
今年最初の月イチ★クラシックにチョイスしたのは、アルフレッド・ヒッチコックの「疑惑の影」。
1942年のアメリカ作品です。
映画のレビューの前にまず、先日観た「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」の原作本のお話をさせてくださ~い。
面白かったんですよ~(*^-^*)図書館で借りて、1日で上下巻一気読み。
映画を先に観ていたのでもちろん犯人は分かっていたし、主人公が抱える「ある秘密」も知っていましたが、映画の場面を思い出しつつ、ちょっとした違いも楽しみつつ、読み上げた後、なんと再読も。
読み返したわけは・・・、(映画でも登場しましたが)このミステリーのヒロイン、アナの趣味のひとつが、毎夜見返す
クラシック映画。
名前だけ出てくる作品もありますが、中には小説のアナ自身とリンクするかのような、鑑賞中の映画のセリフがたびたび登場して、これが実に意味深で面白いんです♪
ただ単にヒロインの趣味というだけでない、小道具なんて域を超えて見事にミステリーの中に入れ込んだ映画の数々、作者のA・J・フィンさん、かなりの映画好きとみました(笑)
上巻の最期には、
登場する映画(なんと!62作品!!)の一覧まで乗せてくれているという親切ぶり。
気になるものがたくさんあったのですが、中でも小説の中で最後の最後に登場した「疑惑の影」
イーサンから驚きの告白を受けたアナが、なにか心を落ち着かせたい、よく知っているものを見よう・・と選んだのがこの作品だったのですが、映画の中のある台詞が・・彼女の置かれた立場と重なるんですよね。
・・・・というわけで、今月の月イチ★クラシックは、「疑惑の影」をチョイス(*^-^*)
ヒッチコックもお気に入りだという作品、プライムで観ることができました♪

ヒロインは、カリフォルニア州の田舎町サンタローザで暮らすニュートン一家の長女チャーリー。
変わり映えのしない、平凡な毎日を送っている彼女は、自分と同じ名前の、大好きなチャーリー叔父さんの来訪に大喜び。
だが・・・叔父さんがある殺人事件の容疑者となっていることを知らされ・・・、否定しつつも、やがて彼女の中で疑惑はどんどんと大きくなっていく~。
個人的な好みを率直に言わせてもらえるとヒロインはあまりに察しが悪すぎる。
「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」の中でアナはこの映画のことをこんな風に語っています。(もしかしたら、この言葉はミステリーの中の彼女の立ち位置と重ねているのかもしれませんが)
ですが、私から言わせてもらうと、
叔父さん、あまりに迂闊すぎる~、そしてヒロインのママ、叔父さんの姉のニュートン夫人があまりにもピュアすぎる!(^^)!
平和そのもののような姉一家に滞在して、油断しすぎたのか?自分のことを敬愛してくれる美しい姪が自分を疑うとは思わなかったのか?なにより、自分の魅力に自信のあるイケナイ男タイプのチャーリー叔父さん、「市民ケーン」や「第三の男」で有名なジョゼフ・コットンでしたよ~。魅力的な笑顔が・・・どんどん怪しく見えてくる~。
新聞や指輪、ヒッチコック作品に欠かせない小道具はもちろん、本作でとても印象的だったのは、チャーリー&チャーリー叔父さんだけでなく、ニュートン家の家族たちのキャラクターがそれぞれ、とても面白かったこと。
純真で疑うことのないママ、近所の青年と(彼もいいキャラでした)毎夜、殺人方法について議論をかわすミステリー好きなパパ、なんでも数字で表す、可愛い末っ子ロジャー、そして私のお気に入りは読書の大好きな、ちょっぴりシニカルなメガネっ子アン。
ヒッチコック自身も、スリラーではなかなか手が回らない、登場人物の性格を上手く掘り下げることが出来たと語っているそうですよ~。
およそサスペンス映画には登場しないような、ホームドラマに出てくるようなキャラクター達、だからこそ、平和な日常に影が差していく怖さをジワジワ感じさせましたよ~。
実際に殺人事件のシーンなどは一切出てこないし、ストーリーも予想どおりに進むのに、それでもこのドキドキ感。
叔父さんが隠した新聞の記事を調べようと、閉館間際の図書館へ駆け込むシーンにハラハラ。
ギリギリ到着したら建物の灯りがどんどんと消えていく・・・、陰影の上手さ、さすがヒッチコックですね!!
そうそう、ニュートン家の外階段!この使い方も上手いナ~。
「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」のおかげで、ヒッチコックご自慢の作品を観ることが出来ました。
(小説に登場する)アナの収蔵クラシック62作品をこれから少しづつ観ていくのも楽しそうです♪
- 月イチ★クラシック
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瞳さんの記事を読むと、もう一度図書館で借りて読みたくなりました。
この設定からすると「疑惑の影」よりも「裏窓」がぴったりな気がします。
ところで犯人は思い出せたけど、アナが会った女性はだれだったんだっけ?とか、やっぱり思い出せない……。
62作品の映画も全然思い出せない(大汗)
老人力が着々と付いちゃってます〜(涙)
- 2023/02/02(Thu) 09:29:43 |
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- tonton #-
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>tontonさん
こちらにもコメント、ありがとうございます。
設定はズバリ、「裏窓」ですよね。あと、デ・パルマの「ボディダブル」、これも小説の中に出てきました。
「疑惑の影」はその台詞で「君は夢の中で生きている、何も見えていない」というのが小説で引用されてました。アナの状態を表しているんでしょうね。
アナの会った女性・・・書いちゃっていいのかな?
62作品!!ってすごすぎますよね!(^^)!
ヒッチコックは多かったですよ「バルカン超特急」もありました。
意外なところでは「スターウォーズ」とか「サイドエフェクト」とかも!あと「ゲームオブ・スローンズ」とかまで。
あ、でも私も読んだばかりなのでおぼえてますが、しばらく経つと・・ええ~っとどうだったんだっけ?となると思います(>_<)
- 2023/02/02(Thu) 20:26:54 |
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- 瞳 #-
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瞳さん、こんばんは。
「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」瞳さんのレビューを拝見して
映画もおもしろそう!と思っていましたが
原作にはなんと62作品もの映画作品が登場するとは!
これは気になる、おもしろそうですね。
(あ、でもクラシック映画はそれほどくわしくないので
読んでもピンと来ないかもしれませんが...)
私もまずは映画から、できたら原作も読んでみたいです。
(なにしろ、瞳さんが一気読みされるくらいですから
間違いなくおもしろそうです。)
今回ご紹介くださった「疑惑の影」
ヒッチコックらしい上質なサスペンスという感じがします。
プライムにあるのですね。是非見てきたいです☆
- 2023/02/02(Thu) 22:27:09 |
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- セレンディピティ #.usTzc9U
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こんにちは。
「ウーマン・イン・ザ・ウインドウ」面白そうですね。これはまずは本から読んだ方が良いのかな。
ミステリーは、いつでも角川状態になってしまいます。(笑)
ヒッチコックは大好きなのですが、実は名作と名高い「疑惑の影」は個人的にはちょっとイマイチでした。何だか気持ちに入ってこないっていうか、見たのがかなり前なので再見してみても良いかも・・。
なにしろ他の作品が、ビックリするくらい凄い映画ばっかですもんね。
初期の映画だと、「海外特派員」(それともちろん「レベッカ」)がお気に入りです!
- 2023/02/03(Fri) 15:24:59 |
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- ごみつ #-
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>セレンディピティさん
こんばんは。
映画も面白かったのですが、原作の中にこんなに映画が登場するとは思ってもみなくて、作者の映画愛に感動しました!(^^)!
クラシック映画、私も知らないのいっぱいありました。
名前だけ登場するものも多かったのですが、知ってるのが出てくると嬉しくなりますよね♪
私も映画を先に見ましたが、ミステリー部分については知っているだけに、より(登場する)映画についての部分が楽しめたのかもしれないなあ~と思いましたよ。
原作を先に読んでいると犯人が気になって、その部分は頭に入らなかったかも(笑)
もし、良かったら観てみてくださいね。
「疑惑の影」はホームドラマっぽい、サスペンスなので、緊迫感という点では他のヒッチコック作品の方が上かなと思うのですが、キャラクター達が生き生きして面白いです。
ヒッチコックはかなりこの作品、気に入っていたようですよ~。
- 2023/02/03(Fri) 21:41:25 |
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- 瞳 #-
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>ごみつさん
こんばんは。
「見てから読むか、読んでから見るか」ですよね~(笑)
特にミステリーは。
この作品は意外と映画からで良かったなあ!と思いました。
原作を先に読んでいたら犯人が気になりすぎて、取り上げられたクラシック映画たちの部分はささ~~っと読み過ごしていたかもしれないなあ~と思って!(^^)!
おお~!ごみつさんは「疑惑の影」をご覧になっているのですね。
確かにサスペンス的なところは、甘め?ですよね。ヒロインが若いし、家族ものでもあるのでホームドラマっぽい感じもありますよね。
「海外特派員」もご存じなのですね、すご~い!!
これ原作のヒロイン、アナのお気に入りということで、(名前が)登場してて、次これが観たいなあと思っていたところだったんですよ。
「レベッカ」私もお気に入りです♡
- 2023/02/03(Fri) 21:49:38 |
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- 瞳 #-
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