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Slow Dream

縁あって・・・本や映画と巡りあう。




東山魁夷美術展&月イチ★クラシック「アキ・カウリスマキ作品」 :: 2023/09/24(Sun)

東山魁夷北欧の風景

香川県立東山魁夷せとうち美術館で開催中、
秋の特別展「魁夷が旅した北欧の風景と、暮らしのデザイン」を見てきました♪

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多忙な日々を過ごしていた魁夷は、心のゆとりを求め、自分を見つめなおすために1962年の春、北欧4か国を焼く3か月かけて巡ったそう。
その旅を題材にした魁夷の絵画や著作から、魁夷がどのように北欧の風景を見たのかが感じられるとともに、香川県立歴史民俗資料館が所蔵する北欧のデザイン関連資料(食器、お鍋、グラスなどの生活に密着した北欧デザインのもの)数々が展示されているのがとても興味深かった~♪
ダンスクのお鍋、フローラのグラス、全く持って色あせない今も活躍する北欧デザインの数々!!にテンション上がりました(*^-^*)
面白かったのは、カイ・フランク(フィンランドの代表的なモダンデザイナー)が来日した際、人々の暮らしに興味を持ち、特に気に入ったのがフジツボだらけのたこつぼだったとか~!!

展示は撮影禁止なので絵は載せられませんが、改めて魁夷のブルーの美しさ(北欧の風景が似合いすぎる~)に見惚れました。
こちらの美術館はとてもこじんまりとしていて決して展示数も多くはないのですが、その分、いつもゆっくりと落ち着いて見れる雰囲気が大好きです。

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今回も観覧後、美術館内のカフェでお茶をいただきました。北欧風に言うとFIKAですね~(*^-^*)


さて、美術展から帰ったあと、なにげなくプライムを開いたら、なんと!!アキ・カウリスマキ作品を発見
しかも!観たかった未見の『マッチ工場の少女』と『パラダイスの夕暮れ』
プライムでカウリスマキの初期の作品を観ることができるなんて、アリガトウ、ありがとう
北欧展から戻ってのカウリスマキ遭遇♪縁ってやっぱりあるね


というわけで、今月の月イチ★クラシックは、アキ・カウリスマキの2作品『マッチ工場の少女』と『パラダイスの夕暮れ』(どちらもプライム)

マッチ工場の少女

1990年フィンランド映画『マッチ工場の少女』
フィンランドの田舎町。マッチ工場で働き、僅かな給金で母と義父を養う少女イリス。ある日彼女は、ショーウインドウのドレスに見惚れ、もらったばかりの給料を使ってしまう。母と義父に殴られ、返品を命じられた彼女は我慢できず、家を飛び出してしまう。
酒場で出会った男性と一夜をともにするイリスだが、彼はイリスを一夜の遊びの相手としか考えていなかった・・・。

冒頭、マッチが出来上がっていく工場内のシーンに見惚れてしまいます。
この時29歳!全然少女に見えないカティ・オウティネン!カウリスマキのミューズ♪もう、とにかく不憫すぎる~~(>_<)
家でも家事も何もしない母親と義父にオイオイ~!!と言いたいんだけど、とにかくカウリスマキ作品なので台詞も説明も少なくて・・・彼らの関係もなんか不思議~なムードが漂うんですよね。
彼女の心の声を代弁するかのような(これもカウリスマキ作品らしい)劇中での歌の数々がまるで昭和歌謡のよう。たとえ「北の宿から」が流れても全然不思議じゃないから
誠意のかけらもない男や彼女をこき使う母、義父に対するイリヤの復讐これも恐いはずなのに、淡々と実行する彼女にな怖さよりも不思議さが勝って見入ってしまうのよ。
誰か彼女を本当に愛してくれる人と出会って欲しかった。
全編不憫すぎる展開なのに、暗澹たる気持ちにならないのは何故だろう。暗さや辛さを通り越してしみじみと深く、人生の悲哀を感じさせるカウリスマキマジックかしら?
そして、どんな時もどこかほんの少しの暖かさや強さを感じてしまうのが不思議です。


パラダイスの夕暮れ

こちら『パラダイスの夕暮れ』は、1986年フィンランド作品。
↑に続いてのカティ・オウティネンとカウリスマキ作品の常連、マッティ・ペロンパー共演。

ゴミ収集車の運転手ニカンデルは、スーパーのレジ係イロナに恋をするのだけれど、デートで大失敗。
ところが、仕事をクビになったイロナが彼のもとに転がり込んできて2人の関係はうまくいったかのように見えたのだけれど・・・・。

『マッチ工場の少女』と『真夜中の虹』(鑑賞済み)と本作、合わせてカウリスマキの「労働者3部作」と呼ばれているそう。
ニカンデルのごみ収集作業の様子もマッチ工場のシーンと同じく、とても丁寧に描かれているんですね~(フィンランドのごみ収集車はVolvoだった
会社を立ち上げ独立しようと誘ってきた同僚が急死してしまうニカンデル、突然リストラされるイロナ。
いろいろ上手くいかない二人だけれど、『マッチ工場の少女』のイリヤがひとり孤独だったのに対して、こちらには助けてくれる友達がいてホッとする。
“あるのは名前とゴミ車の制服だ。虫歯と病んだ肝臓、慢性胃炎。いちいち理屈をこねる贅沢なぞ俺には無い。”ニカンデルのこの台詞、マッティ・ペロンパーが言うとつくづく沁みる。
愛想なく、煙草ぷかぷかのカティ・オウティネンは、『マッチ工場の少女』よりも前の、本作がデビュー作!?
本作も台詞少な目(でもカウリスマキにしたら多い方かも)説明されない部分がいっぱいだけど、なにかもう、そういうところがクセになる。すでにもう、カウリスマキ沼にハマりつつある(笑)

上手くいきそうになかった二人だけれど、一緒に旅立つラストに希望が見えてホッとしました。
先のことはわからないし、たとえ毎日イモを食べることになろうとも!(^^)!
  1. 月イチ★クラシック
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お邪魔します。

芸術に超疎い私ですが、東山魁夷という名は知ってた。
1979年の年末にお正月映画として公開されたマラソン映画『マイ・ライフ』というのがありまして、主演はポール・ニューマンの奥様だったジョアン・ウッドワード。
なぜかその映画の大阪でのロードショーの時に、『東山魁夷の世界』とかいう短編映画と同時上映やったんですよね。
私はまだ何も知らない中学生やったんで、『マイ・ライフ』だけ観て逃げるように帰りましたが(汗)
  1. 2023/09/25(Mon) 09:24:03 |
  2. URL |
  3. ゾンビマン #-
  4. [ 編集 ]

瞳さん、こんにちは!
東山さんと北欧という組み合わせ、洒落ていて、そういう視点での企画、ナイスです!
いいなーー。確かに東山さんのあの深い静謐な風景、緑の森・木々と青い感じと北欧って通じるものがあるね。

で、カウリスマキ作品!
パラダイスの方は未見なんだけど、マッチ工場は見てます♪
だいぶ内容は忘れてしまったのだけれど、

>この時29歳!全然少女に見えないカティ・オウティネン!カウリスマキのミューズ

そうそう、これは憶えてる!!
私も再見したいなー。

PS数日前に「マーメイド・イン・パリ」に鍵コメント送っているの。もし気がついていなかったら・・・と思って。
マーメイド・イン・パリにもTB、3度トライしたんだけど、そちらは出来なかったみたい。
  1. 2023/09/25(Mon) 10:54:57 |
  2. URL |
  3. latifa #SFo5/nok
  4. [ 編集 ]

東山魁夷と北欧

瞳さん☆
魁夷と北欧って不思議な組み合わせに感じるけど、あのシンプルな絵は確かに北欧テイストよね。

カウリスマキ作品は実は見たことなくて…少女のやつは気になるわ…
  1. 2023/09/25(Mon) 16:53:24 |
  2. URL |
  3. ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2
  4. [ 編集 ]

>ゾンビマンさん

こんばんは。
マラソン映画『マイ・ライフ』と短編映画『東山魁夷の世界』が同時上映!!
当時の2本立てって不思議な組み合わせが多かったですよね。
私が一番強烈に覚えてるのは「メーンイベント」(バーバラ・ストライサントのラブコメ)と「マッドマックス」の2本立てです。まだ乙女だったのに(笑)「マッドマックス」の爆音にブルブル震えました・・・。

短編映画『東山魁夷の世界』、ググってみたんですがレビューとか無くって、なんだか気になってきましたよ(*^-^*)
  1. 2023/09/25(Mon) 20:06:42 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
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>latifaさん

こんばんは。

>確かに東山さんのあの深い静謐な風景、緑の森・木々と青い感じと北欧って通じるものがあるね。
そうなの~!!森や木々、グリーンやブルーの色合いがとっても神秘的で素敵なのよね♪
今回の美術展では北欧の当時の食器やお鍋、人々の暮らしの道具も展示されてて、しかもそういうデザインが今も使われてることに、改めて感動したわ。

「マッチ工場の少女」おぉーーー!!ご覧になってるのね!!嬉しい~~!!彼女の不憫さ、語り合いたいわ(>_<)TBもありがとう。

あぁ~~~!!鍵コメント、ごめんなさい~~、気づいてなかった~~(汗)管理者画面からコメントをチェックできてなかったです。
教えてくれてありがとう。
  1. 2023/09/25(Mon) 20:14:59 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

>ノルウェーまだ~むさん

こんばんは。

>魁夷と北欧って不思議な組み合わせに感じるけど、あのシンプルな絵は確かに北欧テイストよね。
森とか湖とかを描いた作品をこれまでよく見ていたんだけど、本展では訪れた街の店先とかを描いたのとかもあって、興味深かったです。

カウリスマキ作品、「過去のない男」を見てから一気にハマって初期の頃のからず~~っといろいろ見てたんだけど、レンタルとかでも観れなかったのが今プライムで出てて感激しましたよ。
台詞がほとんどなくて、とにかく独特のムードなんですけど、これがクセになるんですよ~!(^^)!
  1. 2023/09/25(Mon) 20:21:18 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
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瞳さん こんばんは。
香川は魅力的な美術館がたくさんありますね。
以前、香川にアート旅行に行った際に、香川県立東山魁夷せとうち美術館があることを知ったのですが、その時は行ななかったのですよね。モダンな建築もすてきですね。次回は是非訪れたいです。
東山魁夷も大好きな画家で、これまで何度か展覧会を見に行ってます。北欧シリーズも大好きです! キーンの凍るような空気までもが伝わってくるような気がしました。

北欧デザインの道具とコラボで展示するという企画もすてきです。
子どもの頃、なぜかダンスクのお鍋に憧れていて、結婚する時にいくつか買ったのですが、今はひとつだけ残して手放してしまいました。北欧の海を思わせる深い深い藍色が大好きです。

アキ・カウリスマキ監督、お名前は知っていましたが作品は見ていなかったかも...とフィルモグラフィを見たら「ル・アーブルの靴みがき」を見ていました。静かで繊細なアキ監督の世界、好きです。
「マッチ工場の少女」はアマゾンプライムでタイトルが目に留まって気になっていました。
マッチ売りの少女じゃなくて?なんて思ったりして。^^
これ見たいです! ご紹介ありがとうございました。
  1. 2023/09/26(Tue) 00:05:00 |
  2. URL |
  3. セレンディピティ #.usTzc9U
  4. [ 編集 ]

>セレンディピティさん

こんばんは。
ありがとうございます。私も県内の美術館、行ったことがないところもあるんですよ~♪
アート旅行、セレンさんらしくて素敵♡せとうち美術館、小さいんですけどモダンな建物で中もいい感じなのですよ~。
東山魁夷もお好きなんですね。
>キーンと凍るような空気までも
確かにそうですよね!!透き通るような幻想的な雰囲気もしますね。

>北欧デザインの道具とコラボで展示するという企画もすてきです。
私もこのコラボに惹かれました。魁夷が訪れた時代のものとか飾ってあるのですが、それが今の時代でもずっと続いて使われているのがすごいなと思います。
ダンスクのお鍋、おお!藍色の~!!それはすてきです。

「ル・アーブルの靴みがき」ご覧になっているんですね。
一時期カウリスマキ作品にハマってずいぶん見たのですが、初期の作品で未見だったものがプライムで観れて感激しました。
「マッチ工場の少女」は少女がとっても不憫なんですが、だからといって決して重かったりしないところが監督の世界だなあと思います。
最初にハマったきっかけになった「過去のない男」もおススメです。これも今プライムで観れると思います♪
  1. 2023/09/26(Tue) 20:47:47 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

瞳さん、早くも芸術の秋をお過ごしですね。
私はいまだ夏バテモードですが、香川に東山魁夷の美術館があることを知りませんでした。割とご近所に長年お住まいだった関係で、記念館はあります。何度かお散歩がてら行きました。絵は最先端技術を使った複製画が展示されていますが、たしかに北欧っぽい感じの絵ですよね。(全然千葉っぽくない笑)

カウリスマキは見たことなくて、勝手にずっと上の世代かと思ってたら同世代だったのに驚きました。さすが北欧、渋いです!
個人的には「レニングラード・カウボーイズ」が気になってます(笑)

  1. 2023/09/28(Thu) 10:59:51 |
  2. URL |
  3. tonton #-
  4. [ 編集 ]

瞳さん、パラダイス~も見ちゃった!
マッチ工場も再見したよー。懐かしかったけど、結構覚えてた。

両方面白かったなあ。
カウリスマキの色使いとか、寂しげな処とか、なんか好きだよー。

ゴミ収集のお仕事って大変よね・・・
ヘルシンキはああいう大きな箱みたいなもので収集するのね・・・。

瞳さんのお陰ですっかり見たいとかつて思って、記憶が抜けてたカウリスマキ作品を思い出し、
色々見れて(サブスクで色々出てるとは!)、嬉しいです。
ありがとうー!
  1. 2023/09/28(Thu) 16:00:43 |
  2. URL |
  3. latifa #SFo5/nok
  4. [ 編集 ]

>tontonさん

おはようございます。
あと2日で10月だというのに信じられない(お昼の)暑さですよね。でも気持ちだけ秋を先取りしてみました♪

あらっ!!ご近所に!?そうなんですね!!・・・と今ググってみたら記念館、素敵な建物ですね。
お散歩がてら行けるなんて素敵♡
なんていうか神秘的なブルーの色合いが北欧っぽいですよね。

カウリスマキ、そうなんです、同世代なんですよ~!!新作が12月に公開されるそうで、廃盤になってたDVDも出たりして配信でも観れるし、今カウリスマキ、キテマス(笑)
あっ!!「レニングラード・カウボーイズ」!次観ようと思ってます。面白そうですよね。
  1. 2023/09/29(Fri) 09:08:14 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

>latifaさん

おはようございます。
「パラダイス~」と「マッチ工場の少女」再見、またお話しできて嬉しいわ。TBもありがとう。仕事から帰ったらゆっくりお邪魔させていただきまーす。

そうそう、色使い、私も好き♡寂しげで悲しいんだけど、それがなんていうかずっしりと重いんじゃなくってどこかちょっとユーモアまで感じる乾いたムードなんですよね。
ごみ収集の様子、へえ~~!!と見入っちゃいましたヨ!!

>色々見れて(サブスクで色々出てるとは!)、嬉しいです。
いえいえ~!!こちらこそ、いろいろお話しできて嬉しいわ。
2012年ごろカウリスマキ作品の初期のものをいろいろ見てたんだけど、その時はネットレンタルで3年も待って!!ようやく観れたの。でも今配信でこんなに見れるし、新作は12月に出るし、廃盤だったDVDも出るんですって!!これ、ちょっとしたカウリスマキ祭りじゃない?(笑)
  1. 2023/09/29(Fri) 09:14:26 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

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「マッチ工場の少女」感想 アキ・カウリスマキ

いやぁ~~想像したのとは違った内容展開の映画でした。かなりブラック・・・
  1. 2023/09/25(Mon) 10:47:50 |
  2. ポコアポコヤ 映画倉庫

「パラダイスの夕暮れ」「真夜中の虹」ネタバレ

「パラダイスの夕暮れ」「真夜中の虹」「マッチ工場の少女」の“労働者3部作”
  1. 2023/09/28(Thu) 15:57:30 |
  2. ポコアポコヤ 映画倉庫