2010
05.26

「10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス」

10ミニッツ・オールダー コレクターズ・スペシャル [DVD]10ミニッツ・オールダー コレクターズ・スペシャル [DVD]
(2004/07/09)
オムニバス・ムービー

商品詳細を見る


15人の監督たちによる、「時」をテーマにした10分間の作品で綴られたオムニバス映画。

『人生のメビウス』と『イデアの森』2つにわかれているのですが、まずは『人生のメビウス』から鑑賞しました♪




人生のメビウス The Trumpet

アキ・カウリスマキ「結婚は10分で決める」
ヴィクトル・エリセ「ライフライン」
ヴェルナー・ヘルツォーク「失われた一万年」
ジム・ジャームッシュ「女優のブレイクタイム」
ヴィム・ヴェンダース「トローナからの12マイル」
スパイク・リー「ゴアVSブッシュ」
チェン・カイコー「夢幻百花」




同じように「時間」をテーマに、与えられたのは10分という時間。
こういう企画って面白い~
名だたる監督たちは、この課題でどんな世界を作り上げたのか・・興味津々だったのですが、

まぁ!なんていうか、それぞれ全く違う、個性あふれた作品揃い~♪とても楽しめました。




「結婚は10分で決める」 アキ・カウリスマキ監督

これは、あの「過去の無い男」の俳優さんたちではありませんか!?(ということは・・あのバンドも!)
それだけでなんだか嬉しくなってしまいます(笑)
監督らしい、赤や青、独特の色彩がちりばめられた世界の中で、寡黙な男が結婚を決意し、女の下に駆けつけ、新天地を目指す・・。
時計の針がさす10分間の中では・・とてもとてもあれだけのことはできないけど~(苦笑)と思いながらも・・、堅い表情の男と、こちらもまた不幸そうなカティ・オウティネンに幸あれ~♪



「ライフライン」 ヴィクトル・エリセ監督

 モノクロの静かな画面の美しさ。
のどかな光景にゆったりとしていると・・眠っている赤ん坊の産着に広がってゆく血のしみに・・ドキッ
どんどんと高まる緊張感をよそに人々は普段の暮らしを営んでいる・・。

まったく無駄のない描写と見事な編集に息をのんで見つめてしまいました。
日常の小さな幸せの中に・・見え隠れする(台所に置かれた新聞記事!)ナチスドイツの暗い予感も感じさせて深い余韻まで残す作品です。



「失われた一万年」ヴェルナー・ヘルツォーク監督
 
ドキュメンタリータッチの作品です。
10分で見せる一万年分の進歩!?
文明との接触が部族にもたらせた進化は、彼らに別の恐ろしいものをも与えてしまう。

なんだかねぇ・・、こういうのを見ると文明というものについて考えてしまいますよね。



「女優のブレイクタイム」 ジム・ジャームッシュ監督
女優に与えられた10分間の休憩。
恋人?と電話をしながらも・・そのあいだ、あいだにもひっきりなしにスタッフらが姿を見せて、なんだか全然落ち着かないんですよね(苦笑)
でもなんだか不思議に印象に残る作品。
クラシックな衣装を身に付けた女優のけだるげな雰囲気の中にも、仕事へのプライドを感じさせる姿に・・休憩時間が終わったあとの彼女の演技を想像してしまいます。

ちょっとドッキリするようなシーンもありましたね~♪



「トローナからの12マイル」 ヴィム・ヴェンダース監督
最初は何が起こっているのか分からない展開から・・やがて事の次第が見えてきて(知らずに口にしたクッキーにクスリが混じっていた!)。
薬の作用に苦しみながら車を走らせる男の感じる恐怖が、なぜでしょう、こちらの体や目にまで移ってくるみたい。
幻想的に揺れる・・町の風景が怖かったです。


たった10分!のはずが・・たどり着けないのではないかと思えるほどに思えてくる。
時間っていうものは同じように流れていくはずなのに・・感覚的なものでもあるんだなっていうことを実感しますね。
ラストの、あれ?と思えるくらいの「明るさ」も面白いです。




「ゴアvsブッシュ」 スパイク・リー監督
あの大統領選で何か起こったのか・・。
じわじわと縮まってゆく票差に逆転を確信するゴア陣営が、思わぬ状況で追い込まれてゆく・・。
インタビュー映像だけでこんな風に見せることができるんですね~!面白いです。



 「夢幻百花」 チェン・カイコー監督
運送会社のスタッフたちがひとりの男の依頼で向かった先には・・。

都市計画によって取り壊されてゆく古きよき街並み・・以前見た『胡同の理髪師』を思い出します。
胡同は監督が幼少時を過ごした街と聞きました。

鐘の音によって浮かび上がってきた、かってその地に存在した家々や街の姿。
一瞬にして過去へと立ち戻った「時」がやがてまた・・今へと戻ってくる。
木の向こうに消えてゆく男の姿・・なんともいえない余韻が残る作品でした。




こうやって感想を書いてゆくと・・本当にそれぞれ全く違う個性を発揮した作品揃いでしたね。
それぞれに面白かったのですが、中でもお気に入りは「ライフライン」「トローナからの12マイル」「夢幻百花」でしょうか♪

テーマ音楽はトランペット演奏、これも味わいがあって良かったです。



『イデアの森』も楽しみです♪
トラックバックURL
http://teapleasebook.blog26.fc2.com/tb.php/286-4f3071e8
トラックバック
コメント
感想を。

『女優のブレイクタイム』
実はこの作品が一番好きです。
この女優はもちろん架空の人物でしょうが、個室トレーラーを与えられたり、身の回りの世話人が何人もいたりと、恐らく仕事的にも経済的にもプライベートも恵まれているはずなのに、ちっとも幸せじゃない。何か物足りなさを感じさせていますね。あとモノクロにしたのが正解で、それによってノスタルジックなものを観客にアピールしています。ジム・ジャームッシュ監督の勝利でしょう。
あと、この作品はオムニバス映画『われら女性』のep4『イザ・ミランダ』に共通する物があります。こちらはルイジ・ザンバ監督です。

『ゴアVSブッシュ』
この作品で思い出したのは、ドキュメンタリーって真実に見えて実は最初から嘘だと云う事です。フィルムはそのものを映したのだろうけど、人間の手によって編集が入った段階でフェイクになってしまう。最近『ベトナムから遠く離れて』というオムニバスのドキュメンタリー映画をUPしましたが、7人の監督のうち一番印象に残ったのは、やはりゴダールのやや演出めいたエピソードでした。『ゴアVSブッシュ』も恐らくどこかに演出が入っているから面白いのでしょう。

さて『~イデアの森』ではNARCY的にはどれがTOPだと思いますか?そんな事も考えながら御鑑賞を。(笑)
NARCYdot 2010.05.26 19:45 | 編集
>NARCYさん
いつも丁寧なコメント、ありがとうございます♪

おお、NARCYさんは、『女優のブレイクタイム』がお気に入りですか。
そうでしたね!モノクロは大正解ですよね。
女優のクラシックな衣装と物憂い表情、そしてあの音楽はバッハ?でしょうか。
雰囲気と言い、とても印象に残る作品でしたね。

『われら女性』のep4『イザ・ミランダ』ですか!まだ未見ですが、それは楽しみです。

>ドキュメンタリーって真実に見えて実は最初から嘘だと云う事です。フィルムはそのものを映したのだろうけど、人間の手によって編集が入った段階でフェイクに
ああ~!なるほど!確かにそうですよね。
私などはついつい真実のように捕えてしまいますけれど(監督の巧さ?)、このエピソードでもゴア側からだけのとらえ方ですものね。

『~イデアの森』届くのが楽しみです♪
ふふふ~、そうですね、NARCYさんはどれがお好みなのかなあ・・。
dot 2010.05.27 08:48 | 編集
瞳さん、こんにちは!
このシリーズ、私も去年だか一昨年だか、やっと見れたんです。

>「結婚は10分で決める」 アキ・カウリスマキ監督
お馴染みの役者さんが出てて、嬉しかったなー。
赤の使い方が上手くて、短いながらもストーリーもあって、楽しかったです。

>「ライフライン」 ヴィクトル・エリセ監督
これは凄い!って思いました。
さすがわ、エリセ監督!!ってうなっちゃった。
latifadot 2010.06.17 19:18 | 編集
>Latifaさん
こんばんは~。
おお、Latifaさんもご覧になっていたんですね!
あとで感想読みに伺おう~っと。

同じテーマでもバラエティに富んだエピソードが並んで面白いですよね♪
そうそう、カウリスマキ監督作品おなじみの方々で嬉しくなっちゃいましたよね。
あの女優さんの、幸薄そうな顔って・・忘れられないんですよね。
独特の色彩も健在でしたね。

「ライフライン」こちらも良かったですよね。
静かなシーンの中にも、深いものを感じさせてくれて・・。
エリセ監督作品、実はあまり観ていないんですよ、私。これからいろいろ観ていこうと思います。
dot 2010.06.17 20:37 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top