海辺の近くにある孤児院で育ったラウラ(ベレン・ルエダ)。
やがて引き取られ、孤児院を出た彼女だが、30年後長らく閉鎖されていたその孤児院を買い取り、障害を持つ子どもたちのホームとして再建しようと夫のカルロス(フェルナンド・カヨ)、息子のシモン(ロジェール・プリンセプ)とともに移り住んできた。
だが、しだいに不思議な出来事がラウラたちのまわりに起こり始める・・。
これまでも空想上の友だちを作って遊んでいたシモンだが、海辺の洞窟で出会ったという友人の話はしだいにエスカレートし、知りえないはずの自分の生まれや、病気についてラウラを問い詰めるようになる。
その姿に漠然と不安を覚えるラウラ・・。
やがて、入園希望者を集めたパーティーの日、シモンはこつ然と姿を消してしまうのだった・・・。
「パンズ・ラビリンス」のデル・トロ監督制作作品と聞いて、興味津々・・。
あぁ・・やっぱり怖いの?一人で見れるかしら・・と不安を覚えながらの鑑賞でしたが、さすが、デル・トロ監督プロデュース。
このなんともいえない雰囲気・・、もちろんゾクゾクっ・・っていうシーンもあるのですが、それ以上に美しくて切なくて。
盛り込まれた伏線や小さなシーンの数々も心憎い、印象的なものばかり。
冒頭の幼いラウラと友達の「1、2、3!壁をたたけ!」の遊び(だるまさんがころんだ!ですね)
屋敷に引っ越してきた日に、今はもう、使われていない灯台に(ラウラが時計を裏返して)光を当てて見せるシーンや、
シモンに語るピーターパンとウエンディのお話、
海辺の洞窟から屋敷まで目印に置かれた貝殻の道・・。
ラウラとシモンが二人で屋敷中をめぐって宝探しをするシーンも。
孤児院が舞台ということで「デビルス・バックボーン」を思い出しましたが、とにかく、この映画、舞台も素晴らしいですね、とても雰囲気がありました。
屋敷の入り口に(ともだちの)道しるべのために置いてきた貝殻が盛られてあったり、
謎の老女がとっても不気味だったり(夜の小屋の中は・・怖すぎる・・汗)
シモンの書いたともだちの絵にゾクッとなったり。
こういう小さな怖さの連鎖が積み重なっていくんですよねぇ・・。
海と子どもの失踪、必死で探す母親・・といえば以前見た「ザ・ダーク」も思い出してしまいました。
ラウラもあの母親と同様、ものすごい形相、必死でシモンを探す様子には、心が痛くなってきます(涙)
そんな中、隠されてきた孤児院の秘密もしだいに明らかになってきます。
霊媒師として登場するのは、ジェラルディン・チャップリン。
あの表情、存在感。静かなオーラですね。
どんどんと追い詰められてゆくラウラですが、実は今回いろいろな伏線が張り巡らされていたこの作品で、私珍しくぴん!ときたことがあったのです。
あそこじゃないかしら?ほら・・あそこ~~~!!
あのパーティーの日に起こった出来事で、え?って思ったところがあったので気になって。
あぁ、、私がそこにいて、ラウラに教えてあげたかった(怖がりだから無理か・・涙)
最後にラウラがした選択・・胸が痛くなりますが、ほかの道を選ぶことなど彼女は考えてなかったのでしょう。
切ないけれど、もしかしたら、この屋敷に戻ってきたときから、ラウラの心の中には過去が少しづつ・・忍び寄っていたのかもしれません。
永遠のこどもたち・・・なんとも神秘的でふさわしいタイトルだと思います。
最後の最後に・・夫カルロスは、屋敷で見つけたあるものを見て・・ふっと笑顔を浮かべます。
こういう作品では・・どうしたって父親はこういう役回りになってしまうんですよねぇ・・彼にもあと少し頑張って欲しかった気がするのですが(ラウラを一人屋敷に残すなんて~~!!)
でも、この笑顔には救われた思いがして。
怖がりの私には・ゾクゾクっ・・のシーンもいろいろあったけど、ほろりと優しい気持ちのほうが残った作品なのでした。
- 映画タイトル(あ行)
-
| trackback:0
-
| comment:0