2009
05.30

「バベットの晩餐会」

バベット

バベットの晩餐会 [DVD]バベットの晩餐会 [DVD]
(2000/04/19)
ステファーヌ・オードラン

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美味しいお料理が登場する映画っていいですよね。
そういう映画って、心にも満足感を与えてくれる作品が多いのも嬉しい。

この映画も、静かで地味な冒頭からは想像できないくらい、びっくりするほど美味しいお料理が登場する作品でした!
そして、心に広がる・・・満足感、幸せな気持ち。

出会えてよかったーーー!!としみじみと幸せを噛み締めたのでした。お薦めしたい!ぜひ~!!

1987年のデンマークの映画です。
その年のアカデミー賞最優秀外国映画賞を受賞しました。




19世紀後半、ユトランド半島にある寒村に二人の老姉妹が住んでいました。
ルター派の敬虔なキリスト教徒であるマーチーネ(ビルギッテ・フェダースピール)とフィリパ(ボディル・キュア)は、牧師であり宗派の創始者であった亡き父親の教えを今も守り、時間と収入の許す限り、毎日老人たちに食事を運んだり・・と、善行を行っているのでした。

二人にはバベット(ステファーヌ・オードラン)というフランス人の召使がいました。14年前、パリでの革命から逃れてきたバベットは、今では村の生活に馴染み、母国とのつながりは友人から送られてくる宝くじだけ・・。
そんなある日、なんとバベットの元に宝くじで1万フランが当たったという知らせが届きます。
バベットの帰国を予想する姉妹に、バベットが提案したのは姉妹の父の生誕100年を記念する晩餐会にフランス料理のディナーを用意させて欲しいということでした・・・。




映画の前半には、美味なるお料理などひとつも登場しない、まさに「かゆに塩を振ることもしない」(映画の中の登場人物が寒村の人々を称していった言葉)人々の物語です。

花咲く果樹と言われた若き日の姉妹と、二人を慕った男性の淡い恋・・。
父親の教えに忠実で、あまりに清い彼女たちの可憐さに驚いてしまうのですが、汚れなき花のような姉妹の姿に納得してしまうこのエピソード、これが後半の展開に見事な伏線となっていたのでした。


さて、これまで毎日姉妹のために倹約し、二人を支えてきたバベットの作る晩餐会のお料理。
いったいどんな晩餐会が?って思うでしょう~?

これが・・!!すごいんです!!
はるばるフランスから運ばれてきた、その食材には、姉妹でなくても私も一緒に目を丸くしました。
キッチンにで~んと置かれたウミガメ!!や、牛の頭、羽をむしられたツグミ(鳥が苦手な私には、このシーンは衝撃的ーー!)
毎日干した魚料理を食べてきた姉妹や村人たちにとって、それらは驚きを超えて恐れの気持ちを抱かせるほど。
美食を楽しむことは教えに反すること・・と信じる人々は、テーブルについても料理を話題にしないようにと約束するのですが・・。


海がめのスープにキャビアのドミトフ風。
フォアグラとトリュフのソースがかかったうずらのパイ!!
見事な料理の間には・・素晴らしいワインにシャンパン・・。


始めは恐る恐る料理を口にしていた村人たち・・でも、しだいに人々の顔には笑顔と、満足感が浮かんできます。時折言い争うことも合った村人たちの間に生まれてくる優しい空気~!
幸せそうな彼らの表情にこちらまで頬が緩んでしまう・・。
今では将軍となった、かってマーチーネに思いを寄せたレーヴェンイェルムが、ワインのグラスを掲げて彼女と微笑みあう様子には胸が熱くなってしまいます。

美味しいものは人を間違いなく幸福にする・・。
サラダにチーズ、
ラム酒が注がれたスポンジケーキ、そして食後のコーヒーとフルーツ・・。

晩餐会を終えて帰宅する人々が、互いに手を取り合って輪になり賛美歌を歌うシーンには、普段全く信仰にも教会にも神様にも縁遠い?私でも、じーーんとしてしまいました。


かってパリでも有名なカフェ・アングレの名料理長として名前を馳せたバベット。
パリの人々を幸せにしたように、村人たちを幸せにした彼女の渾身のお料理に感動した姉妹ですが、バベットがその晩餐会に1万フランをつぎ込んでしまったことを知り驚きます。
「それではあなたは、一生貧しいままになってしまう」と言うマ-チーネに
「貧しい芸術家はいません!」と胸を張った彼女の誇り高い言葉・・。




神や宗教や、教えの言葉が数々登場しますが、それらが決して押し付けがましいこともなく、人のために自分が出来ることをするということの素晴らしさや、人生の美しさを静かに感じさせてくれる作品です。

煩悩や物欲いっぱいの私には姉妹のような生き方はとうていできないし、現世はやはり楽しみたいもの!と思いますが、なんでしょう、そういう私を突き放してしまったりしない(と勝手に思ってしまいました)ユーモアや優しさも持ち合わせた作品なのでした。
見終わって、こんなにも心が暖かい。

あぁ・・・ハレルヤ。


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1987年 デンマーク 監督:ガブリエル・アクセル バベットの晩餐会ステファーヌ・オードラン アイザック・ディネーセン ボー・クリステンセン ポニーキャニオン 2000-04-19by G-Tools なんて素敵な映画。 舞台はデンマークの海辺近くの寒村。 そこで暮らす敬虔
バベットの晩餐会 dot 菫色映画dot 2010.09.24 22:23
実は、長年「奇人たちの晩餐会」と「バベットの晩餐会」を混同しており、今更ですが見ました。4つ★半
「バベットの晩餐会」感想 dot ポコアポコヤ 映画倉庫dot 2015.03.13 13:10
コメント
瞳さん、本当に素晴らしい映画を薦めて下さってありがとうございました。(感謝!)
一時はDVDの高値に驚き諦めようかと思いましたが ならばオークションで!と思い立ち、VHSを格安で手に入れ、早速鑑賞しましたよ~^^;
画像は、レンタル落なのでDVDのようにクリアでないのが残念なんですが それでも姉妹の清楚な美しさや バベットの手から魔法のように生み出される見事な料理は堪能出来ました、というか、私もあの晩餐会に参加させて欲しい~~~(^^ゞ

本当によく出来たお話ですよね、前半の二人に思いを寄せる男性が 後半で・・・。
こんな形の「愛」もあるのかなって、余りの清々しさに煩悩だらけの私は感動してしまいました。
慎ましいく生きて来た人々への神様からのご褒美?
そんな考え方でさえ 穿っているようで気が引けてしまいました。(笑)

それにしても こんなに素晴らしい傑作はたくさんの人に観てもらうためにも もっとDVDを量販してほしいです・・涙
もう一度 クリアな画面で観直してみたいわ~~
私も、なかなかお薦め出来る作品がなくて 申し訳ないです。
でも ポールの作品は情報をマメにチェックしているので また何かあったら お知らせに来ますね。むふ^m^
カポdot 2009.06.22 18:39 | 編集
おお~~!!嬉しい~♪
早速鑑賞してくださったんですね。

みなさまにお薦めに伺ったものの、レンタルも見当たらないお店が多いし、廃盤だし・・で残念だなあ・・って思っていたんですよ~。
カポさんは、オークションでVHSを!!なんて行動力でしょう!!すばらしいです i-175

あの姉妹の清楚な美しさには、心打たれるものがありましたよね。
そしてバベットのお料理、あのうずら・・の姿のまんまのパイは・私にはちょっとががーーんでしたが(笑)
でも村人たちの表情を見てると・・!!こちらも顔が緩んできますよね。ほんと!私もぜひ一緒に席につきたいです♪

そうなんですよね、前半のあの男性二人が・・・こんな風に後半のお話にかかわってくるなんて・・・・。
煩悩だらけの私には、とうていこんな生き方は出来ないけれど、なんだかとても素直に素晴らしいなって感動しましたよ~。

こういう作品こそ、ずーーとずーーっと残っていて欲しい作品ですよね!!
私も声を大にして、DVDの再販をお願いしたい!!
なんかね・・DVDがああいう高値で取引されること・・が、この映画の中身とあまりに正反対な姿のようで、悲しいですよね(涙)

>私も、なかなかお薦め出来る作品がなくて 申し訳ないです。
いえいえ、とんでもない!!
カポさんの見てる作品は、いつもとっても参考になってるんですよぉ。
ポールの作品、チェック~(笑)ふふっ、ありがたいです♪
「ワイルド・バレット」もカポさんちで見て気になったんですもん。いくつかポールの最近の作品、未見なのがあるので・・ポール祭りしようかしら・・なんて思ってますよ(笑)
dot 2009.06.23 22:34 | 編集
本当に素晴らしい映画でしたね……
静けさと美しさが融合した、その土地の空気が漂ってきそうな作風にハマりました。

それにしても、瞳さんの文章は、この前も言ったかもしれませんが、映画の情景をありありと思い浮かべることのできる美しさがあって素敵ですね。

>それらが決して押し付けがましいこともなく、人のために自分が出来ることをするということの素晴らしさや、人生の美しさを静かに感じさせてくれる作品です。

それからここも!
この映画の本質を言い表していると思います。

これを劇場でご覧になったなんて羨ましすぎます。
わたしなんてGyaoでパソコンのちっさな画面で見たので……
午後十時の映画祭、良い作品チョイスしますよね~。
リュカdot 2010.09.24 22:21 | 編集
> リュカさん
おお、コメントありがとうございます♪
リュカさんちでこの作品のレビュー見つけたとき、とっても嬉しかったです。
本当に素晴らしい作品ですよね。

> それにしても、瞳さんの文章は、この前も言ったかもしれませんが、映画の情景をありありと思い浮かべることのできる美しさがあって素敵ですね。
うわぁ・・・なんて嬉しい言葉でしょう(照れ)
私、いつも・・無駄につらつら、だらだら書いてしまって、簡潔にきっぱりと書ける方が羨ましいなあと思いながら書いているんです。
リュカさんのレビュー、いいな、素敵だなと思いながら読ませていただいているんですよ~~i-175

清廉潔白な姉妹の生き方、そしてバベットの心意気・・、でもお固い話ではないところがまたいいんですよね。
くすくす笑ったり、温かい気持ちになったり。

そうそう原作も読んでみたのですが、こちらはおとぎ話のような雰囲気をもった作品でした。

> これを劇場でご覧になったなんて羨ましすぎます。
そうなんです、まさか選ばれているとは思いませんでした、いい作品を選んでくれたなあって感謝です。
午前十時企画は、こちらと、あと大好きな「フォロー・ミー」「ある日どこかで」を見てきました。
dot 2010.09.25 21:09 | 編集
瞳さんのご紹介を読んで、絶対観たい!って思ってたんです。
こちらでは「午前十時の~」最終作品。その最終日に何とか間に合いました。
会場はほぼ満員!びっくりしましたよ。
皆さん、良い作品をご存知なんですね~。

感想は…待った甲斐がありました(笑)スクリーンで観れて幸せです。
信心深い村人の決して貧しくはないのだけれど、やっぱりすこーしずつ硬くなってしまった心を、バベットさんのお料理が見事に解きほぐしてくれました。彼女の少し硬い表情が真の芸術家たるものからであったことにも納得しました。
ウミガメやうずらのパイには場内に笑いも起き(映画館で観客が思わず一緒に笑うっていうのが好きです)、ユーモアもあり、観ていてじんわりじんわり幸せを感じました。
瞳さんのご紹介のおかげで本当に佳い作品に出会えました。有難うございます(ぺこり)

午前十時企画、今年もあって嬉しいですね。今回見逃した作品が又別の場所で上映されるのも有難いです。ハレルヤ~♪



そらいろdot 2011.01.24 17:55 | 編集
>そらいろさん
うわ~~!!「バベットの晩餐会」劇場へ行かれたんですね!!
私の紹介で見に行ってくださったなんて~i-189とっても嬉しいです。

最終日でしたか!ほぼ満員~!!すごーーいい。
第2回の「午前十時の映画祭」では、残念ながら版権の関係上上映がなくなってしまったんですよね。
なので、最後のチャンスでしたね!
良かった、良かった~♪

>ウミガメやうずらのパイには場内に笑いも起き
あぁ~~分かるぅ(笑)
うんうん、みんなで一緒に笑うっていいですよね。

そうなんです、この作品、清廉潔白な姉妹の生き方やバベットの誇り高さに心打たれるんですけど、それが決して押しつけがましいものではなくって、ユーモアもあって。
そういうところがいいですよね♪

そらいろさんとこの作品のお話ができて、本当に嬉しいです。
今年は「午前十時の映画祭」何を見に行こうかな~とただいま嬉しい悩み中です(笑)
「シザーハンズ」もスクリーンで観たいんですよね。

そらいろさんもまた素敵な作品に出会えますように。
ハレルヤ~♪
dot 2011.01.25 21:39 | 編集
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