2010
01.12

「湖のほとりで」

湖のほとりで [DVD]湖のほとりで [DVD]
(2009/12/25)
トニ・セルヴィッロ

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北イタリアの小さな村の湖のほとりで、美しい少女アンナの死体が発見される。
争った形跡もなく、まるで眠っているかのようなその姿・・。

捜査の指揮をとるサンツィオ警部は顔見知りの犯行と推測し、アンナを知る村人たちから話を聞いてゆくのだが、
やがて、それぞれの家庭の中に潜む、愛情、苦悩、秘密が・・顔をのぞかせてゆくのだった・・。



一人で歩いてゆく、まだ幼い少女にやがて近づいてくる一台の車。
もしや、もしや・・とハラハラ、ドキドキする映画の幕開けでしたが、意外なことに本当の事件は、別のところで起こっていたのでした。

美しい湖のほとりに横たわる少女の死体。
そう、まるで眠れる森・・ではなく「眠れる湖の美女」のように。
王子様がキスをしたら目覚めるんじゃないかとさえ思えてしまう・・。

むごい殺人事件のはずなのに、幻想的で・・まるで絵のように美しくさえ見えてしまうその光景が、不思議に何度も頭の中に浮かんできます。


しかし、捜査の中で浮かび上がってきた生前のアンナの姿は、「死」などとは全く無縁のような生き生きとした、若さと美しさに輝く姿でした。
アイスホッケー部に属し、マラソンをするのが好きで・・ベビーシッターを一生懸命勤めていた。

そんな彼女が、何故、あんな風に死を迎えなければいけなかったのか。
そこには、アンナ自身が抱えていた秘密があり、そしてまた彼女のまわりの人々が抱えていた苦悩や、憎しみや愛や・・悲しみがある。



アンナを溺愛し、もうひとりの娘のことは全く構わない父親、
少し知恵遅れの、第一発見者のマリオと足の悪い父親、
事故死したという、アンナがベビーシッターをしていた赤ん坊の両親。

それぞれの家族の抱える秘密や、痛み、そして人々のさまざまな感情が、
まるで湖に広がる波紋のように、静かに広がっていくのでした。

村の人々だけではありません。
警部もまた、苦悩を抱えている・・。

若年性認知症の妻への思い、しだいに家族を忘れてゆくその姿を娘にどう伝えたらいいのか。
警部役のトニ・セルヴィッロのやるせない想いを抱えた・・その表情に心を打たれます。


静謐・・っていう言葉がぴったりですね、心に沁み入るミステリードラマでした。


アンナの死の真相に・・なんともいえない思いを抱きながら、
最後には、警部の妻のあの笑顔に救われた思いがします。

もうすでに記憶が無くなりつつありながら、娘に微笑みかけたその笑顔を・・悲しみと同時に強く受け止めた警部と娘。

そこからまた新しい日々が始まってゆくのでしょう、暖かく、静かに。
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