2008
01.29

「青ひげ」

青ひげ (ハヤカワ文庫SF)青ひげ (ハヤカワ文庫SF)
(1997/09)
カート ヴォネガット

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長く店頭から消えていた作品を「もう一度読み返したい!」
紀伊国屋書店 文庫復刊フェアの1冊。

著者については何にも知らないし、他の作品も読んだこともないけれど。
とにかく私は復刊・・という言葉に弱いから(笑)
そしてタイトルが「青ひげ」となると・・ますます気になりますもん。

ラボー・カラベキアン。
アルメニアからの移民2世。
かっては抽象画家として少しは名を知られていたこともあったけれど、現在は亡き妻の大邸宅に孤独に暮らす片目の老人。

物語は、彼が自ら書き上げる自叙伝の形をとりながら進んでゆく・・。
過去へ、そして現在へ。
語り言葉のテンポの良さと強烈なキャラクターたち。
あっという間に引き込まれてゆく。

虐殺を逃れアメリカに渡った両親のこと、靴屋の息子であったラボーが絵筆を握ったその経緯、著名な画家ダン・グレゴリーとの出会い。
この過去の物語だけでも充分に面白く魅力的なのに。

老ラボーの現在も負けてはいないくらい刺激的なのだ。
彼に自叙伝を書くことを勧めた、若く、エネルギッシュな女性サーシ・バーマンの存在!!

驚くのは、たくさんの印象的なエピソードが、過去と現在を行きつ戻りつ・・描かれていても。
それが決して溢れすぎもせず、色あせもしないで。
しっかりとそのキャラクターを一緒に生きている!こと。

その見事さ。
構成力の素晴らしさとぐいぐい引き込まれる魅力的な語りのせいだろうか。


さて、この物語の青ひげ公の開かずの間は、ジャガイモ小屋。
決して誰も通さない・・その小屋にどんな秘密が隠されているのか・・。
ショッキングな内容をちょっと期待しちゃってた私には、これは意外な遭遇でした。

でもこんな遭遇なら嬉しい、こんな「青ひげ」の秘密なら開けてみたい。
素晴らしい奇跡は、もしかしたら明日あなたにも起こるかもしれない。

絶望と孤独を知っている人々に、希望と奇跡を信じさせる・・。意外に(といったら失礼かな)優しいラストが嬉しい。
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