2010
01.10

「コッポラの胡蝶の夢」

コッポラの胡蝶の夢 [Blu-ray]コッポラの胡蝶の夢 [Blu-ray]
(2009/03/27)
ティム・ロスアレクサンドラ・マリア・ララ

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昔者荘周夢為胡蝶。栩栩然胡蝶也。
自喩適志与。不知周也。俄然覚、則蘧蘧然周也。
不知、周之夢為胡蝶与、胡蝶之夢為周与。
周与胡蝶、則必有分矣。此之謂物化。

以前のこと、わたし荘周は夢の中で胡蝶となった。喜々として胡蝶になりきっていた。
自分でも楽しくて心ゆくばかりにひらひらと舞っていた。荘周であることは全く念頭になかった。はっと目が覚めると、これはしたり、荘周ではないか。
ところで、荘周である私が夢の中で胡蝶となったのか、自分は実は胡蝶であって、いま夢を見て荘周となっているのか、いずれが本当か私にはわからない。
荘周と胡蝶とには確かに、形の上では区別があるはずだ。しかし主体としての自分には変わりは無く、これが物の変化というものである。



(荘子「胡蝶の夢」)


第二次世界大戦前夜のルーマニア。
年老いた言語学者のドミニクは、自身の一生にむなしさを覚える日々を送っていた。

一生をかけた研究も未完成のまま、頭をめぐるのは、かって愛した女性ラウラのことばかり。
耐え切れず自殺を決意した日、ドミニクは落雷に合い、全身火傷の重傷を負ってしまう。
しかし、奇跡的に一命を取り留めた彼は、驚異的なスピードで回復してゆく・・。
肉体と頭脳は若返り、超人的な知能を得た彼は・・再び人生の夢を取り戻すことができるのだろうか・・。



新春一番にネットレンタルで届いた作品が、先日挙げた「夜更かし羊の寝る前に」と本作「コッポラの胡蝶の夢」。
意図したわけではないのだけれど、どちらも「夢」がキーワードの作品だ~~!!と、その不思議な偶然を面白く感じてしまう。


しかし、しかし・・。
同じように夢がキーワードでも、こちらは・・また、全然雰囲気も違う。
原作であるミルチャ・エリアーデの小説「若さなき若さ」をとても忠実に映画化したとのことなのですが、原作者の方は、世界的な宗教学者であるとともに、独特な幻想小説を書かれた方として有名だとか。

映画の中に登場する古代の言葉や、宗教、そして哲学的な思想・・、う~~~ん、深いぞ、深いぞ・・・(分からないぞ・・笑)

時間軸も、場所も・・。
過ぎていっていると思えば・・はたまた遡っているのか?これが夢ならどこからどこまでが夢?とか。
そして、ドミニクのそばに現れる・・もうひとりのドミニクは?・・。

なんて、考え始めるととても難解で、捕えどころのない作品で、映画を見ながら(これは感想書くとき)絶対四苦八苦するに違いない・・・って頭をよぎった作品なのですが(苦笑)


難しいところは置いといて(笑)
この雰囲気、映像の妖しさ、美しさ、う~ん、魅力あふれる作品だわ。


なにより、やはり、このドミニクの数奇な人生、それに魅せられてしまいます。
数奇な人生と言えば、若さを手にしたその様子は、ちょっとベンジャミン・バトンを思い出させますが、
(ベンジャミンと違って)ドミニクにとってのその若さは「満足できる人生への再チャレンジ」を意味するもの。


やり直したいこと、取り戻したいこと・・そういう気持ちって、誰にもあるもの。
もしかしたら、コッポラ監督の自身やり残した・・と感じたものをこの映画に込めたのかもしれません。



今度こそは・・と思う気持ちが、ラウラに瓜二つの女性ヴェロニカへの想いへと込められてゆくのだけれど、
今度もまた(違った意味ではあるけれど)研究と愛との板挟みに苦しんでしまうことになってしまう、その切なさ。

ティム・ロスの憂いを帯びた瞳が・・たまりません~~。


ラストもまた謎を残したまま・でしたね。
荘子の説話(↑の)を読み返して、結局はそういうことだったのかなぁ・・と想像はしてみるのですが、
謎解きよりも、なによりも、不思議なその余韻に浸っていたい。


繰り返しても、やり直しても・・完全にはならないものが「夢」で、また「人生」であっても。
何度も、何度もその夢の中で舞えるならば、それは幸せなのかもしれないなあ・・などと想いながら。

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コメント
遅ればせながら・・・。(汗)

おぉ~、これ、感想上げて下さったのですね♪
同じティム・ロス主演で、瞳様も以前取り上げていらした「夢の旅路」にちょっと雰囲気の似た「不思議系」映画でしたね!

因みに、私の今年最初の映画(映画館での)鑑賞は「ヤング・ヴィクトリア」でした。
若き日のヴィクトリア女王役には「プラダを着た悪魔」のエミリー役、エミリー・ブラント、アルバート公には最近作「縞模様のパジャマの少年」で冷徹なナチス将校を演じていたルパート・フレンド(この人、ちょっとO.ブルームをクールにした感じ。)、この2人が前作とは全く違うキャラクターをどう演じてくれるか興味があったのですが、なかなか良かったです☆(衣装も豪華で素敵だった。)
DVD化されたら、瞳様も是非~♪

「Dr.パルナサス」にも行こうと思っていたのに、モタモタしていたら、私めの近所ではそろそろ終わってしまいそう・・・。(泣)

そうそう、「ラブリーボーン」本は読まれたようですが、映画には行かれました??
Aramisdot 2010.02.22 16:57 | 編集
>Aramisさん
不思議な物語でしたね。いろいろ考え出すとどっぷりと・・浸ってしまいそうな・・深いお話でもありましたね。
何度か見返したら、また違う部分も見えてくるのかしら・・と思ったりしましたよ~。
でも、こういう味わえる作品って、好きです。

「ヤング・ヴィクトリア」ご覧になったのですね~!!
エミリー・ブラント「プラダを着た悪魔」良かったですよね♪
そうそう、ルパート君!確かにオーランドに似ていますよね。
「高慢と偏見」を観た時、おお~!!って思っちゃいました(笑)
「縞模様のパジャマの少年」では、冷徹なナチス将校役!?うわ、意外な役だったのですね。
コスチュームもの、似合いそうですよね。「ヤング・ヴィクトリア」こちらでは公開無いようなので、DVDになったらぜひ観たいと思います。

「ラブリーボーン」、明日見に行こうと思っていますよ~!!(笑)
dot 2010.02.23 21:09 | 編集
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