
映画の中にお茶のシーンが登場すると俄然、断然乗り出しちゃう(笑)
紅茶のシーンが印象的な映画をご紹介している本館TeaPleaseのコンテンツ
「Tea&Cinema」も50作品を越えました。
HPの方では鑑賞順に並んだ記事♪
この機会にこちらのブログでは50音順に整理してみようかなぁ・・と気まぐれな思いつき(笑)
あくまでお茶のシーンから見た映画のレビューですが(笑)よろしかったらぜひどうぞ~♪
この映画にもお茶のシーンありましたよ~
そんな情報もいつでもありがたくお待ちしてます。
※※※※※※※※※※※ ※※※※※※※※※※※
それではまず(あ行)の映画からUP、続きは順次更新していきたいと思います。
「愛の風景」
1992年スウェーデン・ドイツ・イギリス・フランス・デンマーク・フィンランド・ノルウェー・アイスランド
監督 ビレ・アウグスト
キャスト サミュエル・フレイレル ベルニラ・アウグストスウェーデン、ストックホルム近郊の町ウプサラ。
貧しい神学生ヘンリク・ベルイマンは裕福な友人エルンスト・オカーブロムの家に招かれ、そこでアンナと出会う。
想い合うようになる二人だが、ヘンリクには婚約者のフリーダが、
そしてアンナにはヘリクをよく思わない母の存在が・・・。
一度は別れた二人だが、2年後結核の療養生活を終えたアンナと再会したヘンリクは、再び彼女と結婚を決意する。
さまざまな障害を乗り越え、結ばれることになった二人の笑顔。
しかし、本当の障害は自分たちの中にあると・・二人はやがて知ることになる。
結婚後暮らすことになる北部の田舎町フォルスボーダを訪ねた二人は、家のことや結婚式のことで、意見が激しく衝突する。
育った環境の違いなのか、ともに暮らし始めても争いは絶えることがなく、しだいに疲れてゆく二人。
そんなある日、思いがけない知らせが二人に届く。
ストックホルムの王立病院付けの牧師にヘンリクが選ばれたと言うのだ。
用意されたのは女王陛下とのお茶の時間。
緊張を隠せない二人に与えられたのは、陛下とのお茶の時間を過ごすためのたっぷりの「注意事項」。
しかし、名誉有るお茶の時間を終えたヘンリクは怒りで胸がいっぱいだった。
自分の信念を曲げて媚びへつらった・・、そんな自分が許せない。
ただただ・・ひとり、怒りを爆発させるヘンリクにアンナは、私が一緒にいることを忘れないで!!と訴える。
結婚前、アンナの家でのお茶の時間、ヘンリクの母とのお茶のシーン。
そして、ともに暮らし始めて飲むお茶・・と。
映画の中には、何度も何度もお茶のシーンが登場する。
でも、お茶のシーンに目のない私がカップやポットに見とれる暇もないくらい。
登場人物のあまりに赤裸々な感情に驚かされてしまうから。
人間の身勝手さをこんなに正直に描いた作品って、珍しい。
ほっとできない・・お茶のシーンも珍しい。
でも、それでも歩み寄り、互いに寄り添う気持ちがある二人なら。
いつか、きっと穏やかで優しいお茶を一緒に飲む日も・・・
訪れるに違いない。
※いっぱいお茶のシーンはあったのですけど、本当にゆったりとした気持ちになったお茶のシーンが無かったのがビックリ。
ヘンリクの母親の、心の声にもビックリ(汗)
思わず自分の心のうちも・・覗いてみたい気持ちになってしまう。
脚本は、イングマール・ベルイマン。自らの自叙伝を元にしたものだとか。ヘンリクとアンナ夫妻はベルイマンの父母なのですね 「アフタヌーンティーはベッドで」
1991年イタリア 監督 ジーン・サックス
キャスト マルチェロ・マストロヤンニ ジュリー・アンドリュース ジャン・ピエール・カスタルディ
ジャン・ジャック・デュロン マリア・マチャド 建設会社で働くグリマルディは美しい妻マルガリーテを熱愛していたが、妻はなんと盲腸の手術を担当したピケ医師と愛し合い、家を出て行ってしまう。
驚き悲しむグリマルディは、同じく動揺したピケ夫人と連絡を取り合い、お互いに妻と夫を取り返そうと相談する。
二人が始めて会ったシーン。
お酒を勧めるグリマルディにピケ夫人パメラは、お茶しか飲みませんとすげない。
それでもお酒を勧めようとする彼に、ポットから2杯目の紅茶を注ぐパメラ。
恋とお酒が大好きなイタリア男と真面目でお堅いイギリス女という、まったく正反対の二人の姿が垣間見えるシーンです。
二人は、その後も妻と夫を取り戻そうと何度も一緒に過ごしますが、そうこうしているうちに情熱的なグリマルディの方は、パメラが気になってきて。
「一人では寂しすぎる。人生には愛が必要だ」とパメラを口説く始末。
だけど、パメラは応じない。
「アフタヌーンティーはベッドで」という邦題ながら、お茶のシーンよりはお酒のシーンが多いこの映画。お酒が大好きなグリマルディがワインを語る場面や二人でお酒を飲む場面も。
原題は「Cin Cin」(乾杯)ですから当然かもしれませんね。
お互い生き方も考えも全く違う二人の想いは、どうなっていくのかしら?
うまくいきそうでいて・・・いかなくて。
気持ちが伝わりそうで、また離されて。
面白いのは、二人の妻と夫が、最初にちらりと姿を見せただけで(盲腸の手術場面で)あとは、遠めにしか写らないこと。
美しいマルガリーテとハンサムなジョージ・ピケの姿は、想像にお任せしますっていうことかしらね。
そうして、人騒がせなマルガリーテとジョージは再びお互いの伴侶の元に戻ってくる・・・のですが。
ラスト、パメラの息子が朝食を取っているシーン。
お茶にミルクを注ぐ彼の前に着替えたパメラが現れて。「今日は遅くなるわ」
意味深な微笑を浮かべた彼女の胸のうちは・・・?
ちょっとしわしわなマストロヤンニと、お堅い女性役がピッタリのアンドリュース。
一筋縄ではいかない二人の関係が、なかなか楽しい映画です。
それにしてもこういう題をつけられたら!!
観ないわけにはいきませんよね!お茶好きとしては(笑)
「アベンジャーズ」
1998年アメリカ 監督 J・チェチック
キャスト レイフ・ファインズ ユマ・サーマン ショーン・コネリー
イギリス諜報部「ミニストリー」の一員ジョン・スティードの今回の任務は、
気象を思いのままに操り全世界を陥れようとする科学者サー・オーガストの野望を阻止すること。
シルクハットにスーツを決め、こうもり傘を持った“イギリス紳士ルック”に身を包んだスティードが、気象学者エマ・ピールを連れて、「ミニストリー」を訪ねると、
まずはお茶を・・・となる。
諜報部トップの「マザー」のクッキーは特大で、いかにもお茶がすすみそう。(というか、お茶がないと食べれそうに無い)
優雅にお茶の時間を過ごし、さて、いざ出陣となるが。
車で郊外のサー・オーガストの屋敷に出かけていく際にも、またまた今度は車の中でティーターム。
車のダッシュボードに内蔵された「お茶がでてくる機械」からちゃーんとカップに
(もちろん、陶器です、紙コップじゃないよ~)お茶を注ぐ。これは楽しい~。
エマが「ミルクを入れる?」と聞くとスティードは、「レモンを2,3滴しぼって」と答える。
そしてちゃんと「お変わり」も。
そしてその後もいたるところにお茶のシーンだらけのこの映画。
サー・オーガストのお屋敷でもお茶、その後エマを助けてのスティードの家でもお茶。
お茶のあいまに事件を解決しようとする!っといってもいいくらい。
サー・オーガストと彼の仲間達がテディベアの着ぐるみを着ていたり、
スティードの母親の名前がアリスで、彼女とグリーンの植え込みの迷路をすすんでいったりするところ(不思議の国のアリスのよう)などお遊びがいっぱい。
なんともファンタジックとも思えるようなスパイ映画。
かなり不思議で、ストーリーなどは、?って感じてしまうところも。
でも、スティードのイギリス紳士ぶりや、エマの魅力的な衣装をお茶でもいただきながら、ゆっくりと楽しんでみるのもよいかもしれませんね。
※レイフのお好きなみみこさんが教えてくれたお茶のシーン。
みみこさん、ありがとう。「アリス・イン・ワンダーランド」
2010年アメリカ 監督ティム・バートン
キャスト ジョニー・デップ ヘレナ・ボナム=カーター ミア・ワシコウスカ アン・ハサウェイ クリスビン・グローヴァー懐中時計を持った不思議な白ウサギを追って穴の中に落ちてゆくと・・・。
おかしな双子トウィードルに賢者はイモムシ。
姿を消すチェシャ猫にドードー鳥。
そこに広がるのは奇妙、不思議なワンダーランド。
・・・・・でも。
19歳のアリス・キングズレーはこの世界を知っています。
幼いときから何度も何度も繰り返し夢に出てきたその世界。
だけど、つねってみても今度は醒めません。
今、この世界は・・そう、アリスの訪れを待っていたのだから。
ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」♪
誰もがみんな知っている!奇妙で、不思議な物語。
だけどバートン流のアリスは、みんながまだ知らない・・「それからのアリス」の物語。
だから、ほら、あの有名な三月ウサギのお茶会もちょっと様子が違っていますよ~♪
「君だね、僕にはひと目でわかる」
長いテーブルの向こうからアリスを見つめ、駆け寄ってくるのがマッドハッターなのだから!
いやはや、意外~!こんなマッドハッター、アリスの世界で見たことない~(笑)
だけど、やっぱりちょっとオカシイ人ですよ。
だって、テーブルの上をずんずんとお構いなしに歩いてくるんですもの。
三月ウサギがポットからお茶を注げば、カップには(もちろん)穴が空いてるし、
ティーポットもカップも飛ぶわ、おかしな謎かけは繰り広げられるわ・・、
うん!良かった(笑)やっぱり、これはへんてこりんなお茶会に間違いありません♪
アリスを追ってきた赤の女王の部下、ハートのジャックがやってきたら、小さくされたアリスはティーポットの中へ。
さぁ・・ここから、物語は不思議なだけじゃない、とってもドキドキして、ハラハラして、
ちょっぴり毒も効いていて・・でも勇気も必要な。
「それからのアリス」が「ここから先のアリス」を見つけてゆく・・そんな物語なんですね♪
アリスが、どんな風に目覚めてゆくのか、そしてアンダーワールドはどんな世界になってゆくのか。
赤と白、どちらの女王も、それぞれに強烈だし、マッドハッターのダンスもね。
そうそう!三月ウサギのお茶会にはスコーンもあったみたい?
でも、きっと当分食べれないでしょう(笑)
だって、それが三月ウサギのお茶会なんですもん。
「カラスと書き物机はなぜ似ているのか?」
さあ、こうなったらこの謎かけを考えながら、お茶とスコーンがまわってくるのを待ってみましょうか。
まわってこないかもしれませんけどね~(笑)
※ティム・バートン流、アリスワールド♪もちろん、ここでもアリスはゆっくりお茶は飲めないのね~(笑)
映画の中でのお茶のシーンは1つだったけれど、これは挙げないわけにはいかないでしょう、、だって「アリス」だもの(笑)
赤の女王も、白の女王もそれぞれとっても強烈でしたよ。そしてマッドハッターのダンスは、とっても可愛かったのです。「ある貴婦人の肖像」
1996年イギリス 監督 ジェーン・カンピオン
キャスト ニコール・キッドマン ジョン・マルコヴィッチ マーティン・ドノヴァン ヴィゴ・モーテンセン バーバラ・ハーシー19世紀のイギリス。アメリカからイギリスの叔父の家へやってきたイザベラは、美しく聡明な女性。崇拝者も多い。
家柄も財産も申し分なく人望も厚いウォーバトン卿、アメリカから彼女を追いかけてきた情熱的なキャスパー。そして、彼女を暖かく見守る従妹のラルフ。
けれど、イザベラはもっと生きたいと、自分の目で世界を見たいと望んでいた。
午後の庭でウォーバトン卿の求愛を断って、一人かけてくるイザベラ。
イザベラの従妹たちは芝生の上で午後のお茶を楽しんでいる。
芝生の上に置かれた3段のケーキスタンド。
しかし、かけてくるイザベラの様子に驚き、お茶を飲んでいた一人の女性は、美しいカップに入れられたお茶をこぼしてしまうのだ。
やがて、イザベラは叔父から莫大な遺産を相続する。
世界一周の旅をしようかと考えるイザベラは、フィレンツェでギルバート・オズモンドに出会う。
財産も地位も持たないけれど、一種独特な魅力を持つ彼との出会いは、彼女のそれからの人生を大きく変えることになるのだった・・・・
ニコール・キッドマンの美しいこと。
襟の高い黒のシンプルなドレスは、彼女の色白の肌を引き立てて。
とても印象的なお茶の場面をもうひとつ。
屋敷にたくさんの人々を招いて、パーティでしょうか。
人々は、それぞれ美しいカップを手に持ち、歓談している。
イザベラは、懐かしいウォーバトン卿に再会する。
銀の大きなポットからお茶を注いでいるのは、オズモンドの先妻の娘。父親に仲を裂かれた恋人が彼女に必死で話しかけるシーン。
まるで、ポットにささやくかのように彼への思いを答える彼女の静かな横顔。
しかし、彼女は父親に逆らうことができないのだ・・・・
自由に生きるはずのイザベラが、彼女自身の選択によって悲しい涙を流す後半は、ちょっと辛い展開です。
現代の私たちからみたら、はがゆくなる場面も多いですね。
彼女は、もっと自分を持った人生を歩める人なのに・・・と思いながら。
美しいお屋敷やインテリアに目を奪われ、豪華絢爛な舞踏会や衣装にはため息が出てきます。
出てくるカップもとても美しくて、思わず(ビデオを)一時停止して見惚れてしまうほどでした。
(※美しい映像なのに・・・途中ちょっと似合わないシーンが。イザベラがオズモンドに魅力を感じてゆくシーン。なんかそこだけ映像が世俗的で合ってない気がしました。)「イコライザー」 ★👈こちらからブログの感想へどうぞ♪
「いつか晴れた日に」
1995年 アメリカ
監督 アン・リー 脚本 エマ・トンプソン 原作 ジェーン・オースティン
キャスト エマ・トンプソン ケイト・ウィンスレット ヒュー・グラント アラン・リックマン19世紀初頭のイギリス。
この頃の女性には、働くことも相続権も認められていなかった。
ダッシュウッド家の主人ヘンリーが亡くなったとき、財産はもちろんすべて先妻の息子ジョージに譲られ、後妻とその娘達にはわずかな年金のみ。
彼女達は、大きなお屋敷で銀器のティーポットでお茶を飲む生活を捨て、
村のコテージを借り、小さなティーカップでつつましくお茶を飲む暮らしを始める。
美しい、それはまるで絵画のようなイギリスの風景と、何かにつれ「Teaを!」と口にする人々。
お茶は、人々にとってなくてはならない生活の一部のよう。
自分の気持ちを抑え、相手の立場を考えようとする姉と、ジュリエットのような恋がしたいと願う情熱的な妹。
それぞれの恋の行方を見守るように登場するお茶の場面。
時には、恋の喜びをかみしめるように、そして、時には、悲しい気持ちを慰めるように・・・
傷心の妹のためにお茶をいれた姉が、途方にくれながら階段でお茶を飲むシーンは印象的だった。
「時が経てば変わってしまう愛など、本当の愛ではない。北極星のように大嵐にもびくともしない愛が本当の愛」と信じる妹が、恋人の名前を呼びながらさまよう姿。
気持ちよりも理性が大事といいながら、愛しい人のハンカチをそっと握り締める姉が、最後にわっと泣きじゃくる姿。
二人の愛がどんな結末を迎えるのか、私もお茶を飲みながら、そっと見守りたい
「田舎の日曜日」
1984年フランス
監督 ベルトラン・タヴェルニエ
キャスト ルイ・デュークル サビーヌ・アゼマ ミシェル・オーモン パリの郊外に暮らす一人の老画家。
妻に先立たれ、気心の知れたお手伝いさんとの静かな日々を送る彼にとって、日曜だけは少し特別な日。
パリから息子夫婦とその子どもたちが、訪れる。
語らい、お茶を飲み、子ども達が遊ぶ姿を目で追う。なんということもない日常の時間。
しかし、その会話の中にも見え隠れするものが。
老いてゆく父を思い、その死を想像してみる息子。はっと、われに返り、父の肩をやさしく抱いてみる。
父は、父で息子の妻が息子の名前を勝手に変えて呼ぶのをにがにがしく思っていたり。
老画家は、叙勲も受けたくらいだから、恵まれた生活なのだろう。
庭は、とても広く、あずまやもあったりする。その緑あふれる庭や室内に降り注ぐ光が美しい。印象派の一枚の絵のような。
そこへ、娘も訪れて、屋敷は急に華やぎます。
気まぐれで、たまにしか訪ねてこない彼女を父は(ちゃんと定期的にやってくる息子より)愛しているらしい。
その嬉しそうな顔を息子は、複雑な思いで見ている。
娘は、自分に正直で、父にも気を使わない。その自由な振る舞いは、たしかに魅力的で兄の子どもたちも彼女に夢中だ。
娘はどうやら、恋人と喧嘩をしてきたらしい。電話にでない恋人に苛立ち、パリに戻ろうとする彼女に父親が呼びかける。
「お茶がはいったよ」
ベランダに置かれたテーブルをみなで囲む。お茶と庭で取れた洋ナシのジャム、手作りのタルト。
父が笑って言う。「なぜ、ミルクを先に入れるか知っているか?」
「カップがとても繊細だから、熱いお茶を先に入れると、カップが割れてしまう」
この話題は彼の口癖らしい。
娘は「次は、銀のスプーンの話ね」とからかう。
賑やかな、幸せなお茶の時間。
モネやルノアールのようになりたかったという老画家。
保守的で冒険のない彼の絵を娘は飾ろうともしない。お茶のあとで二人でドライブに出かけ、立ち寄ったお店で父は娘に語る。
「小さい世界だろうが、自分の愛する悔いの無い世界を描こうと決めたんだ」
娘はにっこりと笑ってこう言った。「私と踊って」
やがて、娘も息子家族も帰って行き、また静かな時間が戻ってきた。
一人、新しいキャンバスに向かう老画家。
彼が今度描く絵は、どんな絵だろうか。
「ウィンターゲスト」
1997年イギリス
監督アラン・リックマン
キャスト フィルダ・ロー エマ・トンプソンそこに広がるのは、白い世界です。
地平線まで続いているかのようにどこまでも凍った海。。
空は白く厚い雲におおわれ、町は静かに眠っている。家々の壁までが白く冷たい。
その白い世界を女性がひとり必死に歩いてくる。
流れてくるピアノの音。
女性は、夫を亡くして気力を失った娘フランシスを訪ねてきたのだ。
自分の中に閉じこもる娘に母は、容赦なくキツイ言葉を投げかける。少しでも娘の心を引きたいように。
母の言葉にやっとのことで、外に出ることを承諾した娘。娘に以前のように写真を撮って欲しくて、母は無理やりカメラを持たす。
灯台に向かう二人。吹き付ける風、道も岩も白く、観ているだけでも凍えそうに寒い。
お茶とパンを買う娘に母は、振り返りこう叫ぶ。
「お茶にミルクはいらないよ」
気丈な彼女は、お茶の好みもはっきりしているらしい。
足元がふらつく母を心配して娘が声をかけても彼女は聞こうともしないのだが、ついにふらついて転んでしまうので、娘は慌ててかけより、紙コップのお茶をこぼしてしまう。
しかし、あくまでも意地を張る母は、気遣う娘をさしおいて「お茶はどこ?」なんて聞くのだ。
映画は、この二人のやりとりと並行して
フランシスの息子アレックスと彼を思うニータという少女との出会い、
知人のお葬式に出ることを趣味としているような二人の老婦人、
そして、学校をさぼって海辺で遊ぶ二人の少年
この3組のカップルも映し出していきます。
二人の老婦人が、お茶を飲む場面も印象的でした。
テーブルには、シンプルで実用的な白のティーカップ。
隣の席に運ばれていく3段のケーキスタンドには、デザートが山盛り。
それを目で追いながら、「ミルフィーユ食べてみない?」と一人が誘います。
ミルフィーユも、私が知っているようないちごののった派手なものではなくて、あくまでもシンプルな薄いピンク色のもので、二人がそれをとても嬉しそうに食べるのが可愛らしい。
フランシスと母は、その後、海で少年達と出会います。少年と母の語らう姿に何かを感じたようにカメラを手にするフランシス。
帰り道、手を差し出すフランシスに母は「暖かいお茶が飲みたいわ」と言うのです。
肩を貸し、支えてくれる人がいれば、また人は歩いていける。そう信じたい。
観終わった後、思わず熱い、熱い紅茶が飲みたくなる映画です。
「運動靴と赤い金魚」
1997年イラン 監督マジッド・マジディ
キャスト ミル=ファロク・ハシュミアン バハレ・セッデキ アミル・ナジ修理したばかりの妹ザーラの運動靴を買い物の途中で失くしてしまった少年アリ。
貧しい生活、とても新しい靴を買って・・などと親にはいえない兄妹は、兄の運動靴を二人でかわりばんこで履くことに。
妹ザーラの下校を途中で待っているアリ、
懸命に走ってくる妹から運動靴を受け取ると今度は猛ダッシュで兄が学校へと向かう。
妹の足には大きすぎる兄の靴、時にはすっぽり脱げて川に落ちてしまったり、何度も遅刻を繰り返すアリが先生に厳しい注意を受けたりと・・。
二人で一足の毎日にはさまざまな試練が待ち受けている。
けれども必死で走り続ける二人の姿の、なんと健気なこと!
腰を悪くしてしまった母を助けるため家事の手伝いもする兄妹、
仕事から帰ってきた父親にお茶を出すのはザーラの役目だ。
狭い部屋の片隅に置かれたサモワールで沸かされたお茶をザーラは父親に運んでゆく。
「父さんも会社でお茶係りだけれど、ザーラの淹れてくれるお茶は格別だ」
「角砂糖はあるかい」
お茶に砂糖を入れるのではなく、角砂糖を口に放り込んでからお茶を飲むのがイラン式♪
でもその日、ザーラの家には砂糖が無かった・・。
代わりにアメを舐めることにした父親にザーラは不思議そうに言う。
「こんなに砂糖があるのに」
モスクに集まる人々のために砂糖の塊を砕いて、角砂糖を作っていた父親の手の前には山のような角砂糖が・・・。
「これは私たちのものじゃない、預かり物だ」
貧しい暮らしの中でも、こうした毅然とした態度を見せる父親の姿を見て育ったからこそ、
兄も妹も頑張り屋さんなんだ・・・と思わず背筋が伸びるシーンです。
後日モスクのシーンがあるのですが、特大のお盆にずらりと並べられた紅茶のカップは圧巻です。
そして父親の削った角砂糖も山盛りに盛られて、お茶とともに大勢の人に振舞われていきました。
さて、健気な兄妹は、いつか運動靴を手に入れることができるのでしょうか。
小学生のマラソン大会で3等の賞品が運動靴だということを知ったアリは、妹に3等になって運動靴を手に入れて見せると約束するのですが・・・。
マラソン大会の手に汗握るレース展開に、見ているこちらも力が篭ります。
頑張れ!ガンバレーーー!!
笑顔がとっても愛らしい妹ザーラ、
とにかく、その泣き顔が忘れられない兄のアリ。
見逃してしまわないで・・とってもさりげなく嬉しいシーンが用意されていましたよ、ラストには。
そうして、必死で走って疲れきったアリの足を優しく癒してくれるような、赤い金魚のシーンにもほっと心が和んでゆきます。
紅茶の国イランから届いた、とっても素敵な作品です。
※父母に聞かれないように宿題のノートで筆談をするシーン(右から左に文字を書くんですね!)や、
洗濯の石鹸でシャボンを飛ばして笑いあうシーン、妹の靴を履いている女の子を発見するんだけれど、その子の家が貧しくて何にもいえなくて帰ってくるシーン。
ひとつ、ひとつのシーンがとってもさりげないんだけれど、いいですねぇ。
普段の生活の中での、紅茶のシーンも良かったです。
一杯のお茶も大切に飲まなきゃね・・小さなザーラが父親に持ってゆくお茶のシーンに胸がいっぱいになりました「永遠の愛に生きて」
1992年アメリカ
監督 リチャード・アッテンボロー
キャスト アンソニー・ホプキンス デヴラ・ウィンガー ジェイムズ・フレイン ジョン・ウッドオックスフォードで教鞭をとるルイスは、また童話作家でもあり、「ナルニア国ものがたり」は、彼の代表作であった。
ルイスは、兄と一緒に暮らしていて、二人はいつも同じ部屋で机を並べ、同じようにお茶を飲みながら、(同じようにお砂糖を一杯入れて)いろいろなことを語るのだった。
ある日、ルイスにアメリカからのファンレターが届く。
詩人だというこの女性に興味を覚えたルイスは、イギリスにやってくるという彼女とお茶を飲む約束をする。
ホテルのティールーム。
ウエイターが、例の三段のケーキスタンドを持ち、一番上の段にスコーンを並べている。
その場所で「ルイスさんは、どこにいますか?」って大声で聞く女性ジョイに
ルイスと兄は、少しとまどいながらも、彼女の(アメリカ的というのだろうか)率直さと聡明さに今まで出会ったことのない新鮮さを覚えたのかもしれない。
2度目は、ルイスの家に彼女を招いてお茶の時間。
お茶と大きなケーキが見える。素朴そうな、飾り気の無い、いかにもイギリスのお茶菓子といった感じ。
彼女は息子を連れていて、彼はルイスの家の屋根裏を見せて欲しいと言う。
私は「ナルニア国ものがたり」は1作目の「ライオンと魔女」しか読んでいないのだが、たしか4人の子ども達が、屋根裏にある衣装たんすを開けるとそこにファンタジーの国が広がっていくのだ。
少年が、屋根裏に置かれた衣装たんすをおそるおそる開けてみる気持ちはよく分かりますね。
9歳の時、愛する母を癌で亡くしたルイスは、人に愛情を抱くことを恐れ人と深くかかわることを避けてきたようなところがあり、ひたすら象牙の塔にこもっていたのかもしれない。
しかし、ジョイと出会って彼は少しずつ変わっていく。
キリスト教学の著作も持っているルイスは「人間は、神が与えた悲しみというノミで削られながら、彫刻となっていくのだ」と講演でたびたび語っている。
そして、そのノミは、今彼にも打ち下ろされようとしていたのだった。
再び愛する人を失なうことになる現実。
強く愛すれば愛するほど、悲しみも増すのに・・
オックスフォードの雰囲気や、イギリスの田園風景の美しさがまたこの作品を引き立てているようです。二人で訪れた“ゴールデンバレー”でジョイはルイスにこう言うのでした。
「その時の苦しみは今の幸せの一部だと・・・そう考えて欲しいの。」
ラスト、ジョイの息子ダグラスとともに歩いてゆくルイスの後姿にこの言葉をしみじみと思い出しました
「エマ」
1996年イギリス
監督 ダグラス・マクグラス 原作 ジェーン・オースティン
キャスト グウィネス・パルトロウ ジェレミー・ノーザム トニー・コレット ユアン・マクレガー19世紀イギリス南部のハイベリー。
階級も高く裕福なエマは、まだ21歳だが、他人の恋愛にばかりおせっかいを焼いている。
自分の家庭教師の結婚を取りもったことで自信をもったエマは、今度は友だちのハリエットに牧師のエルトンを引き合わせる。
なんともおせっかいなエマ!
ハリエットには、彼女を崇拝するマーティンがいるというのに彼がただの農夫ということでハリエットの心を操縦し、求愛を断らせてしまう。
美しさと裕福さで何不自由なく育ったエマには、ちょっと自己中心的なところや傲慢なところが見えるのだが、
エマが心からそれがハリエットのためだと思い込んでいるのがなんとも憎めないところなのかも。
19世紀、イギリス、原作がオースティンとくればもちろんお茶の場面はたっぷり~
中でもエマと義理の兄ナイトリーが戸外のテーブルでお茶を飲む場面。
ナイトリーがエマの余計なお世話を非難したため、二人は気まずいお茶の時間を過ごすことになるのですけど。
風にゆれる緑の中、テーブルには銀器のポット、陶器のティーカップが午後の光に輝いてとても綺麗です。
雪の夜のクリスマスパーティーも素敵です。
大きなパンチカップに果物を浮かべたような飲み物が入っているのをカップに注いで飲む場面がありました。
あれはクリスマスに飲むと言う伝統的なワイン入りスパイスティーでしょうか?
さてさて、エマのおせっかいはその後も的外れの矢のように、彼女の思惑を外れた結果となってしまいます。
そのたびに驚き、ちょっと反省するのになんだか懲りてないエマですが、自分の胸に刺さった恋の矢にある時気づいてしまいます。
恋に気づいた彼女が少しずつ素敵な女性になってゆく姿が素敵です。彼女を素敵な女性にした男性とは、いったい誰でしょうか・・?
草原でのイチゴ摘み、草の上でのお茶の時間もちゃんと陶器のティーカップにサンドイッチ。
ドレスに舞踏会、ダンスシーン。
絵のように美しいイギリスの自然の中、優雅な生活ぶりに思わずうっとり。まさに古き良き時代とはこういうことを言うのでしょうか
「オーシャン・オブ・ファイアー」
2004年アメリカ 監督 ジョー・ジョンストン
キャスト ヴィゴ・モーテンセン オマー・シャリフ ズレイカ・ロビンソン ルイス・ロンバートまだらのムスタング、ヒダルゴとカウボーイ、フランク・ホプキンスは、クロスカントリーレースで無敗を誇るコンビとして名を馳せていた。
ある日、フランクは自分が運んだ一通の手紙がきっかけで、自らもその血を引く原住民一族が死に追いやられる場面を目の当たりにしてしまう。
以来、彼は自らを責め、酒におぼれ、ウエスタンショーで道化を演じる毎日を送るようになったのだが・・・
そんな彼に持ちかけられたのは、“オーシャン・オブ・ファイアー”と呼ばれるサバイバルレース。
ペルシャ湾からイラクを抜け、シリア砂漠をダマスカスまで向かう全長3000マイルのそのレースは、“炎の海”の名の通り、過酷を極めるレースとして有名だった。
当初は参加する気のないフランクだったが、仲間の言葉と彼らの集めてくれた費用で愛馬ヒダルゴとともにアラビアの地に向かうことになる!
数々の参加者達。
生粋の名馬アルハッタルに乗ったアルリー王子、白馬に乗ったベテラン旗手サクール。
そんな勇者たちの中意外な光景を目にしたのは・・・
砂漠に張られたテントの下で優雅にお茶を飲む女性。
イギリス人のレディ・アン・ダヴェンポート。
灼熱の太陽の下、パラソルを差し、ドレス姿が美しい彼女も、もちろん自分の馬の優勝を信じて疑わない一人だ。
1000年の歴史を誇り、かって純粋なアラビア馬しか参加したことがなかったそのレースで、カウボーイハットをかぶり、ムスタングに乗るフランクの姿は、誰の目をもひきつけるものだったが、彼女もまたフランクに興味を抱き。
レディ・アンのテントに呼ばれたフランクはお茶を勧められるのだが・・・・
広大な灼熱地帯、どこまでも続く砂漠・・・襲い掛かる砂嵐。
過酷なレースがはじまった。
しかし、襲ってくるのは自然の恐ろしさばかりではなく。
アラブの族長の娘をめぐる誘拐事件やライバルのしかける罠や。
盗賊たちに襲われ、みなが逃げ惑うテントの中・・・
レディ・アンの召使の女性がポットを持って立ち尽くす場面がある。
恐怖のあまり美しいポットを落としそうな召使を尻目に・・・レディ・アンといえば・・・普段どおり。
美しい薔薇には棘がある・・・この女性の、内に秘めた思惑を知るのは後の場面になる。
やがて迎えた最終レース。
過酷なレースを制するのは、はたして誰なのか。
美しい夕日を浴びながら、もうヒダルゴに乗ることも出来ず・・・二人で歩き続けるフランクの唇は、ひび割れて・・・。
映画を観ている私たちも思わず喉の渇きを覚えてしまいます。
お茶を飲ませてあげたい・・いや、お茶でなくても水の一杯でも。
思わずそう思ってしまいますよね~。
※ヴィゴ・モーテンセンのカウボーイ姿がとにかく素敵な映画でした。
そして愛馬ヒダルゴ!!なんて愛らしいのでしょうか、あのつぶらな瞳。
アラブのお姫様や、盗賊たち。
どこか懐かしさも感じる映画でしたね。
へえ・・こういう映画にお茶のシーンあるんだねえ・・・最近こういう意外な発見が嬉しくて。
でも暑い地方での熱い一杯のお茶。これはちゃんと理にかなって体にもよいことなのですよね。
懐かしいオマー・シャリフがアラブの族長役で登場するのも嬉しい。
「お茶と同情」
1956年アメリカ 監督 ヴィンセント・ミネリ
キャスト デボラ・カー ジョン・カー リーフ・エリクソン エドワード・アンドリュース
ダリル・ヒックマン ノーマ・クレーン ディーン・ジョーンズ学生寮の舎監夫人であるローラのキッチンに置かれた立派な銀のポット。
それは、学長から贈られたもの。
学生たちには“お茶と同情”を与えておけばいい・・
それ以上の関心は必要ないこと。
舎監である夫からそう言われてもローラは、トムのことが心配でたまらない。
詩を読んだり、ギターを弾きながら歌を歌ったり。
細やかな優しい心を持つトムは、学生たちの中でもちょっと特異な存在。
歩き方をからかわれたり、
他の学生達と交わらずに、舎監夫人達と刺繍をしたりするトムは、“シスター・ボーイ”と呼ばれていじめの対象になっていたから。
トムにとってローラは憧れの存在。
父親も含め、自分を理解してくれない人たちの中で、彼女だけはトムに優しく。
そんな彼女とのお茶の時間が、トムにとっては唯一ほっとする時間。
けれども、トムの父親から息子を男らしくしてほしいと頼まれたローラの夫は、そんな二人の様子が気に入らないし。
ひとり自分をかばってくれたルームメイトが、自分のせいで寮を移ると聞かされたトムは、ある決心をする。
男らしさをみなに示すために・・トムがやろうとしていること。
それを偶然知ったローラは、彼を止めたくってたまらない。
自分の飲んでいたお茶を勧めて、必死に彼を引きとめようとする。
「こちら側から飲めばいいわ」
自分が口をつけていないカップのふちを彼に向けてお茶を勧めてまで。
それはもう、“お茶と同情”の範囲を超えたものだったけれど。
男らしさ・・ってなんでしょう?
この頃の時代で、トムのような存在は変わった存在だったんですね。
ギターを弾きながら歌を歌うことが女々しいこと・・だなんてね。
トムの父親には・・あきれたわ。
デボラ・カーが美しいです。
雨の夜、黄色い薔薇を抱えたレインコート姿、パーティのための緑のドレス。
こんな舎監夫人なら、だれもが一緒にお茶を飲みたいでしょう。
※「お茶と同情」まさにずばり・・の題ですよね。普段行かないビデオショップで発見したとき小躍りしました。
ブロードウェイで好評を博した舞台をもとに作られた映画だそうですよ。「オネーギンの恋文」
1999年イギリス
監督 マーサ・ファインズ
キャスト レイフ・ファインズ リブ・タイラー トビー・スティーブンス
19世紀ロシア。
青年貴族オネーギンは、叔父の遺産により田舎の土地と屋敷を相続する。
ペテルスブルグの社交界にあきあきしていた彼は、きまぐれか、この田舎の地に留まることにする。
そこで彼はウラジーミルという青年と知り合う。ウラジーミルの許婚のオリガと姉のタチアーナとも。
叔父が本を貸していたというタチアーナに彼が貸した本が「新エロイーズ」というのも意味深ではないだろうか。愛する人に書いた書簡集。
タチーアナは、彼のシニカルな魅力に惹かれたのだろうか。
眠れぬ夜、床の上で彼への恋文を書くタチーアナ。静かな夜に彼女の情熱的なペンの音が響く。
しかし、オネーギンは、彼女の情熱に応えようとはしない。
自由に生きていたい彼には、愛は自分を縛りつけるものとしか思えない。「不幸な人」タチアーナはつぶやく。
またオネーギンは、不用意な言葉でウラジーミルを傷つけ、彼から決闘を申し込まれてしまう。
重く立ちこめた灰色の空に風車が回っている。桟橋は今にも川の水があふれてきそうに低く濡れていて、絶えず波が立つ川にどこか心まで落ちつかくなってくる・・
こうして、大切なものを失った彼は、その土地を離れた。
タチアーナの母は、結婚をしようとしない彼女を連れて公爵夫人を訪ねていた。
紅茶を飲みながら、公爵夫人に娘のことを相談する母。
夫人は、結婚に愛など・・と言い、「結婚しても好きな人がいれば愛人にすればいいのよ」と言い放つ。しかし、タチアーナにとって、結婚は神聖なものであった。
6年後。ペテルスブルグに戻ってきたオネーギンは、思いがけない人と再会する。
美しく社交界の花となった彼女、タチアーナ。
目を疑い(このあたりが分からないのよね、実は。彼女はもともと綺麗だったから、そんなに変身したようには見えなくて)今度は彼が恋文を書く。
彼女の落としたショールを抱きしめるオネーギン。
スケート場では彼女の姿をひたすら目で追う。白い息の舞うスケート場。暖かい紅茶を乗せたトレイを持ったボーイの姿が見える。(ロシアですからね、紅茶ですよね、きっと)
しかし、彼はそれを飲もうともせずひたすら彼女を見つめている。
愛を軽んじ、誰かとともに生きることを拒否した彼が失ったものは大きい。
二人の情熱的な恋文は、それぞれの心をつないではくれなかった。それぞれが、お互いの手を必要としている時には。
たとえ彼がその恋文を今なお持っていたとしても・・彼女はもう戻っては来ない・・。
冒頭、雪の中を馬車を走らせるシーン。一面の白い世界。
そして、彼が彼女を訪ねた最後の場面もまた。
広い部屋の中にはひとり彼女が座っている。白いドレスがまぶしい。
田舎の風景が綺麗です。川とか桟橋とか。
オネーギンの貴族的な衣装やタチアーナの衣装も素敵でした。社交界のダンスシーンも見られますよ。
- お茶のシーンのある映画(Tea&Cinema)
-
| trackback:0
-
| comment:0