2009
09.26

「グラン・トリノ」

グラン・トリノ [Blu-ray]グラン・トリノ [Blu-ray]
(2009/09/16)
クリント・イーストウッドビー・バン

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最愛の妻を亡くし、孤独な日々を送るウォルト・コワルスキー。
息子たちとは上手くいかず、(祖母の葬式に)ヘソ出しファッションでやってくる孫は気に入らないし、隣にはアジア系家族が引っ越してくる・・。
何もかも苦々しく思えて悪態をつく毎日の彼だが、心の癒しは、かってフォード社で働いていた彼が今も「ほれぼれする!」と大切にしているグラン・トリノと、愛犬デイジー。

その大切なグラン・トリノをなんと!盗もうと忍びこんできた少年を捕まえてみると・・・ウォルトの嫌う隣家の少年タオであった・・・・。

頑固で融通のきかない老人ウォルト。
苦虫を噛み潰し、悪態をつき、時には唸り、差別用語もそのまま口に出してしまう。
でもどうしてだろう。その怒りっぷり、それほど嫌みに感じられないのは。やっぱりクリント・イーストウッドだから?(笑)

だって、冒頭のウォルトの妻の葬儀のシーン。あの孫の恰好や態度は私だって「喝!!」を入れたい。
それにイエローだの、米食い・・だとの言いながら、でもタオ少年やタオの姉スーのことを助けずにはいられない・・。見て見ぬふりができない。
そういうウォルトだから、お隣さんとの不思議な交流が可笑しくて嬉しくて。あのお料理はよっぽど美味しかったみたい(笑)


庭の芝の手入れは欠かさず、家は(自分の手で)修理し、アメリカ国旗を挙げ、デッキでビールを飲むのが楽しみ♪
そんな古き良き時代のアメリカ・・の暮らしをいまだ続けているウォルトだけれど、でも周りではどんどんそんな時代は失われて行っているということ。


これまでもずっとアメリカという国を描き続けてきたクリント・イーストウッドが、この作品で描くのは、どんどんと変わりつつ・・ある国の姿でしょうか。

そんな中で、変わろうとしなかった老人が、知らずにいたことを知り(モン族のことや)他人と触れ合いながら感じ取るのは、変わっていくものの中にも「いいと思えるもの」や「大切にしたい人」がいるということ。
タオ少年に仕事を世話し、工具を貸し、世話をやく姿に、息子には出来なかった・・という思いや、(戦争中)遠くの地で命を奪ってしまった少年への苦く苦しい思いもあったのだろうか。
不器用でシャイなタオ少年に自分に似たものを感じたのかも。


ウォルトが最初は毛嫌いしていた若い牧師としだいに心を通わせていく様子や、いつも散髪に行くイタリア人床屋との、ぽんぽん飛び交う(暖かい)嫌みの応酬もいいですよね。
いやぁ、牧師さん、若いのにあの粘り!!頑張りました!


少年やスーのために彼が冷静に考えついた「ある決意」、それに向かう前に立ち寄った床屋でのシーンに胸が熱くなりました。

大切なひとたちのために彼が投げ出したもの。
最後のあのシーンには、なんだか往年の彼のウエスタン映画を思い出したりしたのでした。


クリント・イーストウッド。
スクリーンの上での姿はもう見れないのでしょうか。
でも、きっとこれからも監督として素晴らしい作品を作り出してくれることだと思います。

この(最後の出演)作品も、過剰な飾りも演出もない、シンプルで、でもとても暖かい、胸を打つ作品でした。

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