督、キャストはあの「男と女」のジャン=ルイ・トランティニャンと知って念のため録画しておいたのですが、良かった!!
大正解でした


「友だちを作ってきなさい」
そう母親に送り出された少年が、出会ったグループのボスらしき少年にビー玉の袋を差し出すと・・・。


冒頭に書かれた
「愛しき者よ、僕達は就寝時間が来たのに眠るのを嫌がって、むずかっている年老いた子供にすぎない」
ルイス・キャロルのこの言葉といい、
キラキラと光るビー玉が階段を転がり落ちてゆく始まりといい・・。

「雨の訪問者」同様、クレマン監督の映画って始まりが抜群に印象的。



本編は・・というと、ある理由からロマの男たちに命を狙われるひとりの男が逃走中に、今度はギャングの仲間割れによる殺しの現場を目撃してしまったことで一味に拉致されてしまう・・というストーリーなのですが


フレンチノワール?
ギャング映画、男と男の物語、もしくは、男と女の物語・・。
そのどれでもあるようでいて・・そのどれでもないような。

つかみきれない魅力っていうのでしょうか、もしかしたら好みの別れる作品かもしれません。
ルネ・クレマン監督の趣味?遊んでる?なんて思ってしまう


主人公の男トニーが拉致される(ギャングのアジトがある)島にはチェシャ猫の看板があっったり、
グループの女たちの名前がシュガーとペッパーだったり。

とにかく、このアジトでのシーンがすこぶる魅力的すぎる(笑)
ギャングたちはある襲撃事件を計画しているらしいのですが、まあ・・なんていうか、いつ、その「コト」は起こるんだろうっていうくらい。

島にあるアジトでごみ箱に紙くずを投げ入れる競争をしたり、煙草を何本タワーに出来るか・・か賭けをしたり、
チェスや絵を書いたり・・。
ボスの愛人(らしき)シュガーはタルトを焼く名人だったり(薔薇のタルトって!)


招かれざる客であるはずのトニーが、いかにしてギャングたちに溶け込んでゆくかっていう部分も、見ている私たち自身がトニーという男の素性をよくわかっていないだけに・・面白いんですよね。

優男風な顔立ちなのに、なんとも根性が座っているトニーの不思議な魅力。
やっぱり女性たちも惹かれちゃうんです。

ペッパーの青い魅力もいいけれど、あぁ・・年が近いシュガーの期待感や焦燥感に肩入れしちゃうなぁ・・


一味の頭、チャーリーが、また魅力のある人物です。
仲間から絶大な信頼を寄せられるやり手で残酷な部分もあるのだけれど・・トニーとのタバコ立て勝負ではまるで少年のような表情を見せたりする。


最初はいつ「こと」が起こるのだろうと思ってみていたのですが、だんだんと・・この島でのお話で終わってもいいかななんて思いかけてきたころ。
そう、襲撃事件はちゃんと決行されるのです。

これがなんとも大胆な計画なのですが、あるひとりの女性から(彼女も不思議キャラでしたねぇ)計画にほころびができてしまう・・。
やがて追われてゆく仲間たち。
最後をさとったチャーリーは、ひとりアジトに立てこもるのですが・・。



「なぜ戻ってきた?」
「ビー玉のためさ」


くぅ~~!!
悔しいけれど、こういうシーンってやっぱり男同士でないと絵になりません。



そしてラスト、再び登場したビー玉の少年の姿・・。
「さようなら」と寂しげに手を振る少年の哀しげな顔に胸を突かれ・・いつのまにかこの映画の魅力に浸ってしまっていることに気づきます。
少年たちがそのまま大人になってしまったかのような男たちの姿に、なにか、どこかで無くしてしまったものを拾い集めないといけない・・そんな感傷的な気持ちになってしまう。


犯罪サスペンスとしては決して一級とは言えないし、緊迫感や迫力だってあるとは決して思わないけれど・・それらを補って余りある不思議な魅力に溢れた作品だと思う。
これ、好きだなあ・・ってこっそり誰かに教えたくなるような♪
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