2009
10.08

「密告」

密告 [DVD]密告 [DVD]
(2008/08/25)
ピエール・フレネイジネット・ルクール

商品詳細を見る


フランスの田舎町サン・ロバン。
病院の医師ジェルマンは、精神科医ヴォルゼの妻ローラとの不倫を中傷する匿名の手紙を受け取る。
「カラス」という署名入りの匿名の手紙は、やがてジェルマンだけでなく、ローラ、ヴォルゼを初め、町じゅうの人々のもとにも届き始める。

誰がいったいカラスなのか・・、疑心暗鬼になる町民たち。
そんな中、自身の重い病気をカラスによって知らされた入院患者が自殺をするという悲劇まで起こり・・人々のパニックと怒りはいっそう高まるのだった。


先日鑑賞した「レセ・パセ」。
ナチスドイツ統治下のフランス映画界を描いたこの作品を見た時に、ぜひこの時代の、コンティネンタル社でつくられた映画を見てみたい!!と思っていたのですが、本作「密告」がそのひとつ。



「恐怖の報酬」(クラッシックサスペンスの名作中の名作ですね!)や「悪魔のような女」で有名なアンリ・G・クルーゾー監督の作品なのですが、
初期のこの作品も、人々の中に生まれる「疑心」がやがてどんどん広がって町を飲みこんでゆく・・
その怖さ、展開や見せ方も・・引きこまれずにはいられない作品でした。


町じゅうの人々を巻き込んだカラスからの手紙。
どんどんと疑心暗鬼に囚われていく人々の姿・・と、やがて犯人と噂される人物に対してリンチめいた行為にまで発展してしまう集団心理の怖さ。

匿名の手紙により自殺してしまった青年の葬儀のシーンで、とても印象的なシーンがありました。

参列し棺について歩く町の人々の頭上に落ちてきた、一通の手紙。
道に落ちたあきらかにカラスの手紙・・と思われるその手紙を目にしつつも、決して自らは拾おうとはしない大人たち・・。
自分は関係ない、まるでけがらわしいものを避けるかのように・・人々の波が手紙をよけていきます。

けれども、手紙を見つけた子どもがそれを拾ってしまうと、とたんに・・次から次へと大人たちの間を手紙が回される・・。
自分の手を汚したくはないけれど、実は気になって仕方がなかったという、そういう隠された人間心理のようなものが鮮やかに描かれたシーンでした。


犯人と噂される看護婦が直面する恐怖のシーンも・・怖かったですねぇ。
病院から家に帰ろうとする彼女が、まわりを伺い・・だんだんと小走りになり、何かに追われるかのように振り返り・・ころげるようにして家に帰り着くシーン。

石壁に囲まれたまわりの家々に人の姿は全く見えないのに・・その静けさがよけいに怖い。
どんどん高まってくる緊迫したムードに思わず手に汗握りそうになりました。



そして、いったい誰がカラスなのか・・。
怪しく思われる人物がいすぎて。
主人公のジェルマン医師ですら、なんだか信用ならないような気がして。ハンサムなんですけど、あまりにあまりに愛想がないのですもん(苦笑)


女性ふたりに対しても・・どう思っているのかつかみきれない部分がありました。

つかみきれない・・と言えば、犯人の気持ちも今ひとつ・・。
最後の最後までまだ何かあるのでは?・と思わせる展開とどんでん返しで目が離せなかったのですが、動機の部分についてはよく理解出来ないまま・・でした。

光と闇、そうとはっきりと分けられない部分が、人間にはあるっていうことなのでしょうか~。





また、ドイツ支配下で作られた作品と思うと、疑心暗鬼になる人々に当時のフランスの人々の姿を描いているのかなあ・・と思ったり、でも逆に、監督はこの「カラス」にナチスドイツに対する皮肉を込めているのかしらと想像したり。

事実、ドイツによって上映禁止にされたり、戦後は逆にドイツ協力者としてして監督が糾弾されたり・・、いろいろな目にあった作品みたいなのですが、
(もちろん当時の時代に照らし合わせて想像するのもいいのですが)、たとえばもし、現代でもこういうことは起きうるかしらと想像したら。

手紙は無いにしろ、ネットやメールでの中傷や集団いじめ・・、う~ん、あるある、今でも・・と怖さが蘇ってくるのでした。

トラックバックURL
http://teapleasebook.blog26.fc2.com/tb.php/207-e749967c
トラックバック
コメント
瞳さん、こんばんは~。
「カンゾー先生」の感想もチラっとだけ拝見しましたが、何故カンゾー先生なのか・・、初めて知りました!
私も、瞳さんと同じように想像していたんですよ~。
ガンちゃんはオランダ兵の役なんですね??
でも出番は少ないみたいですね~、焦らず、11月に入ってから観ようかな(笑)
観たら、またお邪魔しますね(^^ゞ

ところで、「密告」の詳細な感想をありがとうございました。
自分の感想は簡単なものだったので、瞳さんの感想で、改めていろいろなシーンが蘇ってきて、やっぱり怖い映画だったなぁ・・と思い出しました。
そして、ナチスによる抑圧の時代に作られた映画ということで、フランス側のスタッフの様々な思いを感じ取れる作品でもありましたね。
親ナチ派の人々と反ナチ派の人々の反目が描かれた作品は今でこそ、自由に描けるけれど、この時代には演出やセリフの中に、暗示やサインとしてメッセージを込めるしかなかったのでしょうね。
それにしても、群集心理の怖さが見事でしたね。
ついでに、主役の男性、本当に愛想の無い人でしたよね、つっけんど!?(笑)
この作品は別ですが、この時代を描いたレジスタンスものって、本当に面白いですね。
まだまだ掘り起こせば、いっぱい出てきそう♪
カポdot 2009.10.14 01:04 | 編集
>カポさん
おおーーー、お忙しい時なのに、覗いてくださったんですね!!嬉しいな~v-238
肩凝ってませんか~、ちょっと一休みしていってくださいね(笑)

「カンゾー先生」まさか肝臓のカンゾーなんて思いませんよねぇ(笑)
ガンちゃん、オランダ人役です。(なぜ、オランダ人?)
そして、ちょっと辛いシーンも多いので(涙)覚悟も必要かもしれないですぅ。
でも着物姿と笑顔は、やっぱり素敵でしたよ♪

「密告」の感想、読んでくださってありがとうございます。
>フランス側のスタッフの様々な思いを感じ取れる作品でもありましたね。
うんうん、そうですよねぇ。
そういうのもいろいろ想像しながら見ちゃいました。

群集心理って、怖いですよね!!
ひしひし感じちゃった。ああいう一見のどかな小さな街でも(小さいからなお・・かしら)魔女狩り?みたいなことになっちゃったりして(汗)

あ、カポさんも思いました?愛想なかったですよねぇ(苦笑)
二人の女性に対する気持ちも・・どうなの?って思っちゃったりしましたよ。


この時代のレジスタンスもの・・カポさん、何か堀起こしたら、教えてくださいませ~。
私、ダニエル・クレイグの「ディファイナンス」、これ今度観てみようかなって思っています。
抵抗した3兄弟、まだまだ知らない史実があるんだなあって思いました。









dot 2009.10.15 21:20 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top