2010
01.17

「青髭」

青髭 [DVD]青髭 [DVD]
(2009/10/02)
ドミニク・トーマスローラ・クレトン

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あるところにたいそう金持ちの男がいました。
青い髭を生やしたその風貌から「青髭」と呼ばれ、恐れられていました。
青髭はある美人姉妹に求婚し、その妹と結婚することになりました。

あるとき青髭は、新妻に鍵束を渡し、「どこにでも入っていいが、この鍵束の中で“小部屋”にだけは絶対に入ってはいけない」と言いつけて外出してゆきます。
しかし、新妻は好奇心から夫の言いつけを守らず、入ってはいけない小部屋の扉を開いてしまうのでした・・・。



ドイツのグリム兄弟に先駆けて民話を収集したフランスのシャルル・ペロー。
その童話集に収められた「青髭」のお話は、それはもう・・いろいろな意味で有名ですよね。


実はグリム童話でも初版本にはこの「青髭」が収められています。

初版グリム童話集―ベスト・セレクション初版グリム童話集―ベスト・セレクション
(1998/10)
グリム兄弟

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我が家にあるのがこちらの本なのですが、グリムの「青髭」では青髭が結婚を申し込むのは美人姉妹ではなくて、3人の兄を持つ妹という設定なのですよね・・。


本作は、そんな誰もが絶対聞いたこと、読んだことがある童話「青髭」をフランスの女性監督カトリーヌ・ブレイヤ(独特の映画を作る監督さんですよね!)が新解釈で映画化・・・と聞けば。
これはもう「観てはいけない!」と言われても観たくなるのが、好奇心というものです(笑)







ある私立のカトリック学校。
ここで学んでいたアンヌとマリー姉妹は、ある日突然院長に呼び出され、父親の死を知らされます。
院長から冷たく学校を追い出され、家に戻ってきた彼女たちを待っていたのは、母親の愚痴と食べるものにも困る貧しい暮らし。
そんなとき、姉妹は、近くに住んでいる金持ちの男「青髭」が結婚相手を探しているという話を聞くのですが・・。


冒頭の学校のシーンから、もうすっかり不思議な雰囲気が漂う・・映画。
しかし、もっと驚いたのは、この姉妹のキャラクター。
姉も妹もとらえどころがないのは、物語の中の登場人物?っぽさってことでしょうか。
それにしても不思議だ~。

ふたりの性格の違いもこんなに見せるなんて?・・・・と不思議に思ったのですが、
あとになって思うと、妹のキャラクターのどこか超然とした部分や、恐れをしらない様子、不思議な怖さまでも感じる部分が、青髭との出会いや、結婚後の生活などにもしっかり引き継がれていたんですね~。



そして、この映画のもう一つの仕掛けは、現実?の世界で「青髭」の本を読む姉妹の姿が、この童話の中の世界と交互に描かれていることでした。

色違いのギンガムチェックのエプロンドレスを着た愛らしい姉妹ですが、なぜか妹が姉に「青髭」を読んであげるのです。
とっても口の立つこのおしゃまな妹、可愛いのですが、「結婚したら、そのあと同性愛者になるの」なんてわけのわからないことを言ったりして(笑)

でも、なぜ妹が?・・ふつうはお姉ちゃんが妹に読んであげるんじゃ・・と思うこのしかけ、
「青髭」でも結婚して青髭の館に行くのは妹の方、物語を引っ張っていくのは妹だった・・ということなのかしら・・と想像したり。
(最後の小部屋のシーンの描き方でも、それが現れているように思います)



さて、青髭と結婚した妹ですが
ふたりで過ごすその姿、交わされる会話に・・私はやたらドキドキしてしまいました。
なんだか、お互いに同じような疎外感、孤独感を持っていて、惹かれあっているように見えて。

まだこどもの無邪気さと奔放さを持ち、恐れをしらない妹に・・青髭が向ける視線。
もしや、青髭といいながらも、全く別のストーリー(美女と野獣的な!)が展開されるのかしらと思ってしまうほどなのです。


しかし、、そこはやはりお約束の「青髭」!!
鍵束が出てくるんですねぇ・・(汗)

留守にするという青髭から屋敷中の鍵を渡された妹は、ただひとつ、この小さな金の鍵の部屋には決して入ってはいけないと言われます。
童話を読んだとき「なぜ、開けてはいけない部屋の鍵なら、隠しておかないのか・・」と思った私ですが、
この映画でこのシーンを観たとき、ふっと頭に浮かんだのは結婚式のすぐあとのシーンでした。

新居となる城に戻った時、妹はすぐに自分だけの部屋が欲しいと青髭にねだったのでした。
大人になるまではひとりで眠りたい、決してこの部屋には入ってこないで・・と言う妹(そんなバカな~~!!と思った私 苦笑)
しかし、この約束を青髭は守ったのですよねぇ・・。

う~~ん・・、そうすると青髭とのこの約束も妹は守るべきではなかったのかしらなんて・・、
何故?いつのまに・・青髭寄りになっている私!?(汗)



しかし、ここで不思議なことに
青髭に見てはいけないと言われた部屋への階段をあがっていったのは(狭い、狭い階段や廊下のシーンは印象的!)
なぜか、あの(現実の)姉に本を読んであげていた小さな妹の姿で描かれていました。
これは、いったい何を意味しているのでしょう?

実は、このあと小さな妹は、思いがけない悲劇に出会ってしまうのですが、もしかしたら、童話の中の悲劇が現実の世界にすり替わってしまう・・・・そういう暗示だったのでしょうか・・。
上手く説明できないのですが、この映画、とにかくいろんな風に想像が広がってしまうんです。



想像が広がるといえば、ラストシーンの妹の表情も・・。
なんともいえない表情でしたね、ゾクゾクッ。彼女の心には今、どんな思いが浮かんでいるのかしら。


印象的な色づかいの映像や、なんだかやたらいろんな想像が膨らんでしまう、その演出。
青髭・・って、やっぱりひとの好奇心や想像力をかきたてる、不思議な魅力が潜んだ素材なのでしょうか。
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