2009
10.05

「カンゾー先生」

カンゾー先生 [DVD]カンゾー先生 [DVD]
(2004/05/21)
柄本明麻生久美子

商品詳細を見る


昭和20年、戦時下の岡山県日比。
開業医赤城風雨は、今日も往診かばんを手に漁師町を走っていた。
彼の診断によると患者はみんな、肝臓炎を併発している・・そんな見立てから人々は赤城を「カンゾー先生」と呼ぶ。

そんな先生のもとで看護婦として働くことになったのが、漁師の娘ソノ子。
弟妹を養うため、売春まがいの行為をしていたソノ子を諭すカンゾー先生だが、
患者のため、肝臓炎研究のため、日夜駆け回る先生の姿に本物の男を感じたソノ子からストレートに想いを告げられてしまう。

そんな時、収容所から逃げ出したオランダ兵捕虜が怪我を負って倒れているのを発見したソノ子は、先生のもとへと連れ帰るのだが・・・。



走る・・走る・・、また走る・・。
まるで・・そう往年の「太陽にほえろ」の刑事たちみたい(笑)
軽やかな音楽とともに漁師町を駆け抜ける「カンゾー先生」。


カンゾーって、てっきり勘蔵とか・・そういう名前から来てるのかと思ったら、肝臓炎のカンゾーだったんですねぇ。
そして、なんでもかんでも肝臓炎にしちゃってる・・ヤブ医者?っていうことかと思ったら、そうではなくて。でも、この時代に、こんなに肝臓炎が蔓延していたとは知りませんでした。


ちょっぴり可笑しくて、でも実直で一生懸命。
不思議な安心感と包容力・・でもどこかとぼけたムードが独特な存在感。
柄本明のカンゾー先生、イイですね。

そして、そんな先生に想いをまっすぐにぶつけてくるソノ子を演じる麻生久美子、彼女がとても魅力的です。
戦争と貧しさに傷つきながらも・・・実に堂々としたその存在感。
出征していく息子を男にしてやって欲しいと懇願する母親の願いを聞いた彼女が、「お金はいらんから・・」と海に飛び込んでゆうるりと泳ぐ姿には、どこか清々しささえ感じてしまいます。

男たちに翻弄されてるようで、その実何物も彼女の「芯」までは傷つけることは出来ない・・そんな気がしました。


「うち先生が好きや!!」
まっすぐにぶつかってくる彼女を「激しいおなごやなぁ・・」とため息を持って見つめる先生の、なんともいえない表情。
決して憎からず思っているけれども、だからといって彼女とどうこうなろうというのではない。
目の前に投げ出されたソノ子の輝くようなお尻(クジラを取りに海へと潜り・・モンペが脱げてしまうシーンのなんとも幻想的な美しさ!)に背広をかけてやりながら、そっとつくため息が・・なんともいえません。



唐十郎や世良正則、松坂慶子、先生のまわりの人物もそれぞれとっても個性的。

そう!!まわり・・と言えば、私この作品はジャック・ガンブランが出ている!!という理由で借りたのですよねぇ(苦笑)
脱走した捕虜(オランダ兵)役ということで、見ていられない・・辛いシーンが多かったのですが(登場したシーンも傷だらけでビックリ、ショック!)、かくまって傷を手当してくれた先生たちと友情をはぐぐみ、先生の肝臓炎研究のために一役買う・・、
着物姿と「アリガトウ」が見れたのは嬉しい。
全然違和感なく、さらりと着こなしたキモノ、似合います!渋い!素敵~(笑)





「開業医は足だ
 片足折れなば片足にて走らん 両足折れなば手にて走らん 
     疲れても走れ寝ても走れ走りに走りて生涯を終らん」
赤城家の家訓であるこの言葉。

肝臓炎研究に没頭しすぎてしまい、町医者としての使命を忘れかけてしまった先生。
往診を延ばしてしまったために失われた命にショックを受け、せめて戦地に向かうことで償おうとしますが・・年老いた身ではそれもかないません。

そんな先生の目を覚ませてくれたのも・・また肝臓炎の患者でした。
自分を頼って(往診を頼むために)海を渡ってきた少女の姿に、また家訓であるこの言葉を思い出し、一生開業医として走り続ける決意を新たにしたのでした。



「バクテリアのほうがええなぁ」
顕微鏡をのぞきこんだソノ子が、こんな風に言ってましたね。
たくましきバクテリア・・。

でも人間も負けずにたくましいヨ、ええ、そう思います。

トラックバックURL
http://teapleasebook.blog26.fc2.com/tb.php/206-e58fd6fe
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top