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Slow Dream

縁あって・・・本や映画と巡りあう。




「ロスト・ドーター」 :: 2023/03/07(Tue)

ロストドーター2

ギリシャの避暑地へひとり、訪れたレダ。
文学の教授である彼女は、ビーチで本を読みメモをとり、静かな時間を過ごしていたのだが、賑やかな大家族の集団が訪れ、静けさは破られてしまう。
大家族の中で見かけた若い母親ニーナと幼い娘の姿に目を止めたレダは、かって若き日に幼い娘たちと過ごした日々を思い出すのだが・・・・。

エレナ・フェッランテの小説を基に女優マギー・ギレンホールが脚本を手がけ、自ら監督もつとめた、長編監督デビュー作。


↓※ ネタバレしています。未見の方はご注意くださいね。


『エンパイア・オブ・ライト』のオリヴィア・コールマン!!素晴らしかった~♪
続いてもう1作、オリヴィアを堪能しようとNetflixのマイリストに入れてた!!本作も鑑賞♪
お友達から激重案件よ~と聞いていたのですが・・・・確かに~~~こころ重い・・・・・

ひとり海辺の町へバカンスにやって来たレダ。教授で金銭的にもゆとりが感じられる彼女は、ひとりビーチを満喫していたのだが・・・訪れた大家族の中の若い母親と幼い娘に目を奪われる。
2人の姿は彼女に・・・かって(彼女自身が)母親を放棄した記憶を呼び起こし、レダの平常心は揺らいでいく・・・。

オリヴィア・コールマン・・・本作も見事でした。
日常会話で娘のことを聞かれた時の、あのこわばった口調、反らせた目線、眉間に寄った皺、大きな目があっという間に潤む様子・・・・レダの表情ひとつひとつが彼女の中に眠るものを想像させられました。
かと思えば、車中で大声で歌ったり、笑いながらダンスをしたり・・・、
「エンパイア・オブ・ライト」のヒラリーとちょっと重なる不安定さ、大胆なのか、繊細なのか、分からなくなるその姿に翻弄されました。
やがて、ニーナの娘の人形を隠し持っているという秘密も加わって、不穏な空気が彼女の周囲に流れ始めます。
枕の上で鳴くセミ、腐ってしまった果物、人形の口からは虫・・・!

「子育ての責任は人を押しつぶす」
あまりにも母親を求め、まとわりつく娘との育児に疲れ、自分の夢を追うために家を出てしまった若き日のレダ・・。
「わたしには母性がないの」
女性なら母親なら持っていて当然だと思われる母性、そもそも母性ってなんなんだろう?母になったら母性って芽生えるもの?
私は一度も自分の母性について考えたことはなかったかも。無我夢中の子育て時代・・・。
母親としての役割を放棄してしまった3年間の記憶がレダを苦しめ、平常心を失わせていく・・その反面、その3年間について聞かれると「最高だった」と答えたレダ。
天秤にかけて選んだ3年間は夢のような時間でもあり、今も忘れない後悔の時間でもある・・・この矛盾がなんとも複雑で、なんとも人間らしくて・・・いや~~重いねぇ・・・。

若き日のレダを演じたジェシー・バックレイもすごく良かった。

ロストドーター3
そして、本作のオリヴィア、とっても綺麗だったな。
思えば最初に彼女を観たのは「ブロードチャーチ 殺意の町」で、失礼ながら、なにこのオバチャンは!?イギリスのドラマってこういう地味なおばちゃんっぽい人でも主役のひとりになれるんだ~~!?と驚いたんだけれど、今やこの活躍ぶり、そして美人の風格まで手に入れたわ
本作でも「美しい」と言われて、余裕の笑みで返すオリヴィアでしたよ~。

ロストドーター

ところで、レダはなぜあの(ニーナの娘の)人形を盗ってしまったんだろう?懸賞金までかけられ、ニーナ本人からも人形が無くなって娘が悲しみ、育児がますます辛くなっている・・・と聞いても「大丈夫、戻ってくるわ」と慰めるだけ・・・。
レダのこういった謎めいた言動がどうにも理解しづらいのだけれど、もしかしたら彼女自身もこの行動に説明は出来ないのでは?と感じました。
たびたび登場したオレンジは何のメタファーなのだろう?
本作が初監督作品のマギー・ギレンホール!!(ジェイクのお姉さん)なんて気になる作品を撮ったんでしょう~!!

気になるといえば・・・実は本作を観たかったもうひとつの理由が、ポール・メスカル
本作では海辺でバイトする、笑顔が優しい青年役、レダも絶対彼の事、気に入ってたよね~~アカデミー主演男優賞にノミネートされた「aftersunアフターサン」が楽しみです(*^-^*)
  1. Netflix
  2. | trackback:0
  3. | comment:8
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comment

瞳さん、こんばんは。
本作、重そうですが、考えさせられるよい作品のようですね。
同じ女性として、本作のテーマに興味があります。
Netflixで見れるのですねー。近いうちに見てみますね。
オリヴィア・コールマンは「女王陛下のお気に入り」が
私的にはちょっと苦手な作品でしたが
その後に見た「思秋期」での(こちらもかなり重めですが)
彼女の演技が心に残っています。
そして、マギー・ギレンホールも好きな女優さん!
初監督でこんな作品に果敢にチャレンジしちゃうなんて...
すごい才能ですね。
  1. 2023/03/07(Tue) 22:20:50 |
  2. URL |
  3. セレンディピティ #.usTzc9U
  4. [ 編集 ]

瞳さん☆
これ、なかなかの重たさなんですよね。(リンク貼りました)
こんなに地味な作品でアカデミー賞ノミネート?と思ったけど、主演女優賞候補なら納得の演技でしたよね。
子育ての苦労は人それぞれで、オッパイ飲んだらことんと寝てしまうような子供育てた人は、ラクチンで楽しい想い出ばかり、泣いてばかりの子を育てた人は、やっぱり色々な葛藤があるんだと思います。普通に。
このごく誰にでも多少は感じる母性と女性との戦いは、あまりに普遍的なだけに、彼女の演技が冴えたのでしょうね☆
  1. 2023/03/07(Tue) 23:38:31 |
  2. URL |
  3. ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2
  4. [ 編集 ]

瞳さん、こんにちは。拙ブログにコメントありがとうございました。
とても地味な作品ですが実は豪華キャストで、観る者にズシンと重いものを残す映画でした。
高評価も肯けますね。
>レダはなぜあの(ニーナの娘の)人形を盗ってしまったんだろう?
これ、謎ですよね。。瞳さんがおっしゃるように、レダ自身も説明はできないと思います。
自分が投げ捨てて壊してしまった娘の人形に対する罪滅ぼし、だったのかな?とも思いますが。。
セレンディピティさんが書かれている『思秋期』、私がオリヴィア・コールマンを意識した初めての作品でした。
小さな大傑作です。忘れがたい。
これも確か俳優の方の初監督作です。共演者に好かれるんでしょうね、オリヴィア・コールマン。
  1. 2023/03/08(Wed) 17:12:17 |
  2. URL |
  3. 真紅 #V5.g6cOI
  4. [ 編集 ]

>セレンディピティさん

こんばんは。

オリヴィア・コールマン見たさに観た作品なのですが、マギー・ギレンホール監督の演出ぶりにも驚きました。
私もセレンさんとおなじく、女優としての彼女もすごく好きだったので最近見かけないな~と残念に思っていたのですが、監督として活躍してくれるのも嬉しいですね。

セレンさんは「女王陛下のお気に入り」は苦手でしたか?
ヨルゴス監督、独特ですもんね。
「思秋期」未見なのですよ~。
オリヴィアなのでこちらも観て観たいと思っているのですが、こちらも重そうですね。
いつか観てみますね。

「ロスト・ドーター」ネトフリで観れるので、良かったら観てみてくださいね~♪
  1. 2023/03/08(Wed) 21:05:24 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

>ノルウェーまだ~むさん

こんばんは。
リンクありがとうございます。あとでお邪魔しますね。

そうでしたよね、地味な作品なのですが、オリヴィアの演技こころ揺らせるものがありましたね。
彼女の表情や監督の演出が不穏さも醸し出していたので、途中どうなるのかな?とドキドキしました。

>子育ての苦労は人それぞれで
まさにそうですよね!!
うちも子どもが小さい時はトイレにまでついてこられる・・・時もありましたが、そこまで葛藤することはなかったですね。二人目とか、お姉ちゃんがいたので楽したし(笑)
本作観ながら自分の育児時代をいろいろ思い出しました。
  1. 2023/03/08(Wed) 21:17:07 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

>真紅さん

激重案件、挑戦しました(*^-^*)
でもとても良かったです。地味ですが、いろいろ思うところ、感じるところがありました。
キャスト!!そうでしたね!豪華でした。女性陣もですが、エド・ハリスやピーター・サースガード、男性陣も良かったですね。
ポール・メスカル君もチェックできて良かった(笑)

人形、きっとそういう思いあったのでしょうね。抱いて眠ってるシーンも印象的でした。

おお~!!真紅さんも「思秋期」ご覧になっているのですね。大傑作!それはぜひとも観なくては。
イギリスの俳優パディ・コンシダインの監督作品なのですね。
オリヴィア、これから先も出演作がますます楽しみになってきました。
  1. 2023/03/08(Wed) 22:01:06 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

おはようございます。
最初の写真のオリビアたしかに美しくて、一瞬誰だか分かりませんでした。
未見なのにこちらの記事読んでしまいました(汗)なかなか辛そうですね。
今、『母親になって後悔してる』というイスラエルの社会学者の本が話題だそうですね。子供って面白いけど、ストレスなのも確かで、社会的に活躍したい人には足かせなんでしょうね。
オリビア・コールマンは不安定な役が上手いですね。「ブロードチャーチ」の時はおばちゃん感満載でメンタル強そうだったのに。久しぶりにたくましいおばちゃん役も見てみたい気がします(笑)

  1. 2023/03/09(Thu) 09:36:46 |
  2. URL |
  3. tonton #-
  4. [ 編集 ]

>tontonさん

こんにちは。
ね~!!美しいですよね~!

『母親になって後悔してる』あっ!!聞いたことがあります。お友達のところで見たような。ちょっと読んでみたいと思ってました。
私などは子育て中は専業主婦で(時々パートくらいだったので)そこまでストレスは感じていませんでしたが、家に籠るというのもストレスを感じる場合もあったりしますものね~。tontonさんの感想もぜひ聞きたい作品です。

>久しぶりにたくましいおばちゃん役も
観たいですねーーー!!次はそういう役をやって欲しいですね。
  1. 2023/03/09(Thu) 11:54:49 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

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