2009
07.06

「その土曜日、7時58分」

その土曜日、7時58分 コレクターズ・エディション [DVD]その土曜日、7時58分 コレクターズ・エディション [DVD]
(2009/07/03)
フィリップ・シーモア・ホフマンイーサン・ホーク

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それは、小さな強盗事件で終わる・・はずだった・・。
夫婦で営む小さな宝石店に強盗が押し入ったのは、土曜日、早朝7時58分。

だが、強盗事件は思ってもみなかった悲劇的な事件へと変わってしまう・・。
驚き、慌てふためくのは、宝石店の主人の息子たち。
麻薬に手を出し、会社の金を横領していた兄アンディは、離婚した妻への養育費が払えずにこちらも首が回らない弟ハンクを巻き込んで、両親が経営する宝石店を襲う計画を立てたのだった。


映画を見ていて時々感じるのは「いったい・・どうして。なぜ、こんなことになってしまったんだろう」っていう気持ち。

でも、この映画ほど、そのセリフを心の中で何度も何度も繰り返した映画はないと思う。

なぜ、アンディはこんな計画を立てたのか。
ハンクは、なぜボビーに強盗を任せてしまったのか・・。
どうして、その日に限って店番は二人の母親だったのか・・。
なぜ・・なぜ・・。

きっとアンディも、ハンクも・・そうして二人の父親も。
何度も何度も・・この言葉を繰り返したに違いない。


そして、「こんなはずじゃ・・なかった・・」とも。

映画は事件が起こった7時58分までの時間を、何度も、何度も巻き戻して描いて見せる。
弟ハンクの視点から・・そして、兄アンディの視点、二人の父親チャールズの視点から・・と。
それぞれの視点から描かれた場面の中で、やがて浮かび上がってくるのは事件のことだけではない、家族の中におけるそれぞれの立場、思い。
父親と長男アンディの確執や、兄と弟、アンディの妻とハンク・・。


こんなはずじゃなかった・・と思うのは、事件のことだけではないんですね。
兄弟の、父親の、これまでの人生の中の、さまざまな「こんなはずじゃなかった」・・がこだましてくるかのようです。


演じる俳優たちの演技もすごい。
兄を演じるフィリップ・シーモア・ホフマンはやっぱり上手い。
冷静だったはずの・・彼が、追い詰められて切れてしまった、そのあとのすさまじい凶暴さにも圧倒されたのだけれど、私が一番印象的だったのは、父親からこれまでの態度について謝られた彼の、あの涙。どうして今更・・という気持ちが痛いほど伝わってきた。


弱虫で、子どもで・・どうしようもない・・弟ハンク(でも実際には何も手を下せてない)を演じたイーサン・ホークのその情けなさっぷりも見事でしたね~。

そして父親役は、アルバート・フィニー。
もしかしたら、こんなはずじゃなかった・・と一番感じたのは彼なのかもしれない。
これまでの自分の子どもに対する態度や生き方も・・。そんな取り返しのつかないものに対する彼の苦々しい思いがなんとも言えない・・。



84歳になるという!シドニー・ルメット監督の映画に対する執念のようなものが感じられる作品でしたよ~!!


「天国に連れて行って。死んだことを悪魔に知られる前に・・・」
この原題もとても印象的。
でも、「その土曜日 7時58分」この邦題も上手いんじゃないかしら。

もし、戻るのなら・・7時57分に戻ってやり直したい・・、見ている私にまで心底、そう感じさせてしまう映画でした。


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