2009
10.20

「愛の風景」

愛の風景 [DVD]愛の風景 [DVD]
(2003/06/27)
不明

商品詳細を見る


貧しい神学生ヘンリク・ベルイマンと上流階級の娘アンナ。
環境も価値観も異なる二人が出会い、愛し合い、周囲の反対を乗り越えて結婚する。

北部の田舎町で牧師をして迎えられることになったヘンリクとアンナ・・。
願ったはずの二人きりの生活だったが、考えや思いの違いから二人の間に衝突は絶えない。
互いに傷つけあう二人・・。

二人目の子どもを身ごもったアンナは、ついに耐えきれずヘンリクとの別居を決意するのだったが・・・。

1992年度カンヌ国際映画祭パルム・ドール(グランプリ)、主演女優賞受賞。




「お姫さまは王子さまと結婚して、幸せに暮らし・・・・」


愛し合って、この人と一緒になれれば夢のよう・・、
互いにそんな風に思って結ばれた夫婦でも、日々の生活の中で気持ちがすれ違い、価値観の違いから衝突し、やがてはともに暮らすことに疲れてしまう。

そんな夫婦の人間ドラマを3時間、たっぷり、たっぷり、たっぷり見せられました。


若き日のヘンリクとアンナ。
実は、登場した二人に、ええっ・・・これから、この二人のドラマを3時間も見さされちゃうの?と思わず尻ごみしたくなった私(苦笑)
とにかく・・暗い、ヘンリク。
ハンサムだとは思うのですが、表情が固くて硬くて。
冒頭で、母と自分を顧みなかった祖母が死ぬ間際に赦しを乞うている・・と聞いても心を開こうとしないその頑なさ(神学生じゃないのか・・・)意固地さに、まず驚いたし。

不自由のない環境からなのか、思ったことをそのまま口にするアンナにも・・若く美しい・・って言われてもええ~っと、正直綺麗とは思えないし。

3時間、大丈夫かしらと思った私でしたが。


これが驚き!(いや、失礼ですが)
絶対「楽しい」とか「心暖まる」とか「優しい気持ちになれる」とか、そういう作品では無いのですが。
ひとというものへの驚きや哀しさや、深さ・・。
こんなにも心揺さぶられるとは・・思ってもみませんでした。



愛し合う二人に障害はつきもの。
アンナの両親の反対(ヘンリクの母の、奥底の気持ちも怖い)、ヘンリクの婚約者、病気・・、
二人の間のさまざまな障害を、なんとか乗り越えて。

やっとなんとか結婚までこぎつける二人。
見つめ合い、交わし合う笑顔にほっとしたのもつかの間。
ここからが正念場?でした。

赴任先の牧師館を見に行った先で、さっそく現れた二人の考え方の違い。
結ばれるまではまわりの障害ばかり目に入っていた二人が、ここではっきりと気づきます。
この人は、自分とは「違う人間」だと。

式のやり方、場所で・・互いに譲らず言い争い、赴任先でもさまざまな事柄で揉める二人・・。

この二人、大丈夫?と思わず手に汗握るほどの、激しい言い争い。
やはり私が女だからでしょうか、結婚生活に至っては、アンナの方に同情してしまう部分が多かったのですが(お嬢様の彼女が、寒さの厳しいあの土地で家事に明け暮れる姿に思わず頑張っているじゃない!!と)


スウェーデンのベルイマン監督が、自らの自叙伝を元に脚本を書いている本作。
ヘンリクとアンナは監督の両親なのですね。

実に、この登場人物たちの人間的なこと、ひとつ、ひとつの会話、台詞のリアルなこと。
ヘンリクとアンナ、二人の母親もまた、強烈でした。

表立っては賛成していたかのように見えたヘンリクの母親が
「息子を愛せない」「アンナが早く息子を捨てますように・・」と願いながら夫からのペンダントをアンナに渡すシーンの恐さ・・・。

人間の勝手さ、醜さをこれほどまでにはっきりと描いたドラマって、なかなか無いのではないでしょうか。

でも・・その半面、孤独さから人を求め、互いに少し譲ることを覚え・・、愛の炎が消えかかった今でも、寄り添おうとしている夫婦に、ひとというものの不思議さや、奥深さも感じてしまいます。
一見冷たく見えるヘンリクが実は孤独を一番怖がっているのではないかと感じたり(そう感じたからこそ、祖母のことも許せなかったのかもしれません)
包容力があるように見えるアンナが、でも面倒をみていた子どもをどうしても愛せないと感じたり。
ひとって、本当に複雑な心のひだを持っている・・とも感じたのでした。


スウェーデンの自然、寒さの厳しい北部の田舎町の風景も印象的でした。
お茶の時間も多かったですね~( Tea&Cinema にも挙げたいと思います)




夫婦間での価値観や考え方の違い・・。これはもう夫婦生活を経験すれば、誰もが厭でも実感として感じるもの。
言い争い、時にはなじりあい、傷つけあう二人の姿も決して、他人ごとではない・・身につまされる思いです。

でも、それでもなんとか歩み寄ろうとする彼らに、しみじみとしたものを感じながら。
私はどうかしら、私たちはどうかしら・・と考えずにはいられない。
自分の内側をも、思わず見つめ直さずにはいられなくなってしまう・・作品だと思います。

トラックバックURL
http://teapleasebook.blog26.fc2.com/tb.php/210-e47e1f30
トラックバック
コメント
瞳さん~、こんばんは。
復帰早々にコメントを下さって、ありがとうございました。(^^ゞ
私も、1か月ぶりにお邪魔させてもらって、あれもこれもお話したい作品があって、どれから・・と思いましたが、今日はこちらの作品で(*^^)v

この作品は、調度ベルイマン監督作品にハマっていたので、よぉーし、観るぞ!!と腕まくり!?して借りに行ったのですが、当時はまだVHSの時代で、さらに2本組みの大作・・、そして瞳さんもおっしゃっているように、内容の濃さ、重さに、鑑賞後はヘトヘトになってしました。
ベルイマン監督らしいと言えば、らしい作品ですけど。(苦笑)
細かな部分は忘れちゃっていますが、結婚後は本当によく揉めていましたね。
あのチャペルでも、確かいきなり喧嘩?になっていましたっけ??
やはり育った環境や価値観の違いって、なかなか埋められないのかなぁ~と思いました。
心の底では愛し合いながら、どうしても傷つけ合ってしまう二人が観ている私には痛々しかったです。

私たちのように夫婦を何十年もやっていると(笑)、押したり引いたりのタイミングが分かるんだけど、妥協が許せない年齢というか、性格なんでしょうかねぇ~~^^;
私は彼らに『負けて勝つ・・』という言葉を贈りたいと思いましたよ!(笑)
ベルイマン監督は 瞳さんのおっしゃるように「自分の内側を見つめる」のが好きな監督さんですね。
もうちょっとさら~っと流せばいいのに・・、なんてね。
そこが芸術家と、呑気なおばさんの違いでしょうか??^^;

あ、今日はポールの「ワイルド・スピード MAX」を観てきましたよ。
もぉぉ、ポール最高に素敵でした!!
今、そのかっこ良さに、うなされています~(爆)
カポdot 2009.11.06 23:52 | 編集
>カポさん
ハンドメイドお疲れ様でした~。
肩こり大変でしたね、ゆっくりと休みながら、でも映画もいろいろ見たいですもんね♪
こちらこそ、お疲れなのにさっそく来ていただいて嬉しいです。

おお、そうでしたか!
カポさん、ベルイマン監督作品もいろいろご覧になっているんですね。
うんうん、この重さ、濃さ、強烈でしたよね。

>結婚後は本当によく揉めていましたね。
あのチャペルでも、確かいきなり喧嘩?になっていましたっけ??
そうそう、結婚式のやり方でいきなり揉めてましたもんね。
彼は彼女のやりたいようにしたらいい・・って言ってたのに、気が変わってしまって(というか、もともと地味にやりたかったんですよね)彼女も絶対譲らないものだから・・。

>妥協が許せない年齢というか、性格なんでしょうかねぇ
そうでしたね!彼も彼女も、自分というものをとてもしっかり持っていて・・。
どちらかがのほほ~んとしてればねぇ(笑)
負けて勝つ・・!!そのとおりですよぉ(笑)贈ってあげたい、その言葉。
うんうん、さら~っと流せばいいのにねぇ。
私なんてさらさら~っと流すのが好きですよん(笑)

でも、最初はこの二人のドラマ3時間も!!って思いながら見たのですけど、意外に見入ってしまいましたよ~。
そして観終わった今でも時々思い出す・・、やはり監督さすがだわ・・とも思ったり。

きゃーーー、カポさん!
さすが~~♪ポールを見に行かれたんですね。
ハンドメイドでの疲れがポールの素敵さで飛んじゃいましたか(笑)
あははは~、うなされちゃってるんですね(笑)熱が上がっちゃいそう。
あぁ・・私も見に行きたくなってきました♪

dot 2009.11.07 17:51 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top