2009
03.04

「しあわせな孤独」

しあわせな孤独 [DVD]しあわせな孤独 [DVD]
(2004/07/02)
ソニア・リクターマッソ・ミケルセン

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結婚を間近に控えたセシリとヨアヒム。
しかし、突然の事故が二人の運命を変えてしまう・・。
セシリの目前で車に挽かれたヨアヒムは、首から下を動かせない全身不随状態になってしまうのだ。

献身的に彼を支えようとするセシリだが、絶望したヨアヒムは彼女を拒絶してしまう。
悲しみに沈む彼女は、事故の加害者であるマリーの夫であり、ヨアヒムの入院する病院の医師ニルスに救いを求める。
だが、そのことが、ニルスとマリー、幸せな結婚生活を送っているはずの二人の運命をも変えてゆくのだった・・・。


ほんの一瞬、あっという間の出来事が、人生を180度変えてしまう・・。
冒頭の事故のシーンの、あまりに突然なこと!
画面を見ている観客である、私にも、一瞬いったい何が起こったのかわからないくらい・・驚いてしまった事故の様子は、またそのときの加害者、被害者たちの姿もとてもリアルで・・。

その後の展開も、なんだろう・・、この映画ってとてもリアルだと思う。
加害者となり責任を感じながらも、友人たちと食事をするニルス夫妻の姿や、それはもう、冷たい言葉で婚約者を拒絶するヨアヒムの姿も・・。


撮影はすべて手持ちカメラで行われたというその手法のせいなのだろうか・・、登場人物たちの表情の捉え方が・・、まるで、そこから彼らの揺れる心の波のようなものが伝わってくるかのような。
本当に・・飾り気のない映画だと思う。
スクリーンを彩るのは、登場人物たちの表情なのだ・・、映画的な飾りや、見ごたえある美しい背景とかではなく。

傷つき、どうしようもなく、寂しさをたたえたセシリの瞳が・・・ニルスに向けられたとき・・あぁ、もしやと思い。
同情するニルスの目に、やがてセシリの笑顔が写るようになったとき、それはもう確信へと変わっていくんですね。
はっと・・思ったのは、セシリから相談を受けて二人が散歩にでるシーン。
そこで知り合いにあったニルスの、あの動揺・・。別に悪いことをしているわけでもなく、まだ何も特別な思いを抱いているはずでもないのに・・。
あのときのニルスのあの表情、あの動揺ぶりって、どんな言葉よりも彼の心が少しづつ彼女に傾いていっている・・その後の展開をああまで繊細に、でもはっきりと伝えるって・・・上手いですよね。




どうしようもない現実にひとり孤独に沈み、誰をも受け入れられないヨアヒム。

どうしようもない寂しさと悲しみに、救いを求めてしまうセシリ。

いけないと分かりつつ、惹かれて行く気持ちはどうしようもない・・ニルス。

幸せだったはずの結婚生活に・・突然訪れた破綻をどうしようもないマリー。


4人の心の中の・・寂しさや悲しさや・・、どうしようもない思いが響いてきて・・。なんだかこちらまで、いろんな思いでいっぱいになってきました。

どうしてこんなことになってしまったんだろう・・。
この作品を見ながら、何度この思いが胸にこみ上げてきたことか、分かりません。


う~ん、またひとつ、後引く作品を見ちゃったなぁ。

デンマークでは、8人に1人が見たというヒット作だとか。
でも、きっと、ひとりひとり、いろんな受けとめかた、感じ方があるだろうなあ・・って思う作品です。


彼らの姿、表情を追いながら、なんだか自分の心のうち・・も覗いてみてしまうような。
私にとっては、これは忘れられない映画になりそうです。

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コメント
これほどまでに孤独の色や香りを様々に感じた映画はありません。
私は公開時に劇場で観たのですが 帰りの電車の中で ずーっと彼らの孤独と「しあわせな孤独」というタイトルの意味を考え続けていました。
その時点で もうスザンネ・ビア監督作品にどっぷり・・と言いたいところですが 当時は公開作品が無くて ここに来てやっと「ある愛の・・」や「アフター・・」「悲しみが・・」を観られて幸せでした。
もしBOXが出たら 絶対に買います!(笑)
手持ちカメラの微妙な動きがリアルで臨場感がありますよね~。
確か ドグマとかいう手法だったかな・・、北欧の映画には多いようですね。
今回の3作品も殆どがその手法でした。
ところで 事故を起こした妻の罪が余り問われないのには ちょっとビックリしました。
もし自分だったら・・と思うと息苦しくなりますよね。
これもお国柄なんですね。
私はニルスが 坂道を転げ落ちるように自分の感情に溺れて行く姿が印象的でした。
マッツ、素敵でしたね。
そんな父親を観ていた娘の孤独も 凄く理解できるし・・。
あぁ、もう一度観たくなりました。(^^ゞ)

「おくりびと」もご覧になったんですね。
この騒動、いつまで続くのでしょうかねぇ~~?(^^;)
アメリカでは5月から公開だそうですが 日本人の死生観がどんな風に受け止められるのかしら・・、興味津々ですね~。
カポdot 2009.03.11 00:29 | 編集
>カポさん
おお、この作品、カポさんのブログにコメントを・・と思ってたのに、先に入れてくださったんですね~。
ありがとうございます♪

カポさん、劇場で!!
うわ~、ではなおさら、彼らの孤独の色や香り・・・強く感じられたでしょうね。
監督のほかの3作品ももうすべてご覧になったんですね。
私もついていきたいです~(笑)
これから、どんどん見ていくつもりなので、またお話させてくださいね。

ドグマっていうんですね。
手もちカメラの撮影・・、表情とかの臨場感が、違ってきますよね。
そうそう、私もあの事故での奥さんの罪って・・全然問われないんだ・・ってビックリしました。
日本では考えられないですよね。
全然面会とか、謝罪とかもないんだ・・て。でも、あの姿を見たら・・それはもうショックを受けちゃいますよね。

>ニルスが 坂道を転げ落ちるように自分の感情に溺れて行く姿が印象的でした。
うんうん、そうでしたね~。
家具を買いにいったシーンとか・・もうどんどん、おぼれていってましたよね。
あの娘さんも印象的でしたよね。これまで仲の良かった両親、そしてきっと自慢の父親ですよね・・。
変わってゆく・・父親に一番先に気づいた彼女の、あの孤独感も・・よくわかりますよね。

「おくりびと」
すごいですよね。
こちらでは、上映回数も増えてきましたよ。今日、「ベンジャミン・バトン」を見に行こうかと思ってるんですけど・・、「おくりびと」でロビーがまたいっぱいかしら・・と心配です。
アメリカでは5月公開なんですね。
あちらの方の受け止め方、どうなんでしょうね~、感想が知りたいですよね。
dot 2009.03.12 06:39 | 編集
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