2009
10.12

「私の中のあなた」

私の中のあなた 上 (ハヤカワ文庫NV)私の中のあなた 上 (ハヤカワ文庫NV)
(2009/09/05)
ジョディ・ピコー

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弁護士キャンベル・アレグサンダーのオフィスを訪れた一人の少女。
13歳のアナ・フィッツジェラルドは、
「自分の体に対する権利を守るために」両親を訴えたいと彼に弁護を依頼する。


白血病を宣告された夫妻の長女ケイトのドナーとなるため、遺伝子操作によって誕生したアナ。
生まれてから13歳になるまで、アナは、臍帯血、リンパ球の提供、骨髄移植・・ケイトのためにさまざまな医療行為を余儀なくされてきたのだが、
ついに最後となるかもしれない・・腎臓の提供を彼女は拒んだのだった。


突然の娘の行動に驚く夫妻。しかし、アナの決意は固く、両親とアナは法廷で争うことになる。

だが、アナの弁護を引き受けたキャンベルは、どこか彼女の態度に腑に落ちない部分を感じるのだった・・。



この秋、劇場で観たいと思う映画のひとつ「私の中のあなた」。
今回は、映画より一足先に原作を手に取りました。


13歳の少女が、弁護士をやとって両親を訴える。
その少女は、姉のためにドナーとして生まれてきたデザイナーズベイビー・・、
そう聞いただけでもなにやら、ショッキングな内容を想像してしまう本書でしたが、
ページをめくりながら意外に感じたのは、予想していたような家族のあいだの争いのシーンや、互いに主張を通しあおうとする裁判のシーンはむしろ少なくて。

そう、逆に家族のあいだといえば、誰も互いを憎く思っているわけもない、むしろ互いに求めあい、支え合っていこうとしているがゆえの哀しさやもどかしさを感じたし。

裁判のシーンでも、とても正直に、率直に自分たちのこころの内側を語る姿が印象的だったのです。


「どこに答えを探せばいいのか、わからないんだ。
なにが正しいのかも、なにが公平なのかも分かっている。
でも、どっちもここで訊かれていることの答えにはならない。
・・・・・・・・・(中略)

13年・・、13年経って、まだ答えが見つからないんだ・・・」

父親ブライアンのこの言葉や


「自分が正しいことをしているんだろうかと思わない日は一日だってない。
我が子のことをほんとうに、自分がそう思っているように、わかっているんだろうかといつも不安でしかたないの。」

母サラのこの言葉も・・・。


これが正しいのか、不安になりながらも、迷いながらも、でもその時々に決断を下さなくては進めなかった・・。
この家族が歩んできたのがまさにそういう日々だったということをこの両親の言葉から改めて感じました。


そんな日々に・・アナが投じた石が広げていった波紋・・・。

サラ・ブライアン・アナ、ジェシー、そして弁護士キャンベルやジュリア(彼らもまた悩み・・引きずっていることはありましたね)
登場人物たち、それぞれの視点から展開してゆくストーリーに
もし、自分がサラだったら、アナだったらと。


簡単にはこうだと決められない問題の数々・・命やからだに関することって本当に難しい。
デザイナーズベイビーのことも私だったら作らないだろうなあ・・という、そういう感覚的なものはありますが、だからといってそれを行った夫妻の是非を問うことは出来ないような気がして。

読みながら、私たちも一緒に悩んでしまう。
共感したり、驚いたり・・、いろいろな想いが湧き上がりながら、この家族の行く末を見守らずにはいられなくなってしまうのでした。



でも、裁判が終わってほっとしたその後に、襲ってきた驚きの出来ごと。
これには、思わず、それはないよぉ~~~と心の中で叫んでしまいました(涙)


初めてケイトの視点で語られる・・最後の章の・・文章に泣かされて(涙)
そうして、はっと気づいて冒頭のエピソードを読み返すと、そこには全く違う意味がちゃんとこめられていたんですね(まったく気づいていませんでしたが)


確かに、これではとうてい忘れることができない・・、う~ん、やられたと思い、著者の方の上手さに唸ってしまうのですけど。

でも、こういうことにならないで欲しかった・・と思うのが正直な気持ちです。





映画のラストは・・原作とは違っているとか。
ちょっとほっとしてしまう私(苦笑)、さて、久々に映画館に出かけたいものです。







私の中のあなた 下 (ハヤカワ文庫NV)私の中のあなた 下 (ハヤカワ文庫NV)
(2009/09/05)
ジョディ・ピコー

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コメント
こんばんは~~
わ~~原作読まれたのね。
今すごっく、気になっているの。
映画は先にみたんだけど、ラストは
辛くてもどんより感はなかったよ。
色々と考えさせられる映画だったわ。
やっぱり原作とあわせた方がより感動も深まるのかなと思っちゃった・・・。
そうそう、原作にはケイトの恋人の話もありました?映画ではイケメンなので是非・・。
ただ、こういう手段で子どもをつくるのはどうもね・・・モヤモヤ感あるかな。
発想として思いつかなかったし・・・。
私も本、探してみるね~~~
あ・・ダイアナも是非読んで~(つるばらさんのところのカキコみたから~~♪)
またね・・。
みみこdot 2009.10.15 00:40 | 編集
>みみこさん
こんばんは~♪
みみこさんはもう、映画に行かれたんですね!!
感想が気になるぅ(笑)
私も劇場行ったら、即効お話に伺いますね。
映画のラストは・・どんよりはしなかったんですね~。
原作は・・邦題の「私の中のあなた」・・このフレーズがね・・なるほど~って思っちゃうラストなんですよぉ。
上手いなあとは思ったんだけど、でも辛かったわ~。
遺伝子操作で子どもを作るっていうのは、私もやっぱり抵抗があるかなぁ。でももし自分がその立場だったら・・変わってくるかもしれないとは思うんだけど。
設定は違うけど「ガタカ」を思い出したりして。

ケイトの恋人のエピソード!うんうん、ありましたよ~。
海外ドラマの「ターミネーター」のジョン・コナー役の彼って聞いたのですよぉ。
確かにイケメン君ですね(笑)

みみこさんと原作のお話が出来るの、楽しみにしていますね。
「ダイアナ~」の原作本、みみこさんが書いてた記事が気になってたんですよ~。(以前にブログで読んだの)。
あとで遊びに伺います~♪
dot 2009.10.15 21:31 | 編集
>みみこさん
そうそう、これをお伝えしておかなくっちゃ♪
配給会社が倒産しちゃって・・日本公開が危ぶまれていた「ニューヨーク アイラブユー」
2月公開ですって♪

やったーーー(笑)
dot 2009.10.15 22:01 | 編集
「この映画だけは映画を見る前に原作を読まない方がいい。終わり方がまったく違っているからだ」
こんな書き出しの映画評(朝日新聞”銀の街から”=沢木耕太郎)を読んでましたが・・・
さらにこんなふうに書かれてました。
「原作を読んだ人が映画を見たら、その違いが気になって映画の余韻にひたり切ることがことができないかもしれない」と。
そして、「珍しいことに、原作のアクロバティックな終わり方を、むしろ映画の方が静謐で落ち着いたものに変えていたのだ」と。

それにしても原作は日本語のタイトルの<私>も<あなた>もはっきりわかって頷きます。「My Sister's Keeper」ではどうなのでしょう?
映画もやっぱり気になります。見てみたいです。
やまさんdot 2009.10.19 21:53 | 編集
>やまさん
映画の前に原作、やまさんも私も読んじゃいましたね~(笑)

>原作を読んだ人が映画を見たら、その違いが気になって映画の余韻にひたり切ることがことができないかもしれない
おお・・・、明日観てくるつもりなのですよ~、余韻に浸れるかしら。
原作の終わりは、まさにアクロバティックでしたよね!!
ああっ・・そうなって欲しくなかったのに~って思いました。

「私の中のあなた」
この邦題は、原作の終わりだと納得!!のタイトルですよね。
私あの冒頭のエピソード、あれもラストを読んでやっと意味がちゃんと分かりました。

映画を観てきたら、またそちらにお話に伺いますね♪
dot 2009.10.20 19:58 | 編集
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